BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
ホントに買っていいんですか?
気になるクルマをユーザー目線で掘り下げます

FIAT PANDA

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER宮越孝政
協力: コレツィオーネ

MARKET INFORMATION

多いのは1994年以降の1100仕様
価格は程度差により40~100万円

初代パンダをTIPO本誌のパーチェス・プロジェクトで取り上げたのは、1994年2月号、1998年6月号、2001年11月号、2009年8月号、2018年4月号の全部で5回。その中で中古車相場は、1994&98年が5~150万円、2001&09&18年が30~130万円程だった。

では現在はどうかというと、2018年と同じ大体30~130万円に収まっており、中心は40~100万円の価格帯。つまり初代パンダの中古車価格は、30年近くほとんど変わっていないことになる。

新車価格が100万円台の大衆車で、こうした相場の推移は非常に珍しいのだが、それだけこのクルマが世代を超えて愛されていることの証だろう。

現在タマ数的には、1994年モデルとして国内発売された1100系の、特に1997~99年の最終型がやはり多い。グレード的には、年式が後期になるほどセレクタの比率が増えるが、中古車市場全体では、FFのM/Tモデルが最も多いという。

グレードによる価格の違いだが、今回車両をお借りしたコレツィオーネの成瀬代表によると、「セレクタは他のグレードに比べて人気がなく、価格は少し安くなります」とのこと。

確かにECVTの修理が難しい以上、M/Tの方が安心というのもよくわかる。ただ逆に、程度が良いセレクタを狙うという手もアリだ。なお4WDはタマ数が少ない上に、程度次第で売値はかなり大きな幅がある。

1989〜1999年式30〜130万円

(2020年6月調べ)

TROUBLE SHOOTING

01:基本的に丈夫だが消耗品は早めの交換を

初代パンダは構造がシンプルゆえ、この時代のイタリア車としては、比較的トラブルが少ないという。とはいえ新しいものでも車齢は20年を超えるため、消耗品は早めの交換を心掛け、労りたい。

エンジンオイルは相性の良い部分化学合成油を、3000~5000kmを目安に交換したい。またサスペンションのブッシュやエンジン&ミッション・マウントなどは、3万kmごとに交換したい。

02:ECVTは修理が困難なので丁寧に操作を

初代パンダで最もトラブルが心配なのは、富士重工(現スバル)製のECVT だ。不具合が生じた場合、既に補修用パーツの供給が終了しており、中古部品と交換するしかないのだという。

このためセレクタが希望の場合、購入時に振動や滑りをチェックの上、購入後はセレクターレバーの丁寧な操作を心掛けたい。また始動直後は無理に回転を上げず、オイルも早めに交換したい。

03:電気系やクーラーは経年劣化を覚悟

電気系のトラブルはそれなりに起こる。まず点火系だが、アイドリングで失火する症状が出たら、デスビ周りのチェックが必要となる。またパワーウインドウは、モーターの劣化などは覚悟したい。

クーラーは日本製ユニットを日本で装着している場合がほとんどだが、それでも経年劣化によるガス漏れや電気系の不良などは起こりやすい。作動時に違和感を感じたら早めにチェックを。

04:樹脂製パーツや幌は基本的に修理可能

樹脂製パーツの劣化も、ある程度覚悟が必要だ。フューエルキャップが開きにくくなったり、インパネのスイッチが割れたりはよくあるそうだが、パーツはあるという。

Wサンルーフの幌は、社外品で修復可能なので心配ないが、固定用ベルトなど入手が難しいパーツもあるそう。また最終期の細かい柄のシート生地は擦れやすいが、同じ柄の生地が入手不可能な場合もあるので注意したい。

TOPICS

変わり種パンダたち

20年以上の長きにわたり生産された初代パンダだけに、日本には輸入されなかった、非常にユニークな仕様も存在した。例えば1990年から生産されたエレットラは、時代を先取りした電気自動車。ただし最高速度70km/hで航続距離も70kmと、実用性は低かった。またスペインのセアトがライセンス生産したパンダは、同社とフィアットの提携解消後、1987年からマルベーリャの名で、前後のデザインを変更して生産された。

電気自動車のエレットラ。

セアト・マルベーリャ。フロントにスラントノーズを採用する。

1 2 3