BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
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ALFA ROMEO SZ/RZ

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: コレツィオーネ

アルファロメオ SZ/RZが欲しい!!

アルファロメオは1950~70年代に、カロッツェリア・ザガートとの共同で、いくつかのスペチアーレ・モデルを生み出してきた。

1986年にフィアットがアルファロメオを傘下に収め、ブランドイメージ向上のため、久しぶりにザガートとのコラボレーションモデルを企画する。ベースに選ばれたのは、当時の主力車種だったアルファ75で、アルフェッタ以来のトランスアクスルを採用したプラットフォームをほぼ流用。ただしフロントのダブルウィッシュボーン・サスペンションは、スプリングが75のトーションバーではなくコイルを用いている。また約4cm車高を上下できる機構も採用された。エンジンは75アメリカなどで使われたV6 SOHC 2959ccで、210psまでチューンして搭載された。

ポイントとなるボディデザインは、フィアット・デザインセンターのロベルト・オプロンの原案を、アルファロメオ・チェントレスティーレとザガートが協力する形で仕上げられた。

1989年のジュネーブ・ショーでES30の名でプロトタイプが発表され、ザガートで生産を開始。その後SZとして市販に移された。生産台数は当初1000台が予定されていたが、1991年までに1036台が作られた。その後1992年に、オープントップに改造されたRZが発表され、1992年までに284台を生産。日本では両モデルとも、正規代理店を通じて数十台が導入され、並行輸入車もかなりの台数が輸入されている。

EXTERIOR & ENGINE

今見てもとびきり個性的な高性能クーペ

今見ても斬新さを失わないデザイン。発売当初は賛否両論があったが、今となっては圧倒的にカッコイイと言う人が多いのが不思議だ。それだけ先進的だったということか。

ヘッドライトは角型3連で、外がプロジェクターのロービーム、中がスモール&ハイビーム、内がパッシング用。

テールライトは横長で、外がウインカー、内がスモール&ブレーキ、更に内側がバック。

フロントフェンダーにザガート・ミラノのエンブレムが備わる。

タイヤは前が205/55RR16、後が225/50R16。現車はミシュラン・パイロット・スポーツ3を履く。また前ブレーキはタロックスのキャリパーを装備。

210psの3リッターV6 SOHCエンジン。パワフルなわけではないが、気持ち良い回転の上昇感と抜群のサウンドで魅了する。

INTERIOR & LUGGAGE

外観に比べオーソドックスなインテリア

インパネは中央部がドライバーの方に湾曲した形状で、各メーターが見やすい。ステアリングはmomoのザガートデザインが標準で備わる。

メーターパネルはカーボン製。メーターはVEGLIA 製で、シンプルなデザイン。スピードとタコにはアルファのマークも入る。

センターコンソール上部に並ぶメーターは、左から電圧、油圧、水温、燃料の順。空調はエアコンではなく、冷房はクーラーだが、スイッチはここに集約。

インパネ形状は割と普通だが、シート形状は外観に負けないユニークさ。座り心地は硬め。

SZには独立したラゲッジルームはなく、シート後方部分がこれに該当。ベルトで鞄などは固定できる。

リアのリッドを開けた奥にある部分は、スペースセーバータイヤで占拠されている。スペアタイヤを外せば、多少の荷物を入れられる。

IMPRESSION

アルファV6の快音を聞きながらFRの素直な操縦性を堪能できる

今回お借りしたのは、基本的にノーマルでコンディション良好なSZ。ただしフロントブレーキがタロックス製キャリパーに変更され、ブッシュ類にシリコンゴムが使われているという。

まず乗り込んで感じるのは、シートが思ったほどサポートせず、硬めの印象なこと。ただし着座位置はそれほど低くなく、背の低い筆者でも視界は良好だ。エンジンをかけ走り出すと、そのパワーステアリングの自然さに思わずニンマリしてしまった。軽すぎず重すぎない、絶妙なフィールなのだ。しかも切れば切っただけノーズがスッと入る感覚で、前後バランスの良いFR を運転しているということを、改めて認識させてくれる。

ただそれ以上に快感なのは、やはりエンジンだ。各ギアで少し引っ張ると、アルファ謹製のV6 がトロけるような快音を発する。155やGTV 系にもほぼ同じエンジンを搭載する車両があるが、縦置きされたエンジンから聞こえる音は、更に一段と良く感じられるから不思議だ。

乗り心地はそれなりに硬めだが、前後55/50の偏平率の16インチタイヤと、アルファらしく路面をいなしながら、きちっと4 輪を接地させるサスペンションが、不快な印象を一切与えない。ただ現車はブッシュ類を変更しているせいか、どことなく当たりが硬いというか、ソリッドに感じられることがあった。

ブレーキに関しては、フロントに6 ポッドキャリパーが奢られており、全く問題なかった。クーラーも効いており、怪物を涼しい顔で運転できたのだった。

SPECIFICATION

ALFA ROMEO SZ
全長×全幅×全高:4060×1730×1310mm
ホイールベース:2510mm
車両重量:1260kg
エンジン形式:水冷V型6気筒SOHC 12バルブ
総排気量:2959cc

最高出力:210ps/6200r.p.m.
最大トルク:25.0kg-m/4500r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/ド・ディオン+セミトレ+ワッツリンク
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):205/55R16/225-50R16

VARIATION

RZ:さらに希少なオープン仕様

1992年に発表されたRZは、細かい部分がSZとは異なっている。オープン化に際して、シャシーに補強を加えた上で、ボディパネルを変更。ボンネットはスリット風のものがなくなり、フロントバンパーはエアインテーク形状や下側の厚みが変更されている。これに合わせサイドスカートも厚みが少ない。幌は手動で、新設された後部FRPパネルの下に収まる。車重は100kg増しの1380kg。ボディ色は赤以外に、黄、黒も用意された。生産台数は284台に終わった。

SZに比べると、怪物感が薄れ、カジュアルな雰囲気も感じられるRZのエクステリア。開発にはエルコーレ・スパーダも関与した。
オープン化に伴い、ウインドー部分までの厚みが強調された感のあるリアビュー。乗員は首から上だけ出る形に。
幌(手動)を閉めるとご覧のようなスタイル。それほど違和感を感じさせないところは、さすがザガート。
赤(黒ルーフ)のみだったSZ に比べ、RZ は黒と黄色のボディも用意された。また特注で銀、緑、白も存在。
SZとは印象が異なるインテリア。シートは形状こそ同じながら、黒または赤のレザーが採用された。またセンターコンソール後方にボディ同色のパネルが装着され、リアに新設された幌カバーと連結する。
インパネの形状は同じながら、メーターが白の文字盤に変更されたことが目を引く。
シート背面を倒すとラゲッジルームと直結する。リアカバーはスイッチでも開けられる。
後方はFRP 製の大きなカバーが付けられ、その前に幌収納用のカバーも装着される。
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