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コンパクト4WDのススメSUZUKI JIMNY & FIAT PANDA

コンパクトクロカンの雄、スズキ・ジムニーが20年ぶりのモデルチェンジを行った。原点回帰を謳ったスクエアボディで人気爆発。早速半年分のバックオーダーを抱えたとか。そこで輸入車コンパクト4WDで唯一無二の存在、パンダ4×4と比べてみた。

TEXT / 森口将之 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / スズキ(https://www.suzuki.co.jp), フィアット/アバルト杉並(https://suginami.fiat-abarth-dealer.jp/fab/), ASAGIRI FOOD PARK(https://asagiri-foodpark.com/

コンパクト4WDのススメ

日本とイタリアは国土が細長くて山が多いことが似ている。山沿いは冬になれば雪に覆われるところも共通している。だから小型の4WDはそれぞれの土地に必須であり、そのニーズに応えてきたのがジムニーとパンダ4×4だ。どちらも山間部に分け入るほど多く見かけるようになる。

でもこの2台、今までだったら比較しようとは思わなかった。それ以外のあらゆる部分が違いすぎていたからだ。ところが2018年に発表された新型ジムニーはちょっと違う。デザインにも力が入っていて、パンダと比べたくなるレベルにあると感じている。

角張ったフォルムは。歴代で最高の販売成績を挙げた2代目に似ている。さらにフロントグリル両脇のウインカーは初代、エンジンフード脇のルーバー風プレスは2代目を思わせるなど、過去の名車のエッセンスを取り入れることでスズキらしさを表現しているところがマニア心をくすぐる。

加えて僕が注目したのは、フロントグリルや前後バンパーの下端を斜めにカットした造形。無味乾燥となりがちな箱型ボディに動きを与えている。しかもグリルの形状は初代に似ているし、バンパーは悪路で地面への接触を回避するという機能的効果もある。考え抜かれたカタチだ。

一方のパンダは2011年に本国で現行型がデビュー。ジウジアーロ・デザインの初代から用意している4×4は翌年追加した。日本仕様の4×4はすべて限定発売で、2014年から何度かリリースしている。最新型は偶然にも新型ジムニーと同じ2018年7月に発表された4×4フォレスタだ。シルバーのスキッドガードを組み込んだ専用バンパー、4×4の文字を刻んだ太いサイドプロテクションモールなどが、「スクワークル(スクエア+サークル)」なボディに溶け込んでいる。さすがイタリアン、粋な演出だなあと感心する。

でもキモはむしろインテリアかもしれない。巨大なポケットのようなインパネを初代から受け継ぎ、メーターやシフトノブ、スイッチなど目に見える多くのディテールはスクワークルで統一。しかもインパネをグリーンやホワイトに染め抜いているから目立つ。小さくてもおしゃれに手を抜かないというイタリアらしさが満喫できる。

新型ジムニーのインテリアも頑張っている。スクエアなメーターボックスやがっしりした作りの助手席側グリップなど、ヘビーデューティを感じる造形だし、エアコン調節はダイヤル、その下のスイッチはピアノタッチ式と確実性重視。イエローの細いステッチを入れたシートも好感を抱く。

無理に高級に見せようとせず、ローコストな素材を用いながらデザインの力で魅力的に仕立てたところはパンダと共通する。だからこそカラーコーディネートで魅せてほしい気もしたけれど、先代も限定車でそれを実現していたので今後に期待しよう。

ボディサイズはジムニーがもちろん軽自動車枠内の3395×1475×1725mmで、小型車登録になるシエラは3550×1645×1730mm。パンダ4×4は3685×1670×1615mmで少し長く幅広い。

しかもジムニーは縦置きパワートレインなのでパッケージングは不利。たしかに荷室はミニマムだ。でも後席には身長170㎝の僕が座れる。シート形状は折り畳み優先なので、長時間乗車はパンダに軍配が上がるけれど、この作りは1~2人プラス荷物という乗り方が多いというユーザー調査の結果だという。つまり優劣を付ける部分ではないと思っている。

