BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
ホントに買っていいんですか?
気になるクルマをユーザー目線で掘り下げます

フェラーリF355/355F1が欲しい!! FERRARI F355/355 F1

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: カーボックス横浜

フェラーリF355/355 F1が欲しい!!

フェラーリF355は、1994年5月にベルリネッタと取り外し式ルーフのGTSが発表された。前作348誕生から僅か4年半でのモデルチェンジは、ルカ・ディ・モンテゼーモロ社長(当時)の攻めの経営姿勢の表れとも言われる。

メカニズムは348をベースに、大規模な見直しを図ったもので、シャシーは鋼板製センターモノコック後方のサブフレームを変更し、サスペンションのジオメトリーを変更した上で、新開発の電子制御可変ダンパーを採用。パワーステアリングも装備された。

ボディはパネルを刷新すると共に、車体下面をフラットボトム化しつつリアをディフューザー形状とし、ダウンフォースを高める機構が採用された。

最大の変更はエンジンで、吸気3、排気2の5バルブ機構を持つ、3.5リッターV8 DOHCエンジンを新たに搭載。380psと37.0kg-mを発揮した。

同年9月には日本市場で販売を開始。また11月には本国で、エアバッグを備えた中期型が発売された。更に翌年5月にはスパイダーが追加され、8月に日本で発売されている。

1996年4月に、エンジン制御をボッシュ・モトロニックM5.2に変更した後期型が登場。翌年7月には、パドルシフトを備えたシングルクラッチ・セミA/TのF1マチック仕様が誕生し、12月に頭にFがつかない355F1として日本で販売を開始する。

更にこの年秋の東京モーターショーでは、コーンズの正規代理店20周年記念モデルが20台のみ発売された。

ベルリネッタとGTSは1999年、スパイダーは翌年まで生産された。

EXTERIOR & ENGINE

最高のエンジンと美しいボディが魅力

348をベースとしながら、よりスポーティで空力特性にも優れたボディデザインを採用。シンプルで美しいラインが特徴。取材車は1998年式355F1ベルリネッタ。

リトラクタブルライトは外がロービームで内がハイビーム。バンパーにスモール&ウインカーとフォグ。

テールランプは伝統の丸4灯。外側がスモールとウインカー、内側がブレーキとバックとなる。

制御にボッシュ・モトロニックM5.2を採用した後期型3.5リッターV8 DOHC 40バルブ・エンジン。380psと37.0kg-mを発揮する。

リア右側のエンブレムは、F1マチック搭載車の場合、赤いF1の文字が355の横に追加される。

現車はITOレーシングの2段階切替式エキゾーストを装備。ノーマルも保管されているとのこと。

ホイールはマグネシウム製18インチで前7.5J、後10J。タイヤは前225、後265の40扁平。

車体下面をフラットボトム化すると共に、後端部をディフューザー形状とすることで、十分なダウンフォースを獲得していた。

INTERIOR & LUGGAGE

適度なクラシカル感が大人っぽさを演出

現車は特注のブラック&グレーの本革内装で、ボディ色のシルバーとコーディネイトされている。カーペットは濃紺。

現代のフェラーリと異なり、シンプルなアナログメーターが備わる。中央は下が水温計で、上はシフトポジションがデジタル表示される。

センターコンソールは上下分割式。上側には油圧計、燃料計、時計とラジオ&カセットデッキ。その下のナビは、装着用のパネルも含めて、後付けされたもの。

クラシカルなダイヤル&スイッチ類が並ぶコンソールで、F1マチックのセレクターレバーが異彩を放つ。バックはレバーを上げて引く。

電動調整式のシートは、厚みはあるものの、やや硬めの座り心地を持つ。サポート性はそれほど良くなさそうだ。サイドブレーキはフライタイプ。

シート後方にはサングラスなどを入れるボックスがある。また薄いバッグなら置けるスペースを確保。

トランクスペースは、左右に狭いが深さはあり、2人分の荷物なら入りそう。後方に見えるのはスケドーニ製の純正工具バッグ。その手前はパンク修理剤。

IMPRESSION

小振りなボディで運転は意外に楽
高回転まで回せば快音が愉しめる

フェラーリに乗るのはいつも緊張するが、F355は車体サイズ、特に全幅が現代のモデルに比べ小さいため、なんとなくホッとできる。運転席に乗り込んでも、着座位置が思った程低くなく、周囲の視界が良いのが嬉しい。硬めのシートの座り心地も良好だ。

F1マチックの操作は最新モデルと同様で、パドルは右がアップで左がダウン、両方を同時に操作すればニュートラルだ。エンジンをかけ、右パドルで1速に入れて走り出す。パワーステアリングが備わるため、低速で交差点を曲がるのも心配は不要。望むなら、A/Tモードで無精運転も可能だ。ここまで運転が楽に思えるフェラーリも少ないだろう。

とはいえフェラーリを走らせるのに、シフト操作をしないのは勿体ない。パドルで小気味よいシフト感を味わいながら、稀に4000r.p.m.以上まで回すと、乾いたエグゾーストノートが車内に満ちてくる。取材車両にはITOレーシングのマフラーが付いており、スイッチを入れると更に音量ボリュームが高まるが、これを使わずとも十分に気持ち良い。これだけでもフェラーリを買う価値はあると、つい思ってしまった。

シルバーのボディに、グレー&ブラックの特注内装を持つこの355F1を、お洒落な年配の男性が運転していたらカッコ良くてつい見とれてしまいそうだ。自分が似合うかどうかはともかく、そんな妄想を抱いてしまうほど、このクルマは魅力的だった。

SPECIFICATION
FERRARI 355 F1 BERLINETTA
全長×全幅×全高:4250×1900×1170mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1350kg
エンジン形式:水冷V8 DOHC 40バルブ

総排気量:3495cc
最高出力:380ps/8250r.p.m.
最大トルク:37.0kg-m/6000r.p.m.
サスペンション(F&R):ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):225/40R18/265/40R18

1 2 3