BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
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PORSCHE 997

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER宮門秀行
協力: ポルシェセンター横浜 青葉認定中古車センター

ポルシェ997が欲しい!!

997のコードネームを持つ6代目ポルシェ911は、2004年5月に発表された。先代996とはフロアの一部やルーフが共通だが、それ以外の部分を強化しつつ刷新。シャシーはサスペンション形式こそ前ストラット、後マルチリンクで同一だが、前後サブフレームが一新されていた。

日本には同年後半から導入され、当初クーペでRWDの911カレラ(3.6リッター/325ps)と911カレラS(3.8リッター/355ps)を用意。6速M/Tまたは5速ティプトロニックSが組み合わされ、PCCBなど様々なオプションが用意された。

その後様々なバリエーションが登場。詳細は別項の通りだが、2005年にRWDのカブリオレと、ワイドボディで4WDのカレラ4&同カブリオレ。2006年に3.6リッター・ツインターボ/480ps+4WDの911ターボ、電動スライドルーフのタルガ4&4S、3.6リッター/415psのGT3。2007年にターボ・カブリオレと3.6リッター・ツインターボ/530ps+RWDのGT2といった具合だ。

2008年夏に、直噴化された新エンジン(3.6リッター/345ps、3.8リッター/385ps)を搭載し、ATが7速PDKに進化した後期型が登場。これも順次バリエーションを増やし、2009年に435psのGT3と500psのターボ、2010年に530psのターボSと408psでRWDのカレラGTS、2011年に同+4WDのカレラ4GTS4が登場。同年末に991型に代替わりした。

EXTERIOR & ENGINE

現行モデルより締まった印象の
デザインが特徴

現行992型911より、全長で94mm、全幅で42mm小さいため、小さく見える997。ホイールベースが100mm短いことも影響しているのかも知れない。取材車は2008年式のカレラSクーペPDK。

現車はロービームが向きを変える、オプションのダイナミックコーナリングライトを装着。

テールライトは外がブレーキで内がバックフォグ(右側のみ)。中はウインカーとバック。

997後期型の直噴エンジンは完全に新規に設計されたもの。カレラSの3.8リッター仕様は385psを発揮する。A/TもPDKに進化しており、フルチェンジに近い変更を受けていることがわかる。

カレラSは左右4本出しのエキゾーストを装着。直墳化に伴いサウンドは少し控えめに。

タイヤは前235、後295幅の35扁平19インチ。現車はポテンザRE050Aを履いていた。

INTERIOR & LUGGAGE

いつの時代も機能的で
見やすく、使いやすい

機能的でわかりやすいインパネ。PDKの操作はステアリングのスイッチで行い、親指で押すとアップ、人差し指か中指で引くとダウン。

メーターはポルシェらしい5連の丸型タイプ。両サイドは油温と油圧。デジタルを含めて非常に見やすいデザイン。

現車はオプションのスポーツクロノパッケージを装備するため、インパネにストップウォッチが備わる。PDKはセレクターレバーでも操作可能。

ポルシェらしいモノフォルムのシートバックを持つシート。スライドは手動で、シートバック調整は電動。座り心地は硬めだが快適。

リアシートは小柄な人なら座れるだろうが、実質的には子供か荷物用。ただこれがあることによる安心感は大きい。

後席シートバックはこのように倒れるが、細かく段差ができるため、大きな物は積めなさそう。

トランクは深さはあるものの奥行がないので、あまり大きなバッグは入らない。奥の樹脂部分は2/3が小物入れ。

IMPRESSION

コンパクトで扱いやすいが
イザとなれば圧倒的な速さを発揮

今回取材でお借りしたのは、2008年登録のカレラS・PDK。後期型の初期モデルで、ブルーのボディが魅力的な1台だ。

実は997が発売された直後に試乗した記憶があるのだが、その時の印象は「快適だけれど、大きく重くなって、空冷時代とはまるで違うクルマだ」というものだった。ところが久々に乗ってみたところ、「あれ、こんなにコンパクトで軽かったっけ?」と、驚いてしまった。

コンパクトに思えたのは、997に続く991と992の各モデルの車体が大きく、ポッテリした印象であることも一因だろうが、世の中のクルマ全体が大きくなっているため、相対的に小さく感じられたというのが正解だろう。

では軽く感じたのはなぜか? これは年々進化を続けているエンジニアリングの影響が大きそうだ。直噴化された3.8リッター・エンジンは、低回転から十分なトルクを発揮するため、街中では非常に静か。またデュアルクラッチA/TのPDKは変速がスムーズで、ほぼショックを感じない。更に、35扁平の19インチタイヤを履くにも関わらず、乗り心地は柔らかく、至極快適なのだ。

もちろんアクセルを多めに踏めば、極めて鋭い加速を愉しめるが、常にジェントルで、イザとなれば速いというこの性格が、軽いと思わせる理由なのだろう。

それにしても、これほど快適なスポーツカーは珍しい。運転席からの視界も良く、小振りで取り回しも楽。ポルシェは最新こそ最良と言われるが、個人的にはこの997の方に、この後のモデルより強く魅力を感じてしまった。

SPECIFICATION

PORSCHE 911(997)CARRERA S COUPE PDK
全長×全幅×全高:4425×1810×1300mm
ホイールベース:2350mm
車両重量:1460kg
エンジン形式:水冷フラット6 DOHC 24バルブ

総排気量:3800cc
最高出力:385ps/6500r.p.m.
最大トルク:42.8kg-m/4400r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/マルチリンク
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):235/35R19/295/30R19

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