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COLUMN

担当者に聞くレストアサービスを支える復刻部品マツダ"NA"ロードスター名車宣言! その3

"古くなったクルマのレストアを支えるのは、職人の技や知識と同じくらい補修パーツが重要となる。NAロードスターのレストアサービスが始動した今回、マツダは150ものパーツを復刻したという。そしてその背景には、ロードスターにかける人々の情熱があった。

TEXT / 吉田拓生 PHOTO / 平井大介
SPECIAL THANKS / マツダ(https://www.mazda.co.jp

担当者に聞くレストアサービスを支える復刻部品

マツダ社内においてNAロードスターのレストアサービスを専任で進めている伏見亮さん(左)と國本拓也さん(取材時)。通常の部品復刻は最低限の走行状態を維持するための部品に限られることがほとんどだが、今回はビニール製の幌など趣味性を満足させるためのパーツまでカバーされている点に特徴がある。伏見さんはNAロードスターを日常のアシとしているオーナーでもある。

メーカーであるマツダ自身が行うNAロードスターのレストアだが、ここに何より欠かせないものは補修用部品である。レストアサービスに専任というかたちで関わり、部品の復刻も担当しているカスタマーサービス本部の伏見亮さんと國本拓也さんの両氏にお話を伺った。

―― 今回NAロードスターのレストアサービスを始めるに当たって、最初に行った作業は?

伏見「最初は部品の供給状況確認から始めました。私自身NAに16年ほど乗っていて、ある時ボンネットを支える小さなゴムの部品がディーラーになかったり、NAの部品がなくなってきているのは肌感覚として理解していました」

國本「部品はバンパーなどマツダ自身で生産しているものもありますが、多くはサプライヤーさんからの供給となります。私は部品部の人間と一緒に120社くらいあるサプライヤーさんを尋ねて回って、型が残っているか、継続生産が可能かということをチェックしていきました」

伏見「樹脂パーツの中には型がなくて現状では供給できないパーツもあります。新たに型を作って復刻すると型代が部品に乗っかって価格がとても高くなってしまうので、そこは今後我々が小ロットでも復刻できるような体制を考えていかないといけない部分ですね。レストアサービス開始までに、とりあえず150点のパーツは復刻できる目途がついたという感じです」

―― NAがデビューした当時に純正装着されていたタイヤも復刻されたそうですね。

國本「SF325というタイヤをブリヂストンさんに復刻してもらいました。既に型はなくなっていたんですが、NAの開発に関わっていたウチのエンジニアが当時の評価結果を持っていて、それに合わせ込むようにして、見た目だけでなく当時のフィーリングまで再現しています。1本税込2万6676円という価格は普通に考えると非常に高く思えますが、しかし今回はブリヂストンさんが非常に協力的だったので、あの価格で出せたという感じです」

―― ナルディのウッドステアリングやシフトノブは、アフターマーケット用に売られているので復刻する必要はなかったのでは?

伏見「Vスペシャルに装着されていたナルディはスポーク部の材質や厚み、リム内側断面の金属が見えていない部分など、細かく注文した特注品だったんです。シフトノブも見た目は市販品と同一ですが、3本のイモネジで固定する市販品に対し、

こちらは取り付け穴の内側にネジが切られていて、1本のイモネジで位置を固定するようになっているんです」

國本「あとソフトトップも、これまでNA用のパーツとして供給していたのはNB用のキャンバス地のものだったんですが、やはり初代のビニール製トップで”NA開け(ファスナーでリアウインドー部分のみ開けること)”をしたいという要望が多数あったので復刻しました」

伏見「NAロードスターの場合、エンジンや駆動系のパーツは他車と共用している部分が少なくないし、足まわりはNBとほぼ同じです。NBまで含めると生産期間はわりと長く、年式の割には部品もあります。NAは全部で5000点くらいのパーツを使用していますが、現在は54%ほどが揃っている状態です」

國本「今回復刻した部品は、普通に維持する分にはあまり必要とされない、でも徹底的にレストアするなら欲しいよね、という趣味性の強い部品がけっこうあります」

伏見「パーツを復刻する際、当時NAの開発に関わっていた人間に尋ねたりすることができて助かっていますね。当時を知っている人だと話が早いですから。あと10年遅かったら失われてしまった感覚や知識もあったと思います」

レストアサービスとともに立ち上がったNAロードスターの部品復刻プログラム。マツダ自身によるレストアは2ヵ月に1台のペースだが、復刻したパーツは随時HPでチェックでき、販売店で購入することが可能。マツダは今後もNAロードスターの部品の復刻を継続していくとのことだ。しかし、ひとりひとりのオーナーが補修部品を積極的に利用することでNAロードスターの命脈が保たれるという背景もあるということは、理解しておくべきだろう。

塗装やエンジンルームの細部に至るまで、その仕上がりは新車同様と言える。もちろん復刻パーツの目玉である幌や標準装着のタイヤも装備している。

Vスペシャルに標準装備されて話題をさらったイタリア、ナルディ社製のウッド製のステアリングとシフトノブも復刻された。そのディテールは市販品とは異なっている。(写真:マツダ)

ビニール製の幌はリアウインドー部のみファスナーで開放できる通称”NA開け”ができるタイプ。(赤い車両写真:マツダ)

標準装着されていたタイヤ、SF-325もブリヂストンの協力によって復刻されている。(写真:マツダ)

NAロードスターのレストアサービスは、ドイツに本社のある世界でもトップクラスの第三者検査機関『テュフ・ラインランド・ジャパン』によって検証され、マツダは同社の『クラシックカーガレージ認証』を取得。同社はドイツ本国などで昨今、ヒストリックカーの評価、査定サービスを提供しており、今回は第三者機関によって品質が保証される形だ。

2018年次で受賞したRJCカーオブザイヤー特別賞のトロフィーと表彰状。

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