富士山麓の朝霧高原で行われた新型ジムニーの試乗会では、軽自動車のジムニーの5速M/Tでオンロードとオフロード、小型車のジムニーシエラの4速A/Tでオンロードを走った。パンダ4×4が6速M/Tのみであることは知っている人も多いだろう。

最高出力と最大トルクは、660cc3気筒ターボのジムニーが64psと9.8kg-m、1.5リッター4気筒自然吸気のジムニーシエラが102psと13.3kg-m。車両重量は1030kgと1090kgなのでシエラのほうが余裕がありそうに思えるが、実際は軽自動車のジムニーと同等という印象だ。

ジムニーシエラは4速A/Tで1速のギア比が高めであることも、そう感じた理由かもしれないが、最新世代にスイッチした660cc3気筒ターボの吹け上がりがスムーズで、ターボの立ち上がりも穏やかだったためもある。しかも静か。ジムニーシエラの4気筒を含めて雑味成分を吸収し、滑らかなサウンドだけを届けてくれる。

でもキャラの濃さで言えば、やはりパンダ4×4が積む900cc2気筒ターボのほうが上かもしれない。500から受け継いだパタパタという歯切れよい鼓動はパンダにも似合っているし、ターボのメリハリもある。85psと14.8kg-mで1130kgを走らせるというスペックで分かるとおり、トルクに余裕があるので、加速はジムニー兄弟より力強く感じる。

M/Tはどちらもゲートが確実で楽しめることは共通するが、シフトフィールは違う。インパネシフトのパンダは短いストロークで軽くスッスッと変速できるのに対し、フロアから生えた長いレバーで操るジムニーは仕事グルマっぽいがっしりした手応えがある。

足まわりの感触も違いがある。ラダーフレームに前後リジッドアクスルのサスペンションを持つジムニーに対し、パンダはモノコックボディにマクファーソンストラット/トーションビームという現在の小型乗用車の定型。よって多くの人はパンダのほうが乗り心地が良いと感じるだろう。

ジムニーの足はオフロードに照準を合わせているので、舗装路ではあまりストロークしない。ただ剛性強化したフレームと大容量化したボディマウントがいい仕事をしていて、ダイレクトなショックは伝わらず、フレームの振動もない。昔のジムニーと比べると快適性能は確実に引き上げてあった。

ハンドリングもジムニーは独特のフィーリング。ステアリングがパンダを含め多くの乗用車が使うラック&ピニオン式ではなく、衝撃吸収性に優れるボール・ナット式を使い続けていることが大きい。でも反応自体は正確なので、リズム感に慣れれば問題なし。

軽自動車のジムニーは幅が狭いので、そんなに無理はできないが、ワイドなトレッドとタイヤを持つジムニーシエラならパンダ4×4並みのペースを保てる。M/Tなら後輪駆動らしさをよりリアルに楽しめるかもしれない。

ではオフロードはどうか。僕たちが日常生活やレジャーで踏み入れるレベルなら、ほぼパンダ4×4でこなせる。最低地上高は高めだし、基本前輪駆動ながら必要に応じて後輪にも力を伝える4WDシステムは電子制御デフロックも用意。1速のギア比がジムニーM/T並みに低いのも心強い。

でもそこから先、山奥の造成工事や森林伐採などの現場に行くにはジムニーしかない。硬めの足は岩場などでようやく本来の仕事をするようになり、ラダーフレームが衝撃を受け止める。長いストロークを持つリジッドサスペンション、200mmを超える最低地上高と大径タイヤ、限られた力を増幅して伝えてくれるローレンジ、見切りのしやすい四角い車体など、すべてのエンジニアリングが道なき道を走破するためにあることが分かる。

