BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
ホントに買っていいんですか?
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シトロエンCXが欲しい!! CITROËN CX

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: MODERN-SUPPLY GARAGE

IMPRESSION

ふわりと浮いているような乗り心地と
不思議なハンドリング感覚が面白い!

今回の取材車両は1986年式の『CX25 GTi シリーズ2』。販売価格はベース状態と、ある程度仕上げた状態で50万円程異なり、ボディ塗装は別途相談とのこと。

乗り込むと、ソファーのように包み込まれるシートにまず感激する。サイズは決して大きくないが、身体に一切負荷がかからない印象なのだ。走り出そうとブレーキを踏んだところで、かつての愛車エグザンティアが突然思い出された。そう、C5以前のハイドロ・シトロエン独特の、踏力でコントロールする、スイッチのようなブレーキペダルだったからだ。思わずニンマリしたところで、一般道路に出た。

ステアリングは、常に直進に戻ろうとするセルフセンタリング式で、交差点を曲がるたび若干違和感を感じるものの、これはこれで面白い。ハンドリングそのものは結構クイックなので、急激にロールしないようにコントロールするのも意外に楽しい。

だがそれ以上に嬉しいのは、やはり乗り心地が最高に気持ち良いことで、普通に運転しているだけでウキウキしてくる。自分は普段C5を足にしているが、それより遥かに「地面から浮いている」感覚が強いのだ。誤解されないように言っておくが、タイヤからのインフォメーションはあるし、段差などは明確に伝えてくる。それなのに、これほど浮遊感があって、未来的とすら感じられるこの乗り心地こそが、CX最大の美点と言えるだろう。

エンジンは実直そのもの、3速A/Tは古臭いが、それらはどうでもいいと思えるほど、CXは不思議な魅力に満ちていた。

ANOTHER CARS

希少なプレステージュも十分狙える

ハイドロ系シトロエンが得意なモダンサプライ・ガレージでは、常に複数台CXを在庫している。今回ご紹介したシリーズ2 GTi以外では、シリーズ1の1985年式プレステージュもお勧めの1台とのことだった。この2台、実はエンジン&ミッションは全く同じ仕様である。

プレステージュは1985年式。エンジンは2.5リッター+インジェクションの135ps仕様で、3速トルコンA/Tを組み合わせる。車検取得のための整備を済ませた状態で、前述のCX25 GTi Series2とほぼ同じ価格だそうだ。また、内外装のリフレッシュを施すとプラス60万円ほどになり、塗装も全てやり直した状態だと更に100万円程プラスとのこと。

シリーズ1後期のプレステージュ。250mmホイールベースが長く、ルーフも高くなっている。

リアドアが長いのがわかる。最高グレードゆえ、レザートップやメッキパーツを採用している。

シリーズ1のメーターはボビン式。左が速度計で右が回転計。数字が左右に流れて表示される。

後席は全体に厚みが増し豪華な雰囲気。足元は広大で、カーペットと同生地のフットレストが備わる。

MARKET INFORMATION

ベース車両は80~180万円程だが
初期化の費用を多めに用意したい

現在日本国内で売られているシトロエンCXの中古車は、多くが80~180万円の価格を付けられている。ただしこれは、最低限走れる状態にした、いわばベース価格で、ここからどのようにいくらで仕上げるかは、お店側とユーザーが話し合って決めるということが多いようだ。

中には日本に正規で輸入されなかったグレードやエンジンのもの、ごく低走行なもの、フルレストアされたものなど、付加価値の高い個体もあり、場合によっては500万円前後の価格が付くこともある。ただし、いわゆるディーラー車の場合は、かなり手を加えて美しく仕上げられた状態でも、販売価格としては300万円前後が上限のようだ。

ところでCXの先代であるDS/ID系は、ここ数年のクラシックカー・ブームの影響で、価格が高騰している。以前は350万円前後でそれなりに良い状態のものが選べたが、現在は最低500万円前後で、良い状態だと1000万円前後するようである。

それを考えると、CXの価格は安く思えるのだがいかがだろうか? おそらく今後、CXはヒストリックカーとしての価値が高まると思われ、程度の良いものは値段が上がる可能性がある。 またCXの場合、プレステージュやファミリアールの方が、標準的なセダンより若干価格は高くなるようだ。ただし基本的には、個体の程度の良し悪しで価格は決まると言えるだろう。

シトロエンCX 80〜300万円

TROUBLE SHOOTING

01:メンテは経験豊富なショップに任せたい

シトロエンCXは、例えシリーズ2であっても、既にクラシックカーの範疇に入るクルマであり、ノートラブルで日常的に使えるとは考えない方がいい。そもそも設計が古く整備性が悪い上、独特のコツが必要なので、旧いハイドロ・シトロエンの経験が豊富なショップにメンテナンスを任せることが重要だ。購入する際は、突発的な出費に備え、ある程度予算を残しておくことをお勧めする。

02:シリーズ2は内装の樹脂パーツに注意

今回取材したシリーズ2の注意すべき点としては、まず内装の樹脂系パーツが変形しやすいとのこと。新品部品の入手は難しいが、小さな物なら3Dプリンターで再生できる場合もあるとのことだ。ハイドロニューマチックはサスペンション、パワーステアリング、ブレーキに使われるが、ジョイント部などからLHMが漏れることがある。特にステアリングラック付近は可能性が高いとのこと。

TOPICS

DSに続き国際ラリーでも活躍

かつてDSがそうであったように、実はCXも国際ラリーで活躍している。WRCこそ、1977年アクロポリス・ラリーの6位が最上位だが、1976年モロッコ・ラリーで4位入賞、ツール・ド・セネガルでは1977年に1~5位独占、1978年も1〜3位と6位になるなど大活躍。1977年にはロンドン-シドニー・マラソンで3、4、7、10位に入賞し、コンストラクターズカップを獲得した。更に1981年にはパリ-ダカール・ラリーにも出場している。

アフリカが舞台のラリーレイドで強かったCX。

ツール・ド・セネガルでは1977年、1978年に上位を独占。

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