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シトロエンGS/GSAが欲しい!! CITROËN GS/GSA

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: モダンサプライ

シトロエンGS/GSAが欲しい!!

シトロエンGSは1970年のパリ・サロンで発表された。2CV、ディアーヌ、AMI 8の3兄弟と、DS/IDの間を埋める機種として開発され、市販に移された。当初シトロエンはNSUと共同開発したロータリー・エンジンを搭載する予定だったが、熟成が思うに任せず、新たに空冷水平対向4気筒OHCの1015ccエンジンを開発してまず搭載した。

一方サスペンションは、DS譲りのハイドロニューマチックを採用。4輪ディスクを奢られたブレーキもこれで作動する。ただしコスト面などからステアリングのパワーアシストは採用されていない。

ボディデザインは社内デザイン部門のロベール・オプロンの作と言われるが、ピニンファリーナのオースチン向けプロトタイプの影響を色濃く受けていた。

大衆車クラスに高度なメカニズムを導入したGSは、各国で高い評価を受け、人気を獲得。3速セミA/T仕様やワゴンのブレーク、商用バンのセルヴィスなど、バリエーションも次第に拡大する。

1972年には1222ccに排気量を拡大したエンジンを搭載する1220も追加される。更に翌年には、2ローター・エンジン搭載のビロトールが発売されるが、信頼性不足などから2年程で生産を終えている。日本では1972年春から販売が開始され、翌年1220を追加。1975年には右ハンドル仕様も発売された。1976年にマイナーチェンジが行われ、日本には1977年に排気ガス対策を施したモデルとして導入される。

1979年にはボディを5ドア化し、内外装を大幅に変更、1299ccエンジンを搭載したGSAが登場。日本には翌年導入される(当初1222cc)が、1983年には排気ガス対策済みながら馬力が高い仕様を販売。更に5速M/TのX3も1984年に追加し、BX導入後の1986年に販売を終えた。

EXTERIOR & ENGINE

時代を大きく先取りした革新的大衆車

ハッチゲートは持たないがファストバックスタイルを採用したGS。そのお陰で後席の居住性は非常に良い。またリアドアはホイールハウスによる切り欠きがなく乗り降りしやすい。
異型2灯ヘッドライトはS.E.V. MARCHAL製で、現車は明るいダブル反射タイプを装着。イエローバルブが当時のフランス車らしい。
フロントグリル中央にあるダブルシェブロン・マーク。そこに隠れるように開く穴は、始動用のクランク棒を入れるためのもの。
初期型のテールランプは周囲がメッキされた3段タイプ。また最初期型の本国仕様はバックランプがイエローレンズだったそうだ。
ハイドロニューマチックを司るLHMのタンクは金属製。各輪用のスフィアは基本的に1種類とのことだ。
空冷水平対向4気筒エンジンを車体前端に搭載するGS。エンジンルーム上部に余裕があるためスペアタイヤがそこに収まっている。
初期型のスチールホイールは小さな冷却孔が10個あるタイプ。そのセンターにメッキされたキャップが装着される。

INTERIOR & LUGGAGE

抜群の乗り心地と広い室内を実現

初期型GSのインパネは非常にユニーク。独特のメーターもさることながら、この位置で直進状態の一本アーム・ステアリングや、水平方向に動かすサイドブレーキなど、シトロエンらしさが全開。だが慣れれば、どれも非常に使いやすい。
メーターは中央がボビン式のスピードで、右にタコメーターと時計、左に燃料と電圧という配置。ボビンは速度域でベース色が変わる。
細いセンターコンソールにはシフトレバーの他、1DINサイズのオーディオ、車高コントロール用レバーが配置される。
1970年発表のGSだが、ドア内張に装着される各パーツは樹脂化されていて、70年代車らしい雰囲気だ。
インパネ上部にある灰皿は、蓋をスライドして開閉させるタイプ。タバコでインパネを溶かさないか心配。
この車格のクルマとしては異例の、大きさと座り心地の良さを誇る前席。ヘッドレストは後年式車から流用したもの。
後席も想像以上に広く、快適。現車はモケット張り(ビニールレザー張りもある)で肌触りが良く、居心地抜群。
トランクフードはこのように開く。開口部は大きいのだが、荷物の出し入れには腰をかがめる必要がある。
トランクスペースは予想以上に大きい。しかも出っ張りが何もない形状のため、まるで押し入れのようだ。

IMPRESSION

乗り心地の良さだけでなく
走りの楽しさも改めて実感

今回お借りしたのは1972年式の1015ccエンジンを搭載したGSクラブ。内外装ともオリジナル状態で、塗装は新車時のままとのこと。内装の状態も良く、特にシートはカバーがついていたためか非常にきれい。全体に程よくヤレた感じで、数年前までフランスでマニアが乗っていたというのも頷ける。

フカっとした座り心地のシートに収まり、美しいデザインのメーターを見つつキーを捻る。グズることなくエンジンはかかり、シフトを1速に入れて走り出す。1015ccエンジンは意外に軽快な吹き上がりで、各ギアで回して走るのが楽しい。新車時には非力と言われたようだが、街中では痛痒を感じない。

妖しく光りながら速度域によりベース色を変えるボビン式スピードメーターは、見易いかどうかはともかく、実にユニーク。またハイドロで作動するブレーキは、ペダルこそ通常の形状だが、操作感はDSなどと同じスイッチ的なもので、踏力で制動力をコントロールするのが、非常に楽しく感じられる。

パワーアシストを持たないステアリングは据え切りでは重いが、走り出せば適度に軽くなる。このステアリングの動きに合わせてノーズは軽快に向きを変えるので、ワインディングでもGSは思いの外楽しそうだ。

久々にGSをドライブして、以前よりずっとワクワクしている自分に気づいた。50年近く前に生まれた理想の大衆車は、現代の路上で再びその輝きを増しているようだ。

SPECIFICATION
CITROËN GS 1015 CLUB
全長×全幅×全高:4120×1608×1349mm
ホイールベース:2550mm
車両重量:880kg
エンジン形式:空冷水平対向4気筒SOHC
総排気量:1015cc

最高出力:56ps/6500r.p.m.
最大トルク:7.2kg-m/3500r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/トレーリングアーム
ブレーキ(F&R):ディスク
タイヤ(F&R):145R15

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