OTHERS

<その他コンテンツ>
ニューカー、ヤングタイマー、クラシック、オーナー、ライフスタイル、
カタログ、100ドロ、ミニカーなどなど
自動車型録美術館

アバルト124スパイダーABARTH 124 SPIDER

古今東西の自動車カタログをご紹介します。

TEXT / 板谷熊太郎

復活したアバルト124スパイダーの、これが元祖

カー・マガジン471号の日産240RSに続き競技車両のカタログから。最近マツダのロードスターベースで復活したフィアット124スパイダー。今回は初代アバルト124ラリーのカタログです。

■プロ仕様

クルマに限らず、世の中にはプロ仕様のものが少なからず存在しています。カメラも好きなわたしにとって、プロ用でまず思い出されるのがニコンF3P。モデル名のPが示すように、報道機関や報道カメラマンに向けてニコンが特別につくったモデルです。発売当時は一般消費者には売ってもらえない特別なモデルでした。何故ここでニコンF3Pの話を持ち出したかといえば、F3Pのカタログについてふれたかったからです。それは実に質実剛健、一枚のペラカタログで、スペックやF3からの変更点だけが淡々と記されていました。

■情緒的な意味合い

今回とりあげたフィアット・アバルト124ラリーのカタログは、競技用車両のカタログとは思えないほど情緒的です。すなわち、写真に多くのページが割かれています。それは一般消費者も販売対象としていたか、あるいはこの車両そのものがフィアットのイメージ向上の役割を深く担っていたことの証のような気がします。後継車 124ラリーの後継車は、いまさらいうまでもなくフィアット・アバルト131ラリーです。そちらのカタログはいたって質実剛健なもの、いずれ本稿でご紹介する予定です。

(初出カー・マガジン471号/連載第19回)

1950年代から’70年代にかけてのアバルトのカタログは、サイズが小さくページ数の少ないものが大半を占めています。アバルトの単一車種のカタログとして、唯一といえるほど例外的に大きな版で、ページ数も多いのが、この124ラリーのカタログなのです。通常、競技車両や競技用のベース車両のカタログはどうしても文字情報が中心で、写真も機能を伝えるものだけになりがちです。その点、124ラリーのカタログはどこか写真集のような内容なので、見る者を心情的に魅了する仕上がりになっています。1950年代から’60年代にかけてのアバルトのカタログや紙資料なども、これから先、少しずつとりあげていきたいと考えています。

●サイズ(縦×横)244mm×330mm ●全24ページ

いずれ折を見て、124ラリーの後継車である131ラリーのカタログも紹介しようと思っています。131ラリーのカタログは124ラリーとは対照的です。文字が多く、その文字ですら、タイプ打ちのままなのです。カタログに掲載されている情緒的な写真を眺めるのは至福の時間ですが、情報満載のカタログを読みこむのも、それはそれで、またたのしいものです。いずれにせよカタログのなかで競技車両のものは、一味違うような気がします。

プロフィール●板谷熊太郎
幼いころからのクルマ好き、実車よりもカタログや書籍などの紙モノに魅かれる変わり者。姉妹誌モデル・カーズにも『自動車博物記』を連載中。