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ルノー・スポール・スピダーが欲しい!! RENAULT SPORT SPIDER

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER宮越孝政
協力: オート・ポワ・ルージュ

ルノー・スポール・スピダーが欲しい!!

ルノー・スポール・スピダーは、1995年春のジュネーブショーでデビューした。元々ワンメイクレース用の車両として開発され、それをロードカーとして市販したものだった。

生産はディエップにあるアルピーヌの工場で行われたが、ブランド名がルノー・スポールとなったのは、こうした経緯による。そしてこのスピダーが、今に続くルノー・スポール・ブランドの最初の市販車でもあった。

シャシーは、ノルウェーのハイドロアルミニウム社と共同開発したもので、アルミ製スペースフレームにアルミパネルと樹脂ハニカムを貼ったセミモノコック構造を持つ。その前後にサブフレームを装着し、サスペンション、横置きのエンジン&ミッションなどをマウントしている。前後の足周りはダブルウィッシュボーンで、コイル&ダンバーユニットはプッシュロッドを介して前が横方向に水平置きされ、後は縦方向に寝かされて搭載されていた。

エンジン&ミッションは、クリオ・ウイリアムズと同じ2リッター直4DOHC16バルブ(150ps)と5速M/T。FRP製ボディにはフロントウインドウがなく、上方に空気を流すエアロスクリーンが装備されており、このタイプはソットヴァンと呼ばれた。

日本には1996年から並行輸入で導入され、その後1997年には、フロントウインドウを備えたパルブリーズが、当時の正規代理店フランス・モータースにより輸入された。

1999年までに1685台が作られ、200台弱が日本で販売された。

EXTERIOR & ENGINE

未来的でレーシーな独特のエクステリア

パトリック・ルケモン率いるルノー・デザイン・チームによる外観デザインは、近未来感と懐かしさが融合した不思議なまとまりを見せる。トノーカバーはあるが、ソフトトップは用意されない。取材車両はパルブリーズで、1997年式のディーラー車。
リアバンパー中央にルノー・スポールのエンブレムが備わる。今に続くルノー・スポール・ブランドの最初の市販車。
ボディカウルはFRP製。その後端にポップな字体のSpiderの文字ステッカー。
給油口はスパルタンな雰囲気のある、アルミ製の鍵付きのもの。
フランス・モータースで輸入したディーラー車は、全てフロントウインドウのあるパルブリーズだった。ソットヴァンにはない、大きなワイパーも装備される。
ドアはこのようにシザース式に開閉する。外側にドアノブはなく、内張にあるドアハンドルを引いて開ける。パルブリーズには小さなサイドウインドーが付く。
シート後方に、斜めのバーが入った強固なロールバーが装着される。フロントウインドウがないソットヴァンでも同じだが、横転時の安全確保には十分なのだろう。
前後ともストロークを確保するため、プッシュロッドを介してスプリング&ダンパー・ユニットを作動させる。これはリアで、ほぼ進行方向に寝かされて装着される。
ヘッドライトは、外側がロービームとスモール兼用、内側がハイビームで、その下にウインカーが配置され、全体をカバーが覆っている。
クリオ・ウイリアムズなどと同じ、150psを発揮する2リッター直4DOHC16バルブ・エンジンと5速M/Tをそのまま横向きに搭載。バルクヘッド寄りにラジエターが装着されている。
テールランプは、外側の丸が上からブレーキ、ウインカー、スモールの順。内側の丸は写真の右サイドはバックフォグだが、左サイドはバックランプになっている。
タイヤは前が205/50R16、後が225/50R16で、現車はブリヂストン・エコピアPZ-Xを装備。ホイールは純正の星型5本スポークを装着。

INTERIOR & LUGGAGE

内装は必要最小限でほぼレースカー

3連メーターと最低限の液晶表示が備わるだけのインパネ周辺は、ほぼレースカーのよう。ペダルにはアルミの滑り止めが付き、フットレストも備わる。
簡素なナセルに収まったVDO製メーターは、左から油圧、回転、水温の順。速度はコンソール上方の液晶に表示される。
ミッションは通常の5速Hパターン。ただしバックは、1速の更に左上にシフトノブを捻りながら入れるので、コツが要る。
運転席側のサイドシル部分に、前後フード開閉用のノブがある。
シートは僅かしか前後しないため、ステアリングコラム下にペダルを前後に動かすダイヤルがある。
シートはレカロ製の一体型バケットで、見た目はスパルタンだが、座り心地は悪くない。センターコンソールに小物を固定する網がある。
フロントフードの下に、バスタブ状のトランクスペースがある。予想以上の容量があるが、ジャッキや工具、トノーカバーなどを入れると、ヘルメットくらいしか入らない。

IMPRESSION

軽さが気持ち良さを強力に後押し、ただし飛ばすとかなり手強そう

シザースドアを開けて、座り心地がいいバケットシートに収まる。前後に僅かにスライド可能だが、それだけでは足りない人のために、ステアリングコラム下にペダルを前後に動かせるダイヤルが用意されていた。

メーターは簡素な3連アナログ式と、中央に液晶で表示される速度計が組み合わされたもの。

パルブリーズのため大きなフロントウインドウと小型のサイドウインドーがあるので、走り出しても正面から風を受けることはない。ただし後方からは盛大に風が巻き込んでくるが。

動き出してすぐ感じたのは、ノンパワーのステアリングが重いのと、ブレーキが効かない気がすること。ただ暫く運転しているうち、ステアリングは据え切り以外普通に操作できるようになるし、サーボを持たないブレーキは、強く踏めば確実に制動できるのがわかってくる。

それがわかった上で、少しアクセルを開けると、レーシングカーとして生まれたこのクルマの素性が見えてくる。エンジンは低回転から十分トルクフルだが、3500 rpmを超えると一気に勢いを増す印象。またシャシーは十分に剛性感があり、車体が軽いことと相まって、ヒラヒラと気持ちよく鼻先が動いてくれる。また乗り心地も決してハードではなく、意外に快適だ。ワインディングに持ち込んだらさぞ楽しいだろうと思えたが、結構リアが出そうな印象もあるので、かなり手強いかもしれない。

箱根辺りの別荘に保管して、週末ごとに乗りに行くような、贅沢な使い方が似合う気がした。

SPECIFICATION
RENAULT SPORT SPIDER PARE-BRISE
全長×全幅×全高:3795×1830×1250mm
ホイールベース:2343mm
車両重量:965kg
エンジン:直4DOHC16バルブ
総排気量:1998cc

最高出力:150ps/6000r.p.m.
最大トルク:19.3kg-m/4500r.p.m.
トランスミッション:5速M/T
サスペンション(F&R):ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):205-50R16/225-50R16

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