BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
ホントに買っていいんですか?
気になるクルマをユーザー目線で掘り下げます

TRIUMPH SPITFIRE

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
EDITOR&PHOTOGRAPHER崎山裕之(写真協力)
協力: ガレージ日英

トライアンフ・スピットファイアが欲しい!

スタンダード・トライアンフ社は1954年にTR2を発売。その後TR3に進化し、1960年代初頭にはスポーツカー・メーカーとして確固たる地位を築いていた。最大のライバルはBMCのMG&オースチン・ヒーレーだった。

1958年にオースチン・ヒーレーからスプライトが登場すると、これが人気となり、トライアンフも小型軽量なスポーツカーの開発に着手。1962年秋に、スピットファイア4の名で発売された。

ベースとなったのは小型セダンのヘラルドで、バックボーンタイプのX型フレームを短縮して使用。サスペンションは前がダブルウィッシュボーン+コイル、後がスウィングアクスル+横置リーフの4輪独立で、エンジンは直4OHV 1147ccにSUツインキャブを装着、63psを発揮させていた。ボディデザインはヘラルド同様ミケロッティが担当した。

1965年に67psエンジンを搭載したMk.IIに進化。1967年には、1296cc/76psエンジンと高い位置に移されたフロントバンパーを持つMk.IIIが登場するが、翌1968年に親会社のレイランドがBMCと合併し、昨日までのライバルが同じ会社の製品となった。

1970年には、ミケロッティの手でテール部分がスタッグなどと似たスタイルにリファインされ、各部をモダナイズしたMk.IVが誕生。この時リアサスペンションが、ポジティブキャンバーになってスライドするスウィングアクスル独特の動きを抑制するべく改良された。また1973年からは北米と日本に、排ガス対策された1493cc/57psエンジンが搭載されている。

1974年に欧州仕様も1493ccエンジン(71ps)を搭載し、グレード名を1500に統一。北米&日本向けには大型のオーバーライダーが装着された。

1979年に樹脂製の一体型バンパーを採用。1980年に生産を終了した。

EXTERIOR & ENGINE

70年代風になった
ボディと軽快なエンジン

Mk.IVからテールの形状が改められ、1970年代らしいデザインとなった。ただしコークボトル的な基本フォルムは変わっていない。リアバンパーには、フロントにある樹脂のオーバーライダーがつかない。取材車両は1971年式スピットファイアMk.IV。

ヘッドライトはシールドビーム、フロントウインカー&スモールはルーカス製。またフロントバンパーは本来横に長い一体型だが、現車は2分割仕様にモディファイされていた。

同時代のフラッグシップモデル、スタッグとよく似たルーカス製のテールライトだが、形状は異なる。

幌は出し入れが比較的簡単。ただしフロントスクリーンへの固定は小さなレンチで行う。ビニールウインドウは中央のみの開閉も可能。

左右ドアに付くメッキされたサイドミラーは、日本で装着された可倒式ナポレオン・ミラー。

Mk.IIIまでは繊細な形状だったドアノブは、Mk.IVから鍵穴一体型の台座付タイプに変わった。

ボンネットはこのように、インナーフェンダーごと逆アリゲーター式に大きく開く。当然、メンテナンス性は極めて高い。

直4 OHV1296ccのエンジンは、SUツインキャブ装備で76ps。この後日本に輸入される1.5リッター・エンジンより、吹け上がりが軽快で運転が楽しい。

純正のスチールホイールは、センターキャップを共締めするタイプ。タイヤは155/80R13サイズのダンロップEC201を装着していた。

INTERIOR & LUGGAGE

シンプルだが着座位置が低く
スポーティなインテリア

それまでセンター部に4連メーターがあったインパネは、Mk.IVで形状を一新。ステアリングも変更された。

スピードメーターとタコメーターは、イエーガー製の凝った字体のものを装着する。この辺りも、イタリアンテイストを重要視してのことだったのだろうか?

インパネ中央の燃料計と水温計は見慣れたスミス製。その真ん中はヘッドライトのスイッチ。シフトレバーは左上がRの4速。

シートはクッションが薄く、一見座り心地が悪そうだが、思ったより快適に過ごせる。着座位置は低く、周りを見上げることになる。

この時代のオープン2シーターの多くはシート後方に十分な荷物スペースを備えていた。トランクに入らない物はここに搭載できる。

トランクはスペアタイヤが中央にデンと置かれるため、大きなものは積めないが、2人分の旅行用ソフトバッグ程度なら十分搭載可能。

IMPRESSION

古典的なのに意外と進歩的
神経質にならずに楽しめそう

撮影車両は1971年式のスピットファイアMk.IVの右ハンドルで、エンジンは76psの1.3リッターOHV。着座位置が思い切り低いシートに腰を下ろし、やや上部が遠いステアリングを握ってスタートする。

加速を始めてまず気が付くのは、エンジンの吹け上がりが軽快で元気なことだ。既にこの時期は同会社になっていたが、ライバルのスプリジェットが使うBMC・Aタイプの1275ccと同様、軽やかに回る印象なのだ。ミッションはこの時代、スピットファイアがスプリジェットより先にフルシンクロを採用しており、ローギアを含めてカチッと入る感じで好印象だった。

一方車体に関しては、スピットファイアはフレーム別体構造のため、モノコックのスプリジェットより振動や剛性の面で苦しい。面白いのは、サスペンションに関してはスピットファイアが最初から後輪独立を採用し、リーフリジッドのスプリジェットより進んでいたことだ。キャンバー変化の大きいスウィングアクスルのため、Mk.IIIまでは限界付近の挙動がナーバスだったのだが、このMk.IVからは改良が加えられており、日常的な使い方ではリアタイヤが粘る感じで、スプリジェットより印象が良かった。

ハンドリングは、クイックなスプリジェットに比べるとごく普通だが、こちらの方が扱いやすいとも言える。

それほど神経質にならずに愉しめ、ヒストリックカーの魅力に溢れたスピットファイア。興味のある方は価格が高騰しないうちに挑戦してみて欲しい。

SPECIFICATION
TRIUMPH SPITFIRE Mk.IV
全長×全幅×全高:3785×1490×1125mm
ホイールベース:2110mm
車両重量:775kg
エンジン形式:水冷直4OHV8バルブ
総排気量:1296cc

最高出力:76ps/6000r.p.m.
最大トルク:12.4kg-m/4000r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/スウィングアクスル+横置リーフ
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤ(F&R):5.20-13

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