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ヤングタイマー・アルファロメオに注目せよ!ALFA ROMEO ALFETTA & VW SCIROCCO

ちょうどいい速さにスタイリッシュなボディフォルムをそなえたヤングタイマー世代のアルファロメオに注目してみよう。試乗に用意したのは、ジウジアーロのボディが眩しいアルフェッタと、そのライバルであるVWシロッコ。驚いたのことに車齢30年以上でも程度抜群!

TEXT / 森口将之 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / アウトレーヴ(アルフェッタ/http://autoreve.jp/), ワナドライブ(シロッコ/http://www.wannadrive.net/

ヤングタイマー・アルファロメオに注目せよ!

1960年代のクルマたちが、第2次世界大戦後のカーデザインやエンジニアリングの集大成的存在だったのに対し、1970年代のクルマたちは未来を見据えた挑戦が際立つ世代だった。

代表的なのが前輪駆動で、アルファロメオも1971年にアルファスッドでこの分野に進出した。でもアルファで驚くのは同じ時期に、後輪駆動でも革新を実現していたことだ。アルファスッドの翌年にデビューしたアルフェッタがそれである。

トランスミッションをリアに置くことで前後重量配分を50:50に近づけたうえに、リアサスペンションはド・ディオンアクスル、4輪ディスクブレーキはリアをインボードマウントとしてバネ下重量を軽減するなど、実用的なベルリーナとは思えないメカニズムをふんだんに投入していた。

しかも2年後に追加されたクーペのGTでは、イタルデザインを立ち上げたばかりのジウジアーロが、前作ジュリアクーペに続いてデザインを担当。110mm縮めて2400mmとしたホイールベースに、シャープなハッチバックボディを組み合わせていた。

伝統のツインカムは当初は1.8リッターだったが、まもなくGT 1.6とGTV 2.0の2本立てになった。そして80年にはバンパーを樹脂製に換えるなどのマイナーチェンジとともにアルフェッタの名が取れ、アルファ6とともにデビューしたV6を積むGTV6 2.5が登場し、1987年まで生産が続いている。つまり生産が終了してから30年以上経ったわけで、自分の加齢を思い知らされるが、久しぶりに対面したアルフェッタGTは、全然古臭く見えなかった。ジウジアーロのフォルムは無駄な贅肉がなく研ぎ澄まされていて、むしろ新鮮に思えたほどだ。

インテリアは、初期のアルフェッタGTはドライバーの前にタコメーターだけ置き、残りはすべてセンターに集めるという挑発的なレイアウトだったが、マイナーチェンジで目の前に3つ、センターに3つのメーターという配置に整理された。それでもメーターは合計6個もある。今のクルマでは望めない壮観な眺めだ。

前席はそれほど低くはなく、すべてのピラーが細いので視界は抜群だ。今でも驚くのは、後席にも身長170cmの僕が座れること。その後席は折り畳み不可能で、リアゲートを介しての荷室は広くはないけれど、パッケージングも感心できる1台である。

ジュリアから受け継がれたツインカムは、いまや貴重なウェーバーキャブレター2連装。でも時代を経て熟成が進んでいたのだろう、低回転でもスロットルペダルに素直に反応しつつ、高回転は気持ちよく伸びていく。5000r.p.m.を超えてからのコーンという硬質な響きは、古き良き時代のサーキットが思い浮かぶほど心地よい。

アルフェッタに端を発するトランスアクスル系アルファは、エンジンの力で長いシャフトを回す構造なのでレスポンスは穏やかで、ギアボックスがリアにあるためシフトフィールは曖昧と言われ続けてきた。でもきちんと整備した個体はそうではない。今回の取材車もレスポンシブという言葉を使いたくなるほどで、シフトレバーは節度のある動きを示してくれた。

パワーアシストのないステアリングは、スピードを上げてもさほど軽くはならない。それでもコーナーでは前後に均等に荷重が掛かっていることを実感する。トランスアクスルならではのバランスの高さがしっかり伝わってくるのだ。乗り心地も良き時代のイタリアンGTの人間臭さが残っていてガチガチではなく、その名にふさわしい長旅もこなしてくれそうだった。

そんなアルフェッタGTと同じ時代を生きた手頃なサイズのクーペの中から、今回登場願ったのはフォルクスワーゲン(VW)シロッコ。VW初の横置き前輪駆動車としてデビューしたのはアルフェッタGTと同じ1974年。デザインも同じジウジアーロだった。7年後に社内デザインスタジオの手になる2代目にスイッチしている。約2400mmのホイールベースもアルフェッタGTと同じ。ゴルフは2代目でホイールベースが伸ばされたけれど、シロッコは初代と共通だった。ヤナセの手で正規輸入されたのは当初1.7リッター、続いて1.8リッターのSOHCで、1987年にゴルフ2のGTI 16VでおなじみのDOHCが投入されている。取材したのは1.8リッターシングルカムを積むGTXだった。

シャープでありながら角に丸みを持たせ、前後にエアロパーツを備えたスタイリングは、アルフェッタGTよりひと世代新しい。インパネは当時のゴルフに似ているが、前席はアルフェッタGTよりも低く、かなりスポーティな雰囲気が伝わってくる。

ただし後席は、足元には余裕があるものの頭がつかえるので座れない。この点はアルフェッタGTが上だ。その代わり荷室は床が低く、リアシートは左右分割で折り畳めるので、マルチパーパス性では上を行く。リアシートを使う人はゴルフをどうぞ、というコンセプトだったのかもしれない。

