BUYERS GUIDE

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FERRARI 456GT/456M GT

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
協力: コレツィオーネ

フェラーリ456GT/456M GTが
欲しい!

フェラーリ456GTは1992年、ベルギーのエキュリー・フランコルシャン(往年のレースチーム)40周年記念イベントで発表された。V12エンジンをフロントに搭載する2+2クーペは、1989年に生産を終了した412以来で、先代の角張ったノッチバック・スタイルから、先々代の365GTC/4に近い、エレガントなファストバック・スタイルになった。

このボディデザインはピニンファリーナが担当。シャシーは伝統のスペースフレームで、サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン。エンジンは新設計の5473cc V12DOHC48バルブで、同時期に市販されていた512TRを上回る442psを発揮。またトランスアクスル化によりリアに搭載されるミッションは、当初6速M/Tのみが用意された。

ブレーキはATE製4ポッド・キャリパーを備える、ベンチレーテッド・ディスクを4輪に装着、ABSも装備していた。

日本では1993年秋から発売され、翌94年にデリバリーが開始されている。

1996年に、イギリスのリカルド社と共同開発した4速A/Tミッションを搭載した、456GTAが登場。先代は3速A/Tだったため、燃費も改善された。

1998年には、フロントグリルの形状を変更し、ボンネット上のエアアウトレットを廃止、インパネ形状を見直すなどした456M GT/GTAが登場する。その際ボンネットはカーボン製となり、ABSに加えてトランクション・コントロールも標準装備となったほか、左右エアバッグが装着されることになった。 日常的に使える12気筒フェラーリとして根強い人気のあった456シリーズは、2003年までの10年間に3300台弱が生産されたと言われている。

EXTERIOR & ENGINE

エレガントで実用的な
大人のゴージャスGT

2+2のためリアからの眺めはややマッシブだが、スポイラーなどを持たないシンプルな造形は1960年代製のベルリネッタを彷彿させるもの。取材車両は1995年式456GT(6速M/T)。

横長のリトラクタブル・ヘッドライトはロー&ハイビームで、バンパー部はフォグランプとスモール&ウインカー。

フロントフェンダー後方にもエアアウトレットが備わる。段差のある車体側面デザインがユニーク。

リトラクタブル・ライトの後方に、ラジエターのエアアウトレットが備わる。456M GTでは廃止された。

伝統の丸4灯タイプのテールライトは、外側がスモール&ブレーキとウインカー、内側がバックフォグとバック。

フロントフェンダーごと大きく開くボンネットの下に鎮座する、フェラーリ謹製5.5リッターV12エンジン。見た目も素晴らしい。

この時代までのフェラーリは、エンブレム類も伝統に則ったデザインと配置で美しかった。ノーズに備わるフェラーリのエンブレムは角形のもの。

リアフェンダー前側に備わるピニンファリーナのエンブレムはfマーク付き。

トランクリッド上にある文字エンブレムは、繊細なロゴが美しい。この文字エンブレムは後継の612スカリエッティまではあったが、FF以降には備わらない。

タイヤは前が255/45R17、後が285/40R17サイズ。ホイールは純正の5本スポークを装着している。

INTERIOR & LUGGAGE

クラシカルな雰囲気を残すインテリア

インパネはシンプルなデザイン。シフトレバーはゲートが切られたプレートに沿って動かすフェラーリ伝統の方式。

メーターナセルには跳ね馬マークの入ったヴェリア製の速度計と回転計、各種警告灯しか備わらない。この時代のフェラーリはまだ保守的だったことがわかる。

センターコンソールは一番上が5連メーターで、スイッチを挟んで、シフトレバー、オーディオ、エアコンスイッチと並ぶ。

コノリーレザーをふんだんに使ったゴージャスなシート。前席は電動調整式で、硬めだが座り心地はかなり良い。

後席は大人2人が座れる空間は確保されているものの、前席に大柄な人が座ると、足元のスペースが狭すぎる。

トランクは2人分の旅行荷物なら問題なく入る容量。リッドの切欠きが大きく使いやすい。2人なら後席にもさらに荷物を搭載できる。

IMPRESSION

幅は広いが意外なほど運転しやすい
踏めばトロける快音が車内に響く

フェラーリに乗る時はいつも緊張するが、V12エンジンとなると更にその度合いが増す。独特のクォーというセルモーターの響きの後、腹に響くサウンドがやってきた。今回お借りしたのは1994 年式の456GT で、バーガンディメタリックの外装に黒のコノリーレザー内装という、エレガントでありながらスポーティな雰囲気が魅力的な1台。車内にいる限りはそれほどでもないが、外にいるとかなり迫力あるサウンドを奏でるが、社外品のエキゾーストが備わるからだそうで、ノーマルのエキゾーストも残っているそう。

やや重めのクラッチを踏み、メッキされたゲートに沿ってシフトを操作しスタートする。車幅が1920mmもあるのに、意外や見切りが良く、予想以上に運転しやすい。座面がやや高いのが奏功しているようだ。シフトの入りも思った以上に良いし、軽めのパワーステアリングで操舵も普通に行える。これなら街中でも使いやすそうだ。

もちろん踏めば相当に速いのだろうが、街中ではそうもいかない。それでも3速から2速に落とす時に空ぶかしを入れると、例のフォン! という乾いた快音が聞こえて、12 気筒フェラーリを運転していることを実感できる。 足まわりは絞まった印象だが、乗り心地は悪くない。これなら高速道路の長距離移動は抜群に楽しいはずだ。やはりこのクルマは、お洒落な大人のためのグランドツアラーということだろう。

SPECIFICATION
FERARRI 456GT
全長×全幅×全高:4730×1920×1300mm
ホイールベース:2600mm
車両重量:1690kg
エンジン:水冷V型12気筒DOHC48バルブ
総排気量:5473.9cc

最高出力:442ps/6250r.p.m.
最大トルク:56.0kg-m/4500r.p.m.
サスペンション(F&R):ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(F/R):255/45ZR17/285/40ZR17

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