BUYERS GUIDE

<バイヤーズガイド>
ホントに買っていいんですか?
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TRIUMPH SPITFIRE

EDITOR中島秀之
PHOTOGRAPHER奥村純一
EDITOR&PHOTOGRAPHER崎山裕之(写真協力)
協力: ガレージ日英

MARKET INFORMATION

クラシカルなシリーズIIIまでが人気
タマ数が多くお買い得なのは1500

ここ十年ほどで、世界のクラシックカーの相場が異常なほど高騰した。例えば空冷ポルシェの価格は、年式を問わず何倍にもなってしまった。ただし全てのクラシックカーの価格が上がっているかと言えばそうでもなく、もともとリーズナブルで入手しやすいブリティッシュ・ライトウエイト・スポーツカーなどは、以前とそれほど変わらない価格で推移しているようだ。

トライアンフ・スピットファイアは、1962~80年に31万台以上が生産されたヒット作ゆえ、中古車としてのタマ数も、それなりに豊富だ。日本国内では1500の売り物が多いが、テールランプの小さいSr.IIIまでの方がクラシックカーとしての人気は高い。また海外から並行輸入されたものもあるが、その場合排出ガス対策の不要なSr.IVまでのモデルが殆どだ。

現在の相場は、Sr.I~IIIが120~300万円ほどで、Sr.IVと1500は80~250万円ほど。これは海外のヒストリックカー専門サイトやショップのHPなどを見ても同様。ただし、特に初期モデルの場合、フルレストアしてあったり、細かくパーツを交換してある個体は、300万円以上の価格が付く場合もある。また新車で日本に輸入されたり、履歴がしっかりしている個体は多少価格が高めだ。

今回取材した車両は、ガレージ日英で以前販売した後、長年メンテナンスを行ってきた個体とのこと。こうしたクルマを購入する場合、経験と実績が豊富なショップから手に入れるのが最善の方法だろう。

1962~65年Sr. I150~300万円
1965~67年Sr. II150~300万円
1967~70年Sr. III120~300万円
1970~74年Sr. IV100~250万円
1974~80年150080~250万円

TROUBLE SHOOTING

01:メンテ履歴がわかる個体が望ましい

トライアンフ・スピットファイアは、古いものだと60年近く、新しいものでも40年以上、生産から時間が経過している。当然個体それぞれで、これまでどんなメンテナンスを受けてきたかが違うわけで、トラブルの起こるポイントも異なってくる。このため購入に際しては、できればこれまでの履歴がわかる個体が望ましい。記録簿が残っていたり、同じショップで長い間メンテナンスを受けてきた個体があれば、ラッキーだと言えるだろう。

02:リアアクスル周辺からの異音に注意

長年古いイギリス車を扱ってこられたガレージ日英の白鳥社長によると、トライアンフ系は全体にデフが弱いそうで、異音がしたりバックラッシュが出たりした場合はオーバーホールが必要とのこと。また駆動系では、ドライブシャフトのユニバーサルジョイントもウィークポイントのようで、これも異音がしないか、注意しておきたい。旧いクルマは漫然とドライブするのではなく、動かすたびに各部をチェックすることを忘れずに。

03:排ガス対策された1500は
独自のトラブルが

北米および日本仕様の1500のエンジンは、当時の排出ガス浄化システムが装着されている。ストロンバーグ製シングルキャブ、オートチョーク、セミトラの点火システムなど、初期モデルとは異なる機構が数多く採用され、これがトラブルを発生させやすい。加えて、触媒によってエンジンルーム内に熱がこもりやすく、これもその傾向を助長する。対策としては、壊れやすい部品を欧州仕様の部品などに交換し、新しい触媒を装着する方法がある。

04:ステアリングを切りすぎての
前進は控えたい

スピットファイアは車体の構造上、フロントタイヤが大きく切れる。ステアリングをフルロックまで切って前進させようとすると、大きく切れたタイヤが路面をトレースできず、前方にそのままズレてしまう。当然ダダダっと音がして、振動も伝わるからすぐわかるが、車体に決して良いわけではないので注意したい。また古いクルマゆえ、新たに購入した場合は、サスペンションのブッシュやエンジンマウントなどは交換しておきたい。

TOPICS

ベースとなったヘラルドとは?

スピットファイアのベースになったトライアンフ・ヘラルドは、1967~71年に作られた小型2ドアセダン。エンジンは1147ccまたは1296cc、デザインはミケロッティで、コンバーチブルやエステートも存在した。これに1.6または2リッター直6エンジンを積んだヴィテスもあった。

ル・マン24時間でも活躍した

スピットファイアは1964、65年にル・マン24時間レースにワークス参戦している。ただしボディはオープントップではなく、後のGT6とほぼ同形状のFRP製クーペだった。64年は1台が総合21位で完走、65年は総合13、14で完走し、1101~1150ccで優勝を飾った。

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