TMB IMPRESSION

<インプレッション>
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ALFA ROMEO GIULIA SUPER

2017年に再び日本上陸を果たし、発売が開始されたアルファロメオ・ジュリア。その起原を辿れば、多くの人が2ドアGTの"段付き"を思い浮かべることだろう。しかし今回は、4ドア・セダンのベルリーナに光を当ててその魅力に迫りたい。

TEXT / 武田公美 PHOTO / 佐藤亮太
SPECIAL THANKS / ガレージMM(http://garagemm.com

オール・イン・ワンの四角いジュリア

“醜いジュリア”なるニックネーム

スポーツカー、ないしは本格派グランツーリズモの高性能とドライビングプレジャー、そしてファミリーカーとしての実用性をも兼ね備えた”オール・イン・ワン”なスポーツサルーン。1960年代の段階でその条件を満たしていたモデルの最右翼として、アルファロメオ・ジュリア・ベルリーナとその係累を上げることに異論を唱える向きは、おそらく読者諸賢には少ないに違いない。

自動車史に残る名作ジュリア・ベルリーナの源流は、62年6月に発表された『ジュリアTI』まで遡ることができる。発表当初は、50年代にアルファロメオ社の運命を変える成功作となった前任モデル『ジュリエッタ』の上級モデルと規定。欧州市場では併売とされたものの、実質的にはジュリエッタ・ベルリーナの後継車と言うべきであろう。

ボクシーなプロポーションにアクの強いディテールで構成されるスタイルから、特に我が国では“醜いジュリア”なる酷いニックネームで呼ばれたりもしたが、誕生から57年を経た現代の眼で観察すると、実に個性的なものとして映る。切り立ったAピラーとCピラーは、この傑作の名跡を引き継いだ現代版ジュリアの流麗さとは比べるべくもないもの。ディテールにも武骨さが目立つのだが、新旧のどちらが魅力的かと問われれば、少なくとも個人的には往年のオリジナル・ジュリアに軍配を上げたくなってしまう。

この4ドアサルーンボディに組み合わされるパワーユニットは、ジュリエッタ用の総アルミ軽合金製1290ccツインカムエンジンを、1570ccまでスケールアップしたものである。鋳鉄ブロックのOHVが当たり前の時代にあっては、驚くほどに高度なメカニズムが与えられていたが、さらにジュリア用として新たに5速トランスミッション、4輪ディスクブレーキ(初期生産分の約2万2000台を除く)など、当時としてはレーシングカーにも匹敵する装備が贅沢に盛り込まれていた。

また64年にはベーシックバージョンとなる『ジュリア1300TI』も登場するものの、エンジンがジュリエッタ以来の1290ccとされる以外はジュリアTIと変わらない、極めて贅沢なスポーツサルーンとなっていた。

そして65年のジュネーブ・ショーにて登場したのが、ジュリア・ベルリーナの決定版にして、このページの主役でもある『ジュリア・スーパー』。ジュリアTIの高級・高性能バージョンである。エクステリアにおけるTIからの変更点は、ラジエーターグリルやテールランプの意匠、あるいはドア下にクロームの装飾プレートが追加されたことなどが挙げられる。またインテリアでは、ダッシュパネルの模造ウッド加飾が増やされたことに加えて、TIではホーンリング付き2スポークだったステアリグホイールも、スポーティな3本スポークへと変更された。

一方、直列4気筒DOHC1570ccの”アルファ・ツインカム”は、2基のウェーバーないはソレックス製キャブレターを組み合わせて、標準ではシングルキャブのジュリアTIの92psから97psまでパワーアップ。最高速もジュリアTIより5km/h速い170km/hに達するとされた。さらに69年には、102psまでパワーアップされるのだが、スペック上の最高速度は170km/hと不変であった。

細身のウッドステリングは、手のひらで包み込むよりも、指をそっと当て操作するとしっくりくる。ダッシュパネルは、豪奢なウッド・キャッピングが施されておりスポーツ性と上質さを見事に融合させている。

ヘッドレストを持たないシートは、クッションが厚く座り心地も良い。体を包み込むスタイルのシートだ。リアシートも居住性は高く、大人でも不満のないスペースが確保されている。
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