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COLUMN

NDに込められた同じ結論、異なる道筋マツダ"NA"ロードスター名車宣言! その4

ことスタイリング面において、4代目NDロードスターは3代目までとは流れが異なる。だがワインディングでNDの走りをチェックすれば、そこに流れるNA譲りの血統を、最も色濃く踏襲していることがわかる。

TEXT / 吉田拓生 PHOTO / 田中秀宣
SPECIAL THANKS / マツダ(https://www.mazda.co.jp

NDに込められた同じ結論、異なる道筋

今から数年前の2015年、NDロードスターがデビューした時の試乗会に、敢えてMGBで乗りつけた。ライターとしてはミリ単位で同一のホイールベースというネタに喜んでいたのだけれど、しかし長年の改造、修理によってドライバビリティという部分が完全に狂っている我が愛車と較べると、最新のNDロードスターは憎らしいくらいに完成度の高いクルマだった。

マツダの歴代ロードスターの中で、最新のNDを初めて個人的に”欲しい”と思った理由は、ドライバビリティの高さと同じくらい質感が高かったからである。見た目の質感、操作系の質感、ドアを閉めた時の質感。ロータスのコーリン・チャプマンは初代エランをモーターショーに出展する時、ドアの内側に砂袋を隠したという。静的なシーンにおいてライトウェイトスポーツカーが安っぽく感じられることを嫌ったのだろう。その点NDロードスターはただドライバビリティに優れるだけでなく、大人の乗り物としても成立している。

このクルマの開発主査を務めた山本修弘さんは今回のインタビューの中で、「性能的な全ての面においてNDロードスターはNAロードスターを凌いでいる」と断言していた。そんなの当たり前、そうじゃなきゃ新型を出す意味ない、という見方もあるだろうが、開発者に言わせればコトはそう簡単ではない。

特に簡潔であることに重きを置くライトウェイトスポーツカーはそうだ。例えばエアバッグを10個積まなくてはならないという問題に対する答えは、馬力を100ps上げればいいといった単純なものではないのである。そしてもちろんロードスターというクルマは、いくらでもコストを注ぎ込んで、カーボン製の軽量パーツを使っていいというようなプレミアムな立ち位置にもいない。

今回のNDロードスター試乗がいつもと違ったのは、NAと乗り比べができたことである。発進した時からすこぶる軽く陽気な感じで、スピードを上げていっても一定のテンションで乗り手を楽しませるNA。対するNDは飛ばして走ろうと思うまでは澄まし顔で、しかしペースが上がるとNAと同じ陽気さで満たされる。言わんとしている結論は同じなのだけれど、そこに至るまでの方法論に経験とか時代柄が滲み出ている、そんなイメージだ。

普通に考えたら、最新の4代目は一番車重が重くて当然である。940kgだったNA、1030kgのNB、1110kgのNCと来たら、NDは1200kgあってもしかたない。ところが実際のNDは、ベース車で990kgまでダイエットに成功している。すっかりNDロードスターが板についた感のある近頃は声高に叫ばれなくなったけれど、これは衝撃的と言っていい軽さだ。

ただ軽いだけでなく、前述したようにNDの質感の高さは相当なもの。リアの下まわりを覗き込んでも、足まわりの形式をパッと見で理解できるNAとは違い、NDのそれは実に凝った構造をしている。見れば見るほどNDは儲からなそうな匂いがプンプンとするクルマなのだ。 “ロードスターはマツダのブランドアイコンだからいいんです”ということだろうか? ともあれボクは、NDロードスターも将来ヒストリックカーになると確信している。

スポーツカーは量産車とのコンポーネンツ共有が不可欠となる。それでも少しも妥協を強いられているように見えないクオリティの高さと、車格を考えればとてつもなく繊細なドライブフィールに新世代マツダの地力が現れている。狙いがシャープなためNAよりもチューニングの許容量は小さいかも。ノーマル、できれば素の”S”グレードをじっくり乗りたい。

編集部員が語る歴代ロードスターの思い出

◎初代(NA)×長尾

基本的には新しいものより骨董品が好きな性分なので、自らが率先して絶滅危惧種(=オープン2シーター)を大切に保護せねば、なんとする!! という誇大妄想的な意気込みで中古のケータハムに乗っていた1980年代の私だったが、NAの新車発表会会場で「あれ? オープン2シーターは絶滅しないんだ」と、なんだか肩すかしを食ったような気分になったことを覚えている。それまでは、その日の天気や故障の不安と引き換えに手に入れていたオープン2シーターの世界は、NAの登場によって万人に向け、開け放たれたのだ。

◎2代目(NB)×平井

新車当時、フィアット・バルケッタの対抗馬として真剣に購入を検討。わざわざレンタカーを借りて友人と走りにいったほどだ。結果的にマーレブルーメタリックのバルケッタに心を射抜かれてしまったのだけど、その質感の高さに”国産車でもこんなに走るんだ”と、生意気ながら思った記憶がある。そんなNBの広報車に数年前に乗った時、これはまだイケる! と感じた。風の巻き込みはNAより圧倒的に少ないし、NCほどタイト&ハードじゃない。しかも中古車相場も手ごろ。これのフルノーマルをシレっと乗りこなすのもありだなあと。そしてその思いは今も変わっていない。

◎3代目(NC)×中本

NBに設定されたロードスター・ターボという限定モデルを除けば、NDも含めて最も高出力のエンジンを搭載したN Cシリーズ。2リッターエンジンは170ps(ロードスター・ターボは172ps)を発揮し、RX-8譲りのプラットフォームは堅牢で絶対的な速さは明らかに向上していた。しかし難しいもので、絶対的な速さよりも心情的な速さをロードスターには求めてしまいNBやNAが恋しくなった記憶がある。そんなことを書きつつも、NAやNBの乗り味に通じるNDが出た今、改めてNCが気になっている。つまりはないものねだりということか……。余談だが、ロードスターシリーズで初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのはこのNCだった。

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