BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
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PORSCHE BOXSTER(987)

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER山本佳吾
協力: SANC. Tokyo

ポルシェ・ボクスター(987)が欲しい!

ポルシェのエントリーモデルは時代ごとに姿を変えてきたが、1996年に発売された初代ボクスター(986型)は、前作968の直4+FRから一転、ミッドシップにフラット6エンジンを搭載するモデルだった。

この初代ボクスターがモデルチェンジされたのは2004年秋。初代が好評だったこともあり、2代目(987型)は基本設計を受け継ぐ形で開発された。ただし全体の80%が刷新されており、初代が996型911と部品を共用したのに対し、2代目は997型911のパーツを多く流用している。

またモデルチェンジに際しては、ボディ剛性とエンジン性能の向上、インテリアを始めとした各部の質感向上、安全性能とユーティリティの向上、そして更なるメンテナンスフリー化が図られた。

987のエンジンは、当初2.7リッター/240ps(ボクスター)と3.2リッター/280ps(ボクスターS)が用意され、前者には5速M/T(6速はオプション)と5速ティプトロニックS、後者には6速M/Tと5速ティプトロニックSが組み合わされた。また車体姿勢を制御するPSMが標準装備され、サスペンションを電子制御するPASMや、ブレーキにセラミックを使用するPCCB、スポーツ走行時の性能を向上させるスポーツクロノパッケージも用意されていた。

2006年にはボクスターの出力が245psとなり、ボクスターSが3.4リッター/295psに。また2008年には外観を一部変更すると共にエンジンが一新され、ボクスターが2.9リッター/255ps、ボクスターSが直噴3.4リッター/310psとなった。更にA/Tがツインクラッチ式のPDK 7速となっている。

2009年には、ボディを軽量化したスパルタンなボクスター・スパイダー(320ps)が登場。そして2012年に、3代目(981型)が誕生した。

EXTERIOR & ENGINE

高い完成度を誇る
ミッドシップ・オープンスポーツ

初代986型とほぼ同サイズながら、エクステリア・デザインは明らかに洗練された。911と共通のイメージを持ちながら、ミッドシップ2シーターならではの軽快感も強く感じられる。取材車両は2006年式のボクスター、5速M/T。

幌の開閉は、ウインドシールドへのロックのみ手動で、それ以外は電動。開閉には僅か12秒しかかからず、50km/h以下なら走行中も可能。

初代で不評だった涙目のフロントライトは、おむすび型に変更。後期型は三角形に近い形になる。

横に長いテールランプは上がホワイト、下がレッドの2色仕様。後期型は色の配置が逆となる。

ボクスターはエキゾーストパイプ出口が楕円となる。ボクスターSはデュアルの丸型を装備する。

リアウイングは電動格納式で、速度により自動的に伸縮する他、車内から任意に動かすこともできる。控え目な形状がこのクルマに似合う。

987ボクスター初期型に搭載されていた、2.7リッター水平対向6気筒エンジン。240ps/27.5kg-mを発揮。

現車はボクスターS用18インチアルミを装着。センターキャップもカラー仕様に変更している。

INTERIOR & LUGGAGE

質感が大幅に高まった内装で
魅力をアップ

初代986型ボクスターより質感が大幅に向上したインテリア。とりわけベージュ系内装だと、高級感が増すように思える。

それぞれにデジタル表示機能を備えた、とても見やすい3眼式アナログメーターを装備。中央は回転計でレッドゾーンは7200r.p.m.から。

センターコンソールにはナビが装着される。ボクスターSはオートだがボクスターはマニュアルエアコンを装備。

撮影車は5速M/Tを装備。操作はしやすいが節度感はまずまず。M/Tはタマ数が少ないが、人気は高いとのこと。

ボクスターはレザーとアルカンターラのコンビネーション・シートが標準。シート形状は良く、疲れない。

現車にはオプションのウインドディフレクターが装備されていた。オープン時の後方からの風の巻き込みを低減できる。

フロントのトランクは手前側がかなり深くなっており、スペアタイヤがないこともあって150リッターの容量を確保している。

ミッドシップゆえリアにもトランクスペースがある。奥行きはあまりないものの深さはあり、容量は130リッターだが十分に実用的。

IMPRESSION

使い切れそうな適度なパワー感と
ポルシェらしい安心感が快適さを生む

試乗したのは2006年式987型ボクスターの5速M/T。車内に乗り込んだだけで、初代(986)より質感が高いことがすぐにわかる。目に見える部分、手に触れる部分はいずれも同時代の997型911と酷似した印象だ。

操作系は、ペダル類は軽いがステアリングは重め、またシフトレバーは横方向がやや曖昧な印象を受ける。とはいえ走り出してしまえば実に快適で、初代986型初期型のM/T仕様にあった、クラッチの繋がりのシビアさも全くない。これが911だとカレラ2でも緊張を強いられるが、ボクスターなら視界の良さもあって、リラックスしてドライブできる。

240psの2.7リッター・フラット6は3000r.p.m.くらいからクァーンという、いかにもポルシェらしいサウンドを発し始める。空冷911ほどではないものの、背中で精緻な機械が回る音が大きくなるのは快感以外の何物でもない。特にこの個体は5速M/Tなので、自分でそれをコントロールして楽しめるのがいい。ただし加速性能そのものは、1360kgの車体に240psだから、それ程強烈さは感じられない。むしろ、自分で全部使いきれそうな、ちょうど良いパワー感といった感じだ。

ただしボクスターはライトウェイトスポーツカーではない。確かにノーズは軽快に向きを変えるが、常に安定感と安心感が得られるハンドリングは、いかにもポルシェらしいGT的なもの。人生で最初に買うポルシェとして、これほど相応しいモデルはないだろう。

SPECIFICATION
PORSCHE BOXTER
全長×全幅×全高:4330×1800×1295mm
ホイールベース:2415mm
車両重量:1360kg
エンジン:水冷水平対向6気筒DOHC24バルブ
総排気量:2687cc

最高出力:240ps/6400r.p.m.
最大トルク:27.5kg-m/4700~6000r.p.m.
サスペンション(F&R):マクファーソンストラット
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):205/55R17/235/50R17

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