BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
ホントに買っていいんですか?
気になるクルマをユーザー目線で掘り下げます

シトロエンBXが欲しい!! CITROËN BX

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: MODERN-SUPPLY GARAGE

IMPRESSION

独特の浮遊感と癖のあるブレーキ
身体に馴染むと抜け出せなくなる!

今回取材でお借りしたのは、1991年式『16TZS』と、1989年式『19TRIブレーク』の2台。このうち前者は、当時西武自販の専売グレードだった、シングルキャブレター付1.6リッターエンジン搭載車で、左ハンドルの4速A/T。

厚みがそれほどあるわけでないのに、座ると沈み込んで身体を包む独特のシートに腰を下ろし、Dに入れて走り始める。

92.5psのエンジンは、非力かと思いきや、意外にも過不足なく1トン強のボディを加速させていく。ブレーキはこの時代まだハイドロ制御のため、ペダルを踏む力で効きをコントロールするスイッチ的な感覚だが、慣れるとこれが楽しく思えてくる。

パワーステアリングもハイドロ制御で、少し遅れてアシストが入るような独特の感覚だが、これもすぐに慣れてしまう。

あとはもう、ハイドロニューマチック特有のフワリと浮いたように感じられる乗り心地に身を任せていれば、実に快適に過ごしていられる。自分が普段足に使っている、ハイドラクティブIIIのC5に比べると、ピッチング、ロール共に大きくて、飛ばす気が全くおきないが、これはこれで安全なような気もした。

もう一台の19TRIブレークに乗り換えてみよう。セミバケット風シートは標準型に比べてやや硬めだが、今となってみると、これでも十分にソフトで心地よい。1.9リッターエンジンはインジェクション付なのでアイドリングでも安定しており、走り出すと、16TZSより明らかにトルクフルな印象。こちらの方が気軽に乗れそうな感じを受けた。

OTHER MODEL

5ドアと後席ドアまで共有しながら、近未来感を持つワゴンボディを仕立てたベルトーネ(ガンディーニ)の力量はさすが。TRIはバンパーとボディサイドに細いモールが装着される。
荷室部分はルーフが僅かに高くなり、ルーフレールも備わる。現車は19TRI初期型で、ホイールキャップは短期間のみ使われたもの。
エンジンは電子制御燃料噴射付1.9リッター直4SOHC/120ps。GTiと同じエンジンで5ドア19TRIより20psパワフル。
TRI、TZI系はセミバケットタイプのシートを装備。登場した当時は硬いと言われたが、今となってはソフトでこれも快適。
ブレークの荷室は容量が大きいだけでなく、フラットな床面の高さまでテールゲートが開くので、重いものが積みやすかった。

CITROËN BX 19TRI BREAK
年式:1989年

走行:5.3万km
1.9リッター+インジェクション+4速A/T

MARKET INFORMATION

メンテを加えて100~150万円
ボビンとGTi 16Vは+50万円

現在市場に流通しているBXは、基本的に実動で、そこそこ良い状態にある個体が多い。とはいえ、生産終了から四半世紀を経たクルマゆえ、それなりに各部は傷んでいるはず。このため車両価格は、あくまで最低限の整備費用、「車検を取得できるようにするまでの価格」を含めた値段と考えた方がいいだろう。

あとは自分がどうしても気になる箇所とか、壊れる前に予め交換しておきたい部分などに、ショップと相談して手を入れてから乗り出すことをお勧めする。

中古車流通サイトなどを見ると、現在BXは60~100万円程の価格のものがほとんどだが、これに前述のような修理、もしくは初期化費用として、数十万円追加する気持ちでいて欲しい。

なおBXの中でも初期型のボビンメーターのモデルと、高性能なGTi 16Vおよび16Vは、それ以外のグレードより50万円前後高くなるとのことだった。

今回お借りした16TZSは走行7.2万kmと、10万kmオーバー車が多いBXの中ではかなり低走行の個体で、78万円(取材時)の価格だった。だが、内装パーツの割れなどいくつか気になる部分もあり、せっかくならそうした箇所を直したいと考えてしまった。

おそらくどのBXも同様だろうから、自分が欲しいグレードやボディを決めた上で、中古パーツが入手しやすい専門ショップに相談するのが、正しいBXの買い方であるような気がする。

5ドア&ブレーク(SOHCモデル)60〜150万円
初期型(ボビンメーター)100〜200万円
19GTi 16V100〜200万円

TROUBLE SHOOTING

01:ATや足周りは壊れる前に対処を

ハイドロはオイルが漏れる箇所が決まっており、定期的にパーツを交換することで対処できる。ZF製4速A/Tは耐久性が乏しく、1~2万kmごとのATF交換が必要。またZXやエグザンティアのA/Tに交換することも可能だそうだ。ストラットのアッパーマウント抜けは持病で、リビルトの対策部品への交換がお勧め。フロント・ストラットの作動不良もよくあるが、国内でOHできるという。

02:新品がないものは中古品に交換

タイミングベルトは5~6万kmごとの交換が必要。またリアサスペンションのアームベアリングが7万km程で劣化するそうで、交換が必要とのこと。悪化するとアーム本体の交換になる。内装では樹脂パーツが劣化しやすい。割れなどが生じた場合、新品はないので、中古パーツに交換するしかない。またボビン時代のシート生地は擦り切れやすいが、これも似た生地に張り替えるしかない。

TOPICS

グループBから驚きの改造車まで

BXの変わり種ということでは、WRC挑戦を目指して、当時のグループB規定で作られたBX4TCが有名だ。2.14リッター直4SOHCターボ・エンジンを、4WDと組み合わせる。市販車で200ps、ラリー車は380ps。ラリーでは活躍できなかったが、1985年に200台が市販された。

またフランスのカロジエであるユーリエは、BXベースで様々な改造車を製作、市販した。写真は2ドアワゴンのディアナ。スタイリッシュで非常に魅力的だ。

BX4TCの市販仕様。2.14リッター+ターボエンジンは縦置きされるため、ノーマル車よりノーズが長い。
カロジエ(コーチビルダー)のユーリエが生産した2ドアワゴンのディアナ。美しいボディ形状が魅力。
1 2 3