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ジャガーXJ-S/XJSが欲しい!! JAGUAR XJ-S/XJS

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER山本佳吾
協力: ワイズ/Jaguaria

ジャガーXJ-S/XJSが欲しい!!

ジャガーXJ-Sは1975年にEタイプの後継モデルとしてデビューした。

プラットホームはXJサルーンのホイールベースを2590mmに短縮したもので、サスペンションもXJサルーンと同じ前ダブルウィッシュボーン、後がウィッシュボーン+トレーリングアーム+左右各2セットのコイル&ダンパーという組み合わせ。エンジンはEタイプSr.III以来の5.3リッターV12 SOHCだが、電子制御の燃料噴射装置が最初から採用されていた。ボディはモノコックで、スタイリングはマルコム・セイヤーの原案を元に風洞実験を経て決定したものだった。

日本には1976年、当時の代理店である新東洋モータースにより、排ガス対策を施した244psエンジン搭載仕様が導入された。その後1981年に、燃焼室形状を変更して低燃費、低エミッションを実現したファイアーボール・エンジンを採用し、車名にHEの文字が追加されている。また日本では、輸入元が日本レイランドを経て、オースチン・ローバー・ジャパンへと変更された。

1983年にピラーが残るカブリオレのXJ-SCが登場。日本には1985年にV12搭載モデルが導入された。また1986年には新たな輸入元としてジャガー・ジャパンが設立されている。更に1988年にはカルマン社と共同で開発されたフルオープンのコンバーチブルを追加。1991年には初のビッグマイナーチェンジを受け、車名からハイフンがなくなった。その際4リッターの直6搭載モデルが初めて日本に導入されている。

1993年に再度ビッグマイナーチェンジを実施。V12エンジンが6リッターに拡大され、4速A/Tが採用された。その後も改良が加えられながら、1996年まで生産が続けられた。

EXTERIOR & ENGINE

余裕の心臓を持つ容姿端麗な高級パーソナルカー

誕生当時イタリア的と言われたエクステリア・デザインは、マルコム・セイヤーの原案を元に形作られたもの。長い年月を経ても個性を失わず美しい。取材車両は1990年式のXJ-S V12。

異型角型2灯のヘッドライトは、スモールおよびロー&ハイビーム一体型。バンパー部はウインカーで、その下にカバー付のフォグランプが備わる。

中期型まではおむすびテールと呼ばれる縦長のライトを装着。上からブレーキ、スモール&リフレクター、ウインカーの順。下はバックフォグ。

ミラーはメッキされた大型のもの。鏡面には実際より近づいて見える旨の注意書がある。

繊細な形状のドアノブ。後期型以降は周囲のメッキ部が大きい異なる形状のものになる。

中期型までのリアクオーター・ウインドウは後端上下が尖った形状。後期型以降は角が丸くなる。

中期型まではハイフンのあるXJ-Sの車名(後期型はXJS)で、そのエンブレムがテールライト横に備わる。

スムーズでトルクフルな5.3リッターV12エンジン。ただしエンジンルーム内は、ご覧のように隙間もない。また3速A/Tのため、燃費はかなり悪い。

取材車両は225/65R15サイズのタイヤを純正のメッシュタイプ、6.5J×15のアルミホイールに装着していた。

INTERIOR & LUGGAGE

木と革で囲まれたゴージャスなインテリア

1990年式の取材車両は運転席のみエアバッグを備える。インパネやドア内張には本物のウッドパネルが貼られる。

メーターパネルは左右にスピードとタコを配し、中央に縦型の水温、油圧、燃料、電圧の各メーターを並べたデザイン。中央上部に各種警告灯が並んでいる。

美しいウッドが貼られたセンターコンソールには、ステッキ型のセレクターレバー、左右2個の灰皿、各種スイッチなどが並ぶ。

パーキングブレーキのレバーは運転席とドアの間にあり、かけた状態でもレバーを下に降ろせる。これは乗降をしやすくするため。

座面は小さいがバックレストが大きく、座り心地に優れたフロントシート。調整は電動でシートヒーターも備わる。

リアシートは大人が長時間座るのは厳しいが、子供用もしくは非常用として便利。荷物を置くスペースとしても有効。

十分な広さのトランクルーム。スペアタイヤとバッテリーが奥に備わり、専用のケースに入った工具が右に収まる。

IMPRESSION

低回転で粛々と回るV12の滑らかさと
路面の凹凸をいなす足まわりが大きな魅力

今回お借りしたのは、1990年式の中期型V12搭載モデル。内外装が美しく保たれたオリジナル仕様だ。この時代のジャガーらしく、座面は短いが座り心地の良いシートに腰を落ち着けキーを捻ると、やや長めのクランキングの後5.3リッターV12が目を覚ました。

繊細なセレクターレバーをDレンジに入れ、軽くアクセルを踏むと静かに走り出した。大排気量ゆえ低速トルクが太く、スタートで3000r.p.m.も回してやれば、あとはアクセルを殆ど抜き、ほんの少し踏んでいるだけで、1.8トン近いボディは滑るように走っていく。タコメーターのレッドゾーンは6500r.p.m.からだが、街中では1500r.p.m.前後回っているに過ぎない。

当然ながら車内は非常に静かだ。もちろん現代のクルマにはもっと静かなものもあるが、セミクラシックなスポーツタイプ車としては、異例に静かと言える。乗り心地も快適だ。いわゆるネコ足は健在で、路面の凹凸をきれいにいなしていく。重量配分的にはフロントが極端に重いはずだが、少し飛ばした程度ではオンザレールそのもので、そうしたことを感じさせない。

取材当日は気温が高かったのだが、エアコンはきちんと効き、水温も全くといっていい程上がらなかった。さすがに普段の足にするのは難しいだろうが、休日に乗る趣味の良い1台としてXJ-S/XJSは非常に魅力的だ。燃費の悪さもこの際目を瞑りたくなってしまった。

SPECIFICATION
JAGUAR XJ-S V12
全長×全幅×全高:4765×1795×1260mm
ホイールベース:2590mm
車両重量:1780kg
エンジン形式:水冷V型12気筒SOHC
総排気量:5343cc

最高出力:255ps/5000r.p.m.
最大トルク:39.7kg-m/3000r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/ウィッシュボーン+トレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤ(F&R):235/60R15

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