TMB IMPRESSION

<インプレッション>
実際乗ったらどうなんですか?
TMBが選りすぐった“名車”を運転してみて感じたこと

LOTUS ELISE SPORT 220 II

現在ロータスがラインナップする中に、エランの後継と言えるFRモデルは存在しない。しかし第2世代のエランがFFを選択したように、その名が連綿と受け継がれていれば、ミッドシップではあるがエリーゼがエランの後継に位置するといっても過言ではない。ここでは、新車で購入できる"現代のエラン"を取り上げる。

TEXT / 石井昌道 PHOTO / 神村 聖
SPECIAL THANKS / ウィザムカーズ東京(https://www.witham-cars.com/

現代のエラン、エリーゼに乗る

スポーツカーの素性を見るとき、まずはもっともベーシックなモデルを試してみるのがいい。ポルシェ911ならカレラのM/Tでオプションは最低限、モーガンなら4/4、そしてロータス・エリーゼなら1.6リッターNAエンジン搭載車。なかでも2018年モデルはエアコンやオーディオまで剥ぎ取って841kgと、オリジナルを彷彿させる軽量ボディで、たった136psのエンジンでも不足を感じずライトウェイトスポーツの原点をみるようで面白かった。ところが残念なことに、この1.6リッター NAエンジンは供給が終了。エリーゼのラインナップに残るのは1.8リッターSC(スーパーチャージャー)だけになったのだった。

そこで今回は、その1.8リッターSCを搭載するエリーゼ・スポーツ220IIを連れ出した。改めてエリーゼの魅力を紐解くとともに、記憶にある1.6リッターNAの素のエリーゼとの違いを書き留めておきたい。エリーゼ・スポーツ220IIのエンジンは連続可変バルブタイミング機構のVVT-iが採用されたトヨタ2ZR-FEで、これにSCが追加されロータスのマネージメントシステムによって最高出力220ps/6800r.p.m.、最大トルク25.4kg-m/4600r.p.m.となる。車両重量は904kg(本国発表値)。ちなみに素のエリーゼは136ps/6800r.p.m.、16.3kg-m/4400r.p.m.で841kgだったが、装備が似ているエリーゼ・スポーツIIは856kgだったから、エンジンの違いによる重量差は約50kgということになる。

まずは街中から走り始めてみると、望外な乗り心地の良さを再確認した。ロータスのライド&ハンドリングはしなやかなサスペンションを基本としているからこれは当然。初めて乗ると意外に思われるかもしれないが、これでも以前よりは全体的にダンピングが効いて硬めになっているぐらいだ。

路面を手で直接触っているかのような感覚

高速道路にのると所々に轍が掘れていたが、ノンパワステのリアルなフィーリングでそれが刻々と伝わってくる。進路を乱されるほどではないけれど、この路面を手で直接触っているかのような感覚は、今どきとしては贅沢だ。

前が空いたことを確認してアクセルを踏み込んでみると、間髪入れずに加速体制に入った。SCはレスポンスがいいだけではなく、全域でフラットトルク。6000r.p.m.を超えるとインジケータが点滅し始め、7000r.p.m.でシュパパッと小気味よくレブリミッターにあたる。それにしても、軽量ボディと大トルクの組み合わせは一種独特の加速感がある。パワーで強引に速度を上げていくのではなく、いつの間にやらハイスピードの世界へ迷い込んでしまったような不思議な感覚だ。

コーナリングはエリーゼの最大の見せ場だが、今のモデルはリアがどっしりと落ち着いていて安心感が高い。フェイズIの頃はヒラリヒラリと舞うような動きで自在感が高かった。一般的な自動車は、たとえスポーツカーであっても弱アンダーステアに躾けられ、例えば定常円で速度を上げていくと徐々にフロントが逃げていくが、フェイズIはテールを振り出すような挙動をみせた。ロータスはこれをフォース・オーバーステアと呼んでいて、ドライビングスキルの高い者にはたまらないはずだと言っていたが、フェイズIIは拡販を狙い、アメリカ進出も睨んでいたのでアベレージドライバーに合わせた、つまり一般的な弱アンダーステア方向へ趣旨替えしたのだ。

エリーゼ220スポーツIIはど真ん中

その特性はエリーゼ220スポーツIIにはピタリとあっている。レスポンスよく大トルクを発揮し、重量も嵩むSCユニットはある程度以上のスタビリティが必然だからだ。だから、ワインディングのみならずサーキットの領域も自信を持ってアクセルを踏み込んでいけるほどパワートレインとシャシーのバランスはいい。フェイズIの頃に比べるとと、ライトウェイトなミッドシップらしい鋭い旋回力を引き出すには、適正なフロントの車高や荷重を見極めて、タイミングよくステアしていかなくてはならない、つまりスイートスポットがちょっと狭くはなっているが、それも素早い立ち上がりを約束するSCユニットを得た宿命だと思えば納得がいく。

じつは、素のエリーゼもタイヤやちょっとしたセッティングの違いはあったとしても、基本的な特性は似通っていた。より軽くてアンダーパワーだから手の内に収めやすいという美点は捨て難かったが、バランスとしてはSCユニットのほうが、このシャシーにはあっているのだ。

フェイズIの素のエリーゼ、とくに初期に近いモデルは鮮烈な印象があり、パワフルになるほどバランスは崩れていくようにも思え、”選ぶべきは素”と思っていたが、このエリーゼ220スポーツIIはど真ん中にある。V6のエキシージほどにはハードではなく、ロータスらしいライド&ハンドリングが堪能できるのもいい。いずれにせよ、この稀有な名車が新車で手に入れられる時間はそう多くは残されていないはずだから、狙うなら今のうちだろう。

2本の桟を渡してソフトトップで覆う方式はデビュー時より不変。シンプルゆえに脱着は簡単だ。取り外したトップはトランクに収めることが出来る。全長は3800mmと非常にコンパクトで、4輪の動きが手に取るようにわかる。

ミッドに搭載される1.8リッター+スーパーチャージャーユニットはフラットトルクで扱いやすく、最高出力220psを6800r.p.m.で発生させる。レブリミットは7100r.p.m.。トランスミッションは6速M/Tだ。

スポーツ220IIはスポーツ220Iに比べて10kgの軽量化を達成。

フロントクラムシェルのデザイン変更やリアディフューザーの装着で、高速走行時の走行安定性がより高められた。

気持ちよく決まるシフトレバーはこの世代からオープンゲート式へ変更。

ロータスのロゴが入るバケットシートを装着。

ブラックのホイールが精悍な雰囲気。ドア開口部が10mm下がったこともトピックだ。

SPECIFICATION
LOTUS ELISE SPORT 220 II
全長×全幅×全高:3800×1720×1130mm
ホイールベース:2300mm
トレッド前/後:1455/1505mm
車両重量:904kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC+スーパーチャージャー
総排気量:1798cc

ボア×ストローク:80.5×88.3mm
圧縮比:10.0:1
最高出力:220ps/6800r.p.m.
最大トルク:25.4kg-m/4600r.p.m.
変速機:6速M/T
サスペンション(F&R):ダブルウィッシュボーン
ブレーキ (F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ (F/R):195/50R16/225/45R17
新車当時価格:995万円