BUYERS GUIDE

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MGミジェットが欲しい!! MG MIDGET

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: オートモービルアシスト・ブレス

MGミジェットが欲しい!!

若者向けの小さく軽く、安価なスポーツカーとして1958年に誕生したオースチン・ヒーレー(AH)・スプライトMk.I。1961年にモデルチェンジする際、MGブランド版も用意され、AHスプライトMk.IIとMGミジェットMk.Iが誕生した。

モノコック・ボディに前ウィッシュボーン、後1/4楕円リーフのサスペンションで、ボディにはAHスプライトMk.Iにはなかったトランクリッドが備わる。またAHとMGはグリルやエンブレムが異なる他、MGにはボディとボンネットにメッキモールが備わっていた。

エンジンはBMC・Aタイプ直4 OHV 948cc+SUツインキャブで46ps/7.25kg-m。1962年に1098ccで55ps/8.6kg-mとなり、フロントブレーキがディスクになった。

1964年にミジェットMk.IIとスプライトMk.IIIが登場。エンジンは59ps/8.9kg-mとなり、リアサスペンションが1/2楕円リーフに進化。三角窓、巻き上げ式ウインドウ、アウタードアオープナーなども採用された。

1966年に65ps/9.96kg-mの1275ccエンジンと折り畳み式幌を備えたミジェットMk.IIIとスプライトMk.IVが登場。更に1969年には、樹脂製グリルのミジェットMk.IVとスプライトMk.Vになり、1970年にはリア・ホイールアーチが丸型に変更される。

1971年にAHスプライトは廃止され、更に1974年にはスピットファイア用1.5リッター・エンジンとウレタンバンパーを備えたミジェット1500が誕生、1979年まで作られた。

EXTERIOR & ENGINE

手を伸ばせば四隅に届きそうなコンパクト・ボディ

先代のカニ目のスプライトに比べるとオーソドックスなボディ形状だが、飽きない魅力がある。リアホイールアーチが四角いのも特徴。取材車は1967年式のMGミジェットMk.III。
幌はこのMk.IIIから折り畳み式の骨を持ったタイプとなり、利便性が大幅に向上した。
丸型のシールドビームの下は、外がウインカーで内がスモール。ヘッドライトは珍しいGE製がついていた。
この時代多く使用された縦長のテールランプ。上からウインカー、ブレーキ&スモール、リフレクターの順。
トランクに備わるエンブレムは、この時代までは金属製の繊細なデザインのもの。
BMC Aタイプ、直4 OHV 1275ccエンジンを搭載。軽量なボディに十分な出力を発揮する。
本来はSUツインのキャブレターを、現車はウェーバー40φ 1基に変更している。
ホイールは純正スチールからパナスポーツ製8本スポークに変更。タイヤは175/70R13。

INTERIOR & LUGGAGE

必要最小限のスペースだが居心地は良好

シンプルなインパネまわり。タコメーターとスピードメーターは、ステアリングコラムを挟んで離れて配置される。ステアリングはモトリタのウッドタイプに交換されていた。
インパネ中央部にあるメーターは左が燃料で、右が油圧と水温のコンビ。どちらもスミス製だ。
アクセルペダルにはオートルック製のカバーが付けられていた。左のボタンはヘッドライトの切替用。
三角窓と巻き上げ式ウインドウがひとつ前のMk.IIから採用され、居住性が良くなった。
シートは意外にも厚みがあって大きさもまずまず。座り心地はなかなか良い。ただしビニールレザーで夏は汗で背中が濡れる。
トランクはボディサイズを考えればかなり広い。中央にスペアタイヤがドンと収まるが、2人分の旅行鞄程度なら楽に積めるし、シート後方にも十分なスペースがある。

IMPRESSION

クルマの動きが手に取るようにわかる
小さく軽いことが最高に楽しい1台

今回お借りしたのは1967年式のMGミジェットMk.III。前オーナーの好みで、1275ccのエンジンはウェーバー40φシングルキャブレターやタコ足などでライトチューンされていた。また足まわりはスパックス製のテレスコピック・ダンパーやウレタンブッシュなどで強化。全体にスポーティに仕上げられている。

ミジェットに乗るのは久しぶりだが、まず乗り込む時に、足がボディに引っかからないよう大きく上に曲げる必要がある。

シートはそれなりにクッションがあり快適で、足は奥に延ばして座る。一方ハンドルは近いので、腕を曲げて乗る英国車伝統の姿勢に自然となる。コクピットに収まると、改めてボディの小ささに驚く。実際には無理だが、手を伸ばしたら、端を触れそうに思えるほどだ。

エンジンはなかなか勇ましい音を発し、シャープな吹け上がりを示す。個人的にはSUツインキャブを装備したノーマルの、低回転からトルクを出す性格が好みだが、これはこれで気持ち良い。このエンジンを、カチカチと決まるシフトで操るのはとても楽しい。1速がノンシンクロであるのに注意さえすれば、ヒストリックカー初心者でも十分に日常的に使えるはずだ。

ハンドリングは切ったら切った分だけ曲がるような印象。軽いノーズが気持ちよく行きたい方に向いてくれ、その際の挙動が手に取るようにわかるのだ。そして何より車体がとにかく軽い! 小さく軽いスポーツカーの愉しさがこれでもかと詰まったのが、このミジェットだ!

SPECIFICATION
MGMIDGET Mk.III(Normal)
全長×全幅×全高:3500×1350×1250mm
ホイールベース:2030mm
車両重量:686kg
エンジン形式:水冷直列4気筒OHV 8バルブ
総排気量:1275cc

最高出力:65ps/6000r.p.m.
最大トルク:9.6kg-m/3000r.p.m.
サスペンション(F/R):ウィッシュボーン/半楕円リーフ
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤ(F&R):145-13

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