エンジンはこれといったピークはないものの、上までストレスなく吹け上がる。同じ時代のゴルフに似たフィーリングで、静粛性を含めてアルファツインカムより洗練されている。シフトもタッチが確実で操作しやすい。車高を落としていたこともあって乗り心地は固め。ちなみに遠い記憶の中にある新車当時はゴルフ2に似て、固めながらストローク感もある乗り心地だった。パワーステアリングは時代を反映して、ややおっとりした反応。でも舵が効いてからの身のこなしはこの足のおかげで、かなり小気味好い反応を見せてくれた。

とはいえスポーツドライビングの奥深さという点では、1950年代生まれのツインカムユニット、重量配分にこだわったトランスアクスルなど、走りのためのエンジニアリングを集積したようなアルフェッタGTが一枚上手に思えた。量産車にここまで凝ったメカを注ぎ込んだアルファはやっぱり並ではないことを、今回の比較であらためて痛感した。

ALFA ROMEO ALFETTA 2.0 GTV

ノルド直系、名車「ジュリア」の後継車

スッと伸びたノーズに丸目四灯式ヘッドライト。スパッと切り落とした逆スラントのリア。ジウジアーロがデザインしたクーペボディは、スピード感あふれるスタイリングとなっている。
デビュー当初は1.8リッター、その後1.6リッターと2.0リッターのツインカムを搭載していたが、後に2.0ターボや2.5リッターV6シングルカムも積まれた。
純正のアルミホイールはディスクタイプ。これはV6モデルにも同じものが採用されていた。
低音を響かせるアンサマフラー
フェラーリにも採用されていたマルミッタ・アンサ・マフラー。低回転では低く、高い回転域ではキレイな甲高い音を奏でることで定評のあったスチールマフラーの雄。
正面に3連メーターのレイアウトは後期型。前期型は回転計が正面に、速度計と時計はセンターとなる。
メーターレイアウトは左が240km/hまで刻まれた速度計、中央が6000からレッドが始まる回転計、右が時計となる。
非常に程度の良いフロントのスポーツシート。見た目に反してスポンジは柔らかく、座り心地もいい。
リアシートはお尻がスポッとハマるような形状。狭くはないがサイズ的には子供向けだ。
トランスアクスルに加え、リアにインボードブレーキを採用しているためトランクの床は高めとなる。

SPECIFICATION
ALFA ROMEO ALFETTA 2.0 GTV
全長×全幅×全高:4153×1664×1334mm
ホイールベース:2413mm
トレッド(F/R):1359/1367mm
車両重量:1080kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1962cc

最高出力:124ps/5300r.p.m.
最大トルク:17.8kg-m/4000r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/ド・ディオン
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):195/60R15

こんなアルファもいいじゃない

ALFASUD SPRINT

イタリアが南北で大きな格差があったことを、1970年代のアルファは伝えている。元からあったノルド(北)と、国の振興政策によって創られたスッド(南)の2種類が存在したからだ。アルフェッタはノルド、対してスッドはそのままにアルファスッドとなる。クーペはスッド・スプリントと名付けられた。

VW SCIROCCO GTX

2代目でより精悍なフェイスマスクに

エンジン、シャシー、サスペンションは初代から受け継いだものだが、ボディはVWスタイリング・センターの手により刷新された。CD値0.38と当時としては優れた空力特性を持っていた。
ゴルフが2代目に進化するのに合わせてシロッコもモデルチェンジ。2代目GTXに搭載するエンジンは、2代目ゴルフGTIと同じ1.8リッターDOHC。
ホイールはノンオリジナル。本来はゴルフ2に採用されていたディッシュタイプのものが装着される。
オジサンにササリまくるZENDER製リアスポ
リアに取り付けられたスポイラーは、ウレタンのZENDER製。ZENDERは80から90年代にかけて、ゴルフやアウディなどのエアロパーツで人気を博したメーカー。
ゴルフ2GTIで採用されていた、ホーンボタンが特徴的な4本スポークのステアリングが標準となる。
左に速度計、右に回転計、中央にウインカーやコーションランプを並べるメーターレイアウトは同世代であるゴルフ2やジェッタ2と同じ。
サイドサポートもしっかりしたスポーツシートが標準装備。サポート部のあたりは柔らかく快適だ。
リアシートは前方に倒すことができ、こうすることでトランクは530リッターと大容量になる。
FFレイアウトのおかげもあって、トランクは深い形状でその分容量も大きい。

SPECIFICATION
VW SCIROCCO 1.8 GTX
全長×全幅×全高:4050×1630×1295mm
ホイールベース:2398mm
トレッド(F/R):1400/1370mm
車両重量:927kg
エンジン形式:直列4気筒SOHC
総排気量:1781cc

最高出力:91ps/5200r.p.m.
最大トルク:14.8kg-m/3300r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):185/60R14

激レアの丸目四灯式、初代シロッコもシブイ!

VW SCIROCCO GTE

初代ゴルフと同じコンポーネンツを持つ初代シロッコは、本国デビューがゴルフよりも2ケ月早い1973年3月だった。日本へは76年に1457cc SOHC、70ps/11.4kg-mのエンジンを搭載した「シロッコ」が上陸。翌年に角目二灯式で1588cc SOHC、82ps/12.2kg-mの「LS」も導入された。写真は初代前期型の丸目四灯式を採用した「GTE」で、1457cc SOHC、75ps/10.6kg-mであった。

PROFILE/森口将之

エンスー大王こと森口さん。仏車、伊車への造詣の深さは業界随一! その森口さんをしても、今回の2台の程度の良さには驚いたそうだ。