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特別な響きを持つアバルトFIAT ABARTH 1000 RECORD MONZA

市販車をベースにカルロ・アバルトがチューニングを施したモデルは、まるで魔法をかけられたように戦闘力を増し、イタリア国内のみならずヨーロッパ中にその名を轟かせた。そんな中にあっても特別な響きを持つ『レコルト・モンツァ』をご紹介したい。

TEXT / 中本健二 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / ベンオート(http://www.benauto.co.jp/

特別な響きを持つアバルト

フィアット・アバルト1000レコルト・モンツァは、1958年にデビューした750ビアルベーロ・レコルト・モンツァとザガートが手掛けたアルミ製ボディや基本構造は同じだが、エンジンはDOHCではなく、SOHCとなる。850ccを積むケースもあるが、1000レコルト・モンツァは飛び出たヘッドライトが750などとの外観上の大きな違いだ。

一度は活動を休止しながらも、現在ではフィアットの下、独立したブランドとして歩んでいるアバルト。クルマ好きの皆さんであれば、その創始者たるカルロ・アバルトが、フィアット600や500などの市販車に“アバルト・マジック”と呼ばれた高度なチューニングを施し、サーキットを席巻した50年代から70年代のレースシーンを想像する方も多いだろう。

ここで取り上げる『フィアット・アバルト1000レコルト・モンツァ』もそのアバルト黄金時代に誕生した1台だ。車名に冠される“レコルト・モンツァ”とは、57年にF1イタリアGPでもお馴染み、アウトドローモ・モンツァのオーバルコースにて速度記録へ挑戦し、見事成功した750レコード・カーが由来。この記録車に搭載されていた750ccのビアルベーロ(DOHC)ユニットを積み、ザガートによるアルミボディを纏った市販モデルが『750ビアルベーロ・レコルト・モンツア』であり、排気量違いで、850、そして1000で構成され

ていた。アルミボディはそのままに、SOHCヘッドを搭載するモデルも用意され、こちらは“ビアルベーロ”の名は付かないが排気量+レコルト・モンツァの名でラインナップされており、ここで紹介する1000ccモデルであれば『1000レコルト・モンツァ』となる。

取材車両は20年近く乗られずに保管されていた個体のため、ベンオートではレストアを前提とした車両として販売するとのこと(現状渡しでも対応可能)。現在搭載されているエンジンをリフレッシュ、またはザガート製のアルミボディを仕上げている間に、ビアルベーロ・ユニットを探して乗せ換えるというのもアリだ。ただし、高回転をキープした走りを想定しないのであれば、SOHCユニットの方が気楽に楽しめるだろう。

ベンオートと言えば英国車、中でもクラシック・ロータスのイメージが強いが、アバルトはダブルバブルでお馴染みの750GTを最近レストアして納車したばかり。そのような経験もあり、オーナーの要望に沿ってレストアすることも可能とのことだった。

ザガートだけでなく、ピニンファリーナやビニャーレ。さらにコルナ、シボーナ&バサーノ、ベッカリスといった“知る人ぞ知る”スペシャリストもアバルトのボディ製作を手掛けている。そのどれもが独自の魅力を備えているが、現在のアバルトに用意されたエグゾーストシステムにその名を冠す“レコルト・モンツァ”はやはり特別だ。アバルトの歴史で欠かすことのできないスペシャルボディを纏った1台。その魅力の真相をオーナーとなり探求するチャンスだ。

水冷直列4気筒SOHCユニットは、長年動かされていなかったため整備が必要だ。今のエンジンをリフレッシュ、またはビアルベーロ・ユニットを探して換装するのも良いだろう。
リクライニング機能を持たないシートバック固定式のフロントシートは、シンプルながらホールド性に優れたタイプが装着されていた。シート後方はトランクスペースとして利用できる。
必要な装備だけを持つレーシングカー然としたインテリア。ドライバー前方に添えられた大型の3連メーターは“JAEGAR”と併せて“ABARTH”のロゴがデザインされている。左が水温、燃料、水温のコンビ、真ん中が8500r.p.m.スケールのレブカウンター、右が220km/hスケールの速度計となる。シフトはオーソドックスなHパターン。
ザガートらしい細いCピラーで分割されたクウォーターウインドウは前方が開いており、車内の空気を排出する処理がされている。フロントには大型の燃料タンクが備わる。現車ではフロントノーズに開口部が設けられているが、オリジナルと同じつるんとしたクローズ状態のデザインに戻すことも可能とのこと。ザガートの手によるアルミ製ボディらしく、ドア開口部にはリベット留めを確認できた。
クラシック・ロータスを得意とするベンオートだが、それ以外にも様々な希少車の販売、整備も手掛けている。現車は20年近く、乗らずに保管されていたため走り出すためには整備が必要とのこと。現状渡しでの販売も可能だが、同ショップではダブルバブル・ルーフでお馴染みのアバルト750GTを仕立てた経験もあり、オーナーの要望に沿ったレストアが可能だ。