プロユースにも耐える本物の手応えを味わいたいか、デザインやツインエアといった感覚重視で楽しみたいか。ジムニーを選ぶかパンダ4×4にするかの分かれ目は、このあたりだろう。でも新型ジムニーがファッション性と快適性を高めたことで、両車の距離はぐっと縮まったことも事実だ。

SUZUKI JIMNY

優れたレスポンスでスムーズな走り

原点回帰を果たしたエクステリアは、無骨なスクエア形状だが、逆にそれが人気に火を付けている。
10本スポークの16インチアルミホイール&タイヤは、XCグレードに標準で装備。XG、XLではオプション扱いとなる。
エンジンは小型のタービンでリニアなレスポンスを実現。グリル部分にインタークーラーを配置するなど熱効率の良いレイアウトを取っている。
水平基調にデザインされたコクピットまわりは、シンプルなデザインで使い易さを追求。またフロントドアのベルトラインの前方を下げることで、視界を確保している。
オーソドックスなデザインのフロントシート。座り心地もまずまず。
屋根がスクエアな形状で広いため、左右の広々感はなかなかのもの。
通常時の荷室はミニマムで、手持ちカバン程度しか収まらないスペースだ。
リアシートを畳むと352リッターのフラットな荷室に。リアシートの背面と荷室を樹脂化することで汚れにくくしている。
荷室は二段構造になっており、リッド式となる下段のラゲッジボックスの容量は25リッターとなっている。
副速機は先代のボタン式から、よりダイレクト感が味わえるレバー式に変更された。
ダイヤル式の空調スイッチに加え、ウインドウなどの操作はスタイリッシュなボタン式となった。
伝統のラダーフレームを更に進化
様々な走行条件にも耐えうる伝統のラダーフレームは、中央にX字型のクロスメンバー、前後に強化クロスメンバーを追加し、更に頑強な構造体へと進化している。
高い悪路走破性を実現するサスペンション
サスペンションは凸凹路でも優れた接地性と対地クリアランスが取れる3リンクリジッドアクスル式サスペンションを採用。また堅牢な作りで過酷な条件にも耐えうる。

SPECIFICATION
SUZUKI JIMNY XG
全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm
ホイールベース:2250mm
トレッド(F/R):1500/1500mm
車両重量:1040kg
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ

総排気量:658cc
最高出力:64ps/6000r.p.m
最大トルク:9.8kg-m/3500r.p.m
サスペンション(F&R):3リンク・アクスル
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤ(F&R):175/80R16

1.5リッターワイドボディのシエラも!
シエラに搭載される新開発の1.5リッター「K15B型」エンジンは、軽量コンパクトに加え優れた燃費性能を実現。外観上の違いは前後バンパーの形状と、オーバーフェンダーの有無。オーバーフェンダーによるワイドボディ化(左右合わせて170mm拡大)、それに伴うワイドトレッド化(前後とも10mm拡大)。他には重量増(5M/Tモデルで40kg、4A/Tモデルで50kg)が挙げられる。

FIAT PANDA

ポップで楽しいイタリアの生活4駆

FFモデルに比べ少し高められた車高がSUVっぽい雰囲気を醸し出す。
標準で装備されるアルミホイールもまたスクワークルなデザイン。車高はやや上げられている。
フィアットお馴染みの0.9リッター2気筒のツインエア・ユニット。軽快なビートで加速していく。
明るくポップなインテリア。ステアリングをはじめメーターナセルや空調スイッチ、シフトまわり、ドアノブまで統一されたデザインアイデンティティは流石イタリア車。
コンパクトカーでアイボリーとシックなグレーの組み合わせなんて、国産車には真似のできない芸当。

SPECIFICATION
FIAT PANDA 4×4
全長×全幅×全高:3685×1670×1615mm
ホイールベース:2300mm
トレッド(F/R):1500/1500mm
車両重量:1130kg
エンジン形式:直列2気筒SOHCターボ

総排気量:875cc
最高出力:85ps/5500r.p.m
最大トルク:14.8kg-m/1900r.p.m
サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):175/65R15