BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
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シトロエンXM/xmが欲しい! CITROËN XM/Xm

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER山本佳吾
協力:MODERN-SUPPLY GARAGE(http://garage.modern-supply.com/

IMPRESSION

思ったほどフワフワではないが
独特の運転感覚は癖になりそう

今回お借りしたのは1992年式XMの左ハンドル、ワンオーナー車。エンジンは調子の良い中古品と交換してあるそうだが、それを含めて23年前のクルマとは思えないほど状態が良い。

フロントシートはこの時代らしくやや小ぶりで、表面は柔らかいが中が硬い印象。BXの後期型と似ているが、調整が全て電動で行えるのが異なる。

PRV製3リッターV6 SOHCエンジンは、後期型の24バルブ仕様に比べると非力だが、走り出してしまえば気にならない。サスペンションは意外にもやや硬めの印象だが、車体の動きは以前筆者が乗っていたハイドロニューマチックのエグザンティアSXに近く、結構前後のピッチングも起きるため、電子制御されている感覚は薄い。ハイドロ制御のためスイッチ的なブレーキも、動かしてからアシストが来る感じのパワステも、自分にとっては懐かしい。

郊外の空いた道をそこそこのペースで走ると、このクルマの魅力がよくわかる。路面のうねりなどを巧みに吸収し、まるで水の上に浮いたような感覚で走り続けるからだ。ただし時折現れる段差や穴などを超えると、意外に強いショックを伝えてくるのだが……。

同時代のエグザンティアと異なるのは遮音性や振動の面で、さすがフラッグシップだけあって、快適さは一段上。特に後席の居心地は抜群に良い。誰かに運転してもらい後席にいたら、すぐに熟睡できる自信がある。大型シトロエンはやはりこうでなくっちゃ!

MARKET INFORMATION

基本的に個体の程度で価格は上下
手を加えた箇所が多いほど高くなる

シトロエンの大型モデルは、DS、 CX、XM/Xm、C6と続いたが、現在DSは完全にコレクターズアイテムで、C6は高値安定状態が続いている。またCXはここ数年徐々に値上がり傾向で、100万円以下の個体は殆ど見なくなった。となると、4世代の中で最もお買い得なのがXM/Xmということになる。現在の相場は50~150万円ほど。走行距離や、個体の程度、またどこをどれくらい直してあるかによって価格は変わってくるが、一番売り物が多いのは100万円前後の価格帯だろう。

タマ数自体は決して多くないが、割合としては後期型の24バルブ・エンジンを搭載したモデルが一番多く、次いでSOHCエンジンの中期型、一番少ないのが初期型となる。またボディタイプでは5ドアが圧倒的に多く、ハンドル位置は右の方がかなり多い。これらの仕様違いや年式、さらにグレードやカラーによる価格差は殆どないと言っていいだろう。

ガンディーニ時代のベルトーネによるボディデザインは、直線的デザインが多かった新車当時より、今の方が遥かに浮世離れして見える。またハイドラクティブ系足周りの乗り心地の良さは、現代のどんなクルマとも異なり、一度味わうと病みつきになる。新車ではそれを体験できなくなったことも、その価値を高めそうだ。となれば、今後XM/Xmの価格はCXと同様、ジワジワと上がっていく可能性が高い。つまり、今が最もお買い得であると思うのだ。

1990~2002年50~150万円

TROUBLE SHOOTING

01:
最初期型はコンピュータに難あり、
バージョンアップされているか要確認

「初期のXMは故障が多い」とよく聞くが、これはある意味正解で、最初期型XMはハイドラクティブのコンピュータが誤作動しやすく、一晩でバッテリーが上がるといったトラブルが多発した。ただし初期型でも1992年頃からは改善されているそうで、搭載されているコンピュータのバージョンを調べれば、壊れやすいかどうかわかるとのこと。また最初期型でも現在実働のものは、コンピュータを交換している可能性が高いという。

02:
最初期型はパーツが異なる場合あり、
セルフセンタリング車は油漏れに注意

また最初期型はブレーキパッドやドライブシャフトなどの部品が異なるそうで、入手が困難な場合が多いという。その点では最初期型は避けた方が無難だ。一方中期型までの左ハンドル車が採用していたセルフセンタリング・ステアリングは、ハンドルから手を離すと自動的に直進状態に戻るシステム。ハイドロを使い油圧が高いため、ステアリングラックからオイル漏れしやすい。ラックのOHはエンジンを降ろす必要があるので注意。

03:
ゴム類や樹脂類は劣化しているはず、
早めに交換や対策をしておきたい

年式的に見て、ゴム類や樹脂類は劣化していると思ってよく、できれば交換しておきたい。特にハイドロ系の高圧側ホースは交換しておいて損はない。また前後サスペンションのストラットアッパーマウントも傷みやすい。交換用のパーツは欠品だが、ゴムを注入する再生方法があるとのこと。更に、水温が高い状態が続くと樹脂製の冷却水タンクが破裂する場合があるそう。交換する際、冷却水の温度の問題を解決しないと再発することになる。

04:
電気系の信頼性はあまり高くない、
その他は専門店に相談するのが得策

電気系部品の信頼性は高いとは言えない。インパネの液晶表示は殆どが悪くなるし、エアコンも壊れやすく、特に後期型はフラップモーターが故障しやすい。これらは直すのに労力と予算が必要とのこと。また前期型はパワーウインドーのトラブルも多い。その他、後期型のV6はタイミングベルトを使うため定期的な交換が必要。なお、ZF製A/Tは中期までと後期で型式が異なるが、ATFは指定のものを少しずつ換えるのが無難という。

TOPICS

特徴を活かした様々な
改造車が当時から存在

大型シトロエンはDSの時代から様々な改造車があった。ハイドロの足周りは荷重が多くかかっても車高が変わらず、好都合だったのだろう。XM/Xmも例外ではなく、ストレッチリムジンや救急車など、様々なタイプが存在する。中には大統領専用車といったものもあった。こうしたモデルは、専門のコーチビルダー(カロジエ)が改造を行ったのだろうが、作りがかなり良かったことが窺える。

車体中央部分を延長して作られたストレッチ・リムジン。違和感のない仕上がりだ。
ハイドロは患者を安全に運ぶ救急車にも最適で、かなりの数が作られたようだ。
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