TMB IMPRESSION

<インプレッション>
実際乗ったらどうなんですか?
TMBが選りすぐった“名車”を運転してみて感じたこと

ALFA ROMEO 4C&LOTUS ELISE SPORT 220II

目まぐるしいスピードで変化を遂げている自動車業界。スポーツカーも例に漏れず、電動化を始めとする変化の時が訪れている。シンプルなメカニズムを持つ、ライトウェイト・ミッドスポーツカーが新車で買えるのも、もしかしたらあと少しの期間なのかもしれない。

2021.01.03
TEXT / 嶋田智之 PHOTO / 内藤敬仁
SPECIAL THANKS / LCI(http://www.lotus-cars.jp/),FCA JAPAN(http://www.alfaromeo-jp.com/
もっともっと走り続けたい

もう一方のロータス・エリーゼはどうかといえば、こっちはこっちで先行きが不透明だ。暗雲が垂れ込めてるとまではいわないけれど、ロータスが今後エリーゼをどうしていきたいのか、それが今ひとつハッキリしないのだ。

御存知のとおり現在のロータスは、ボルボを傘下に収めて現在の好調へと繋げるのに大きな貢献を果たした中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディングス・グループ)が、2017年から経営権を持っている。その翌年には2100億円を越える投資を行うと発表し、開発もデザインも英国で行うことも明言。ボルボ同様に“金は出すけどクチは出さない”でブランドとしての独自性をくっきり活かした成長が期待された。が、どうだろう? “世界をリードするラグジュアリー・ブランドへと立て直す”という上層部の声が漏れてきたり、エリーゼやエキシージのモデルチェンジを先送りにし開発した高級路線の全く新しいモデルの発表を示唆したり、スポーツカー用に開発してる新しいアーキテクチャーの存在を認めつつ同時に全モデルへの将来的な電動化技術の導入をCEOがメディアに語ったり、と伝統的なロータスの世界観に好感を抱く人達からすれば“どこを目指してるんだ?”な動きが伝わってくる。タイプ130こと200psのEVハイパーカー“エヴァイヤ”の登場は歓迎するし、ピュアEVやハイブリッドでも目覚ましいハンドリング性能を実現できることだって判ってる。でも電子制御ベースの軽快“感”とデバイスなしの本当の“軽快”はやっぱり異なるし、何よりエリーゼがそうなっていくのにはどうにも馴染めない気がしてならない。

エリーゼは1996年の初代のデビューから、いつだって“ヒラリ”と来るクルマの軽やかな動きの気持ちよさで、僕達を魅了し続けてきた。時を経た現行モデルのエリーゼ・スポーツ220Ⅱでは初代より100ps増しだけあって、さすがに足腰はギュッと引き締められてスタビリティもだいぶ引き上げられてるけど、それでも昔からロータスがずっと大切にしてきた、パワーやトルクの多寡に関わらず楽しく気持ちいいホンモノのネイキッドな“ヒラリ”を心行くまで堪能できるクルマ作りがなされていることが、ステアリングを操作するたびにはっきりと伝わってくる。交差点ひとつ曲がるたびに“これは世界中のクルマ好きにとっての宝だよな”なんて感じられる。乾燥重量904㎏と絶妙なバランス感覚の投入が生み出す、ここにしかない宝だ。トヨタ製をベースにしながら独自にチューンを加えて完全にロータスのモノにしたエンジンの吹けも気持ちいいし、今や古典になりつつあるシフトスティックを手首で捏ねる楽しさは何にも代えがたいし、じれったさなど微塵もないくらいの速さだってある。“これじゃなぜいけないんだ?”なんて気持ちも湧いてくる。もっともっと走り続けたいような気分になってくる。 4Cとエリーゼの素晴らしい味わい。これは今を逃したら手にすることができなくなる、何にも置き換えることのできない幸福なのかも知れない。

航空機の技術が応用されたというアルミシャシーは、接着剤によって結合されている。単体重量は68kgと、4Cのカーボンとほぼ同じ重量しかない。
日本専用の特別仕様車「ヘリテイジ・エディション」。室内はボディのストライプに合わせたカラーをコーディネート。極めてシンプルなコクピットだが、エアコンなどの快適装備を備える。
シートはショルダー周りが大きくなったスポーツシートを採用。こちらも専用カラーの表皮。
エンジンはトヨタの1.8リッターをベースに、ロータスが独自にSCを装着したもの。最高出力は220ps。
字光式のメーターは大きく視認性が良好だ。シフトインジケーターも内蔵する。
エンジンスタートはボタン式。スポーツモードへの切り替えやESPのカットなども可能。
スポーツタイプの鍛造ホイールは前16、後17インチを装着する。ブレーキはAP社製。
ラゲッジルームの奥行きはそれほどないものの、横幅はしっかり確保される。

SPECIFICATION
LOTUS ELISE HERITAGE EDITION
全長×全幅×全高:3800×1720×1130mm
ホイールベース:2300mm
トレッド(F/R):1455/1505mm
車両重量:904kg
エンジン:水冷直列直噴4気筒DOHC+SC

総排気量:1798cc
最高出力:220ps/6,800r.p.m.
最大トルク:25.4kg-m/2,000r.p.m.
サスペンション(F&R) : ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(F&R) : ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R): 195/50R16/225/45R17

ELISE Series II
2001年にシリーズIIへとフルモデルチェンジ。シャシーはそのままにエクステリアのデザインを変更。当初はローバー製のエンジンだったが、2004年からトヨタ製のエンジンへと切り替わった。
EUROPA S
エリーゼの派生モデルとして2006 年に登場したヨーロッパS。エンジンはオペルの2リッターターボを搭載。エリーゼよりもラグジュアリーかつGT的な位置づけだった。2010年に生産が終了。
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