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ルノー・ルーテシア(III)R.S.が欲しい!! RENAULT LUTECIA(III)R.S.

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER山本佳吾
協力: ルノー東京有明

ルノー・ルーテシア(III)R.S.が欲しい!!

ルノー・クリオは2005年に第三世代へとモデルチェンジされた。日産のマーチなどに使われているBプラットフォームを使用することでコストを削減。ただしルノー独自の味付けが与えられていた。サスペンションは先代同様前がストラットで後はトーションビームだ。

日本ではこれまで同様ルーテシアの名称で、2006年3月から1.6リッターの3/5ドアが発売された。同年6月に欧州でR.S.(ルノー・スポール)仕様が登場。直4DOHC1998ccエンジンと6速M/Tを3ドアボディと組み合わせ、前後オーバーフェンダー、専用の足まわりやインテリアなどで武装したこのモデルは、ディエップの旧アルピーヌ工場で組み立てられた。ただしこの前期型R.S.は日本市場には導入されずに終わった。

2009年に欧州でビッグマイナーチェンジが行われ、各部がモダナイズ。日本にはこの年秋に、待ち望まれていたルノー・スポール仕様から導入された。202psとなった2リッター・エンジンを3ドアボディに搭載し、ハンドリングと乗り心地を両立したシャシースポールを採用。前ブレンボ、後TWR製キャリパーの強力なブレーキも標準装備されていた。

2010年2月に標準仕様のフェイズ2モデル(5ドアのみ)が日本で発売。同年9月に、ルーテシア誕生20周年を記念した限定車、R.S.エディション・リミテ・ヴァンタン(シャシーカップ)を30台限定発売。更に10月には各部を専用部品&カラーで纏めた、ゴルディーニR.S.(シャシースポール)をやはり30台限定発売。そして同年12月には、カーボン製リアディフューザーや専用ブラックホイール、ブレンボ製レッドキャリパーなどを備えた、R.S.コンプリート(シャシーカップ)をまたも30台限定発売。これをもってルーテシアR.S.の日本市場での販売は終了されたのだった。

EXTERIOR & ENGINE

最高に運転が楽しいスーパーホットハッチ

派手な大型スポイラーなどは備わらないが、見るからにスポーティな雰囲気に仕立てられたエクステリア。拡げられたフェンダーのお陰もあり、四輪が踏ん張っているように見える。

切れ長のフロントライトは、一番上がウインカーで、HIDのロービームと通常のハイビームがその下に並ぶ。バンパー部はフォグ。

テールランプは上がブレーキ灯で、中がウインカーとバックランプ、下がリアフォグという配置。中央部が円にデザインされている。

エキゾーストエンドは左右2本出し。空力的に優れるリアディフューザーも備える。オプションでカーボン製も用意された。

前後フェンダーは共に幅広の専用パーツ。フロントフェンダーは後部に排気スリットを備える。

202psを発揮する2リッター直4 DOHCエンジン。リッター100psを超えるハイチューンNAエンジンだが、低速からトルクがあり扱いやすい。

215/45R17サイズのコンチネンタル・スポーツコンタクト3を、純正の星型スポークホイールに履く。

INTERIOR & LUGGAGE

内外装とも専用部品が多用され魅力度アップ

インストゥルメントパネルは曲線を多用したデザインで、あまりスパルタンさは感じられない。メーターやスイッチは非常にわかりやすく、操作系で迷うということはなかった。シフトレバーのタッチも自然で、ドライビングに集中できる。

盤面に黄色のアクセントが与えられたタコメーターが個性的。レッドゾーンは7500r.p.m.から。スピードメーターにRENAULT SPORTのロゴが入る。

フェイシアの上にマルチディスプレイがあり、センターコンソールにエアコンとオーディオの操作系が並ぶ。現車はHDDナビを装備。

ルノー・スポールだけの装備の一つがこのアルミ製ペダル。軽量なだけでなく、パンチング加工により滑りにくくなっているのも特徴。

専用のフロントシートは、大きめで全体に厚みがあるため座り心地がいい。それでいてサポート性も高い。ヘッドレストにRENAULT SPORTのロゴが入る。

リアシートも十分に実用的。大人2人なら問題なく座れ、3人乗車も短距離なら可能だろう。3席にISOFIX機構を備えているのはさすがだ。

通常状態のラゲッジルーム容量は288リッター。このサイズのハッチバック車としては標準的な広さだが、床が低くフラットで使いやすい。

後席のシートバックは6対4分割可倒式。これにより荷室容量は最大694リッターまで拡大できるので、かなり大きな物も積載できる。

IMPRESSION

ハイパワーNAエンジンと軽量ボディで抜群の切れ味

今回お借りしたのは2010年式のルーテシアR.S.標準仕様。ホールド性に優れるだけでなく、厚みがあって座り心地も良いシートに腰を落ち着け、エンジンをかける。NAでリッター100psを超えるハイパフォーマンス・ユニットだけに、それなりに勇ましいサウンドではあるのだが、決して不快ではない。

新車の時に試乗した際もそうだったのだが、走り出して真っ先に感じるのは、低速からきちんとトルクがあるのに、高回転まで気持ち良く吹け上がるエンジン特性の良さだ。このエンジンを6速M/Tで操る作業はこの上ない快感で、1240kgの車体(それでも十分軽量)が、まるで900kgくらいに感じられるほど。この心が沸き立つような楽しさは、今から30年ほど前に、アウトビアンキA112アバルト、ルノー5アルピーヌ、フィアット・リトモ130TCといった、ラテン系ホットハッチを走らせた時の感覚に似ている。

ハンドリングも軽快そのもの。今回はハードな走行を行わなかったが、以前ワインディングで乗った時には、そのストロークしながらスタビリティをどこまでも失わない特性に驚いたものだ。もちろん足まわりはハードな設えなのだが、シャシースポールは街中での乗り心地が犠牲にされておらず十分実用的だ。

21世紀生まれなのにどこか懐かしい。ハードなのにどこか優しい。若い頃ホットハッチで随分楽しんだ年代の方が、非日常を求めて走らせるのに、これほど相応しいクルマはないだろう。

SPECIFICATION
RENAULT LUTECIA III R.S.
全長×全幅×全高:4020×1770×1485mm
ホイールベース:2585mm
車両重量:1240kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC 16バルブ
総排気量:1998cc
最高出力:202ps/7100r.p.m.

最大トルク:21.9kg-m/5400r.p.m.
トランスミッション:6速M/T
サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):215/45R17

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