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人生の半分以上をフラットフォーと共にFLAT4 & TAKASHI KOMORI

戦前にドイツの国民車として生まれ、のちに世界中で親しまれたVWタイプ1、通称ビートル。ご存知の通り現在では趣味のクルマの代表格ともいえるビートルだが、長年にわたり我が国においてその趣味世界の発展と確立に尽力してきたのが、フラットフォーの創業者である小森 隆さんである。

TEXT / 中本健二 PHOTO / 奥村純一
SPECIAL THANKS / フラットフォー(https://www.flat4.co.jp

人生の半分以上をフラットフォーと共に

「今日も乗ってきてるよ」と話されるのは、カー・マガジン本誌でもお馴染みの小森 隆さん。当時のカー・マガジン誌(461号)でもレポートしているが、2016年に40周年を迎えた空冷VW(フォルクスワーゲン)やポルシェ356など”水平対向4気筒”の搭載モデルを専門とする『フラットフォー』の代表取締役社長(※肩書は取材当時・現在は同社相談役ファウンダー)だ。もちろん、件の”乗ってきている”のはVWビートル。取材当日は、一気に秋めいて気温がぐっと下がり、雨も時折強く降る天候だったがいつも乗っている小森さんには全く関係ないようだ。

「やっぱり気楽に乗れるのが良いよね」とビートルの魅力を語る一言にも、40年以上も空冷VWとの蜜月を築いている小森さんから発せられると重みが違ってくる。しかしその付き合いの長さゆえ、しばらく距離を置こうと考えられたこともあるのでは? と尋ねると「全くないね」と即答されてしまった。

「他のヒストリックカーでドライブやイベントへ参加することもあるけど、渋滞にはまるとどうしても水温が気になっちゃってね。ビートルだとそもそも水を使ってないからその心配はない。それにFRなんかと違って構造はシンプルだし駆動もシッカリとかかる。多少の雪道でも普通に走れるんだ。こんなクルマないよ」とも。

そんなRRの特長もさることながら、小森さんが開拓したともいえる、空冷VWならではの世界も魅力だ。そのスタイルには、取材に同行した姉妹誌レッツプレイVWs編集部の竹内耕太も少なからず影響を受けている。というのも、大学時代に通学路で気になるビートルを見つけたが、購入するか迷っているとき手に取った参考書がレッツプレイVWsであり、その誌面で展開される世界、また小森さんのインタビュー記事を読み気持ちは固まったという。

「1303Sから始まり、今の’ 63年式カルマンで空冷VW歴は13年。だけどまだまだですよ」と話す竹内。45年以上の歴史を持つ小森さんに比べれば確かにヒヨッ子だがその言葉を受けて小森さん曰く「先日開催した”クラシシェス”には80歳を超える現役オーナーがいてね。僕より10歳以上も年上で運転してるなんてすごいよね」と実に嬉しそうに話された。空冷VWを共通語として、車歴に関係なく歓談できるフランクなコミュニティも、フラットフォーの永年にわたる活動によるところが大きい。ちなみにクラシシェス、正式名『クラシシェスVWトレッフェン・イン・ジャパン』とはフラットフォーの主催で2010年より開催されている、日本初のヴィンテージVWを対象としたイベントだ。

小森さんが初めて手に入れた空冷VW、1302Sから40年以上が経過し、パーツを組み換えてカスタムする楽しさや、”スプリット”や”オーバル”などヴィンテージモデルの魅力。日本独自の”古ナン(シングルナンバー)”の大切さを伝えるとともに、その間に新たに空冷VWのオーナーになったレッツプレイVW’sの編集部員までも、そのスタイルで影響を与え生み出してきた。”Has It All”というフラットフォーが掲げる言葉は、貴重な個体やパーツが全て揃うというマテリアルの部分に限らず、空冷VWから見る世界観も全て用意していることを指しているように思えた。ポルシェ博士が生み出した比類なきユーティリティの高さや走破性はビートルに与えられたRRのメリットだ。また、オーナーを変えて乗り継がれる耐久性やメンテナンス性の容易さもまたしかり。しかしそこに”趣味性”を加えることでさらに輝きを増したのは間違いない。

小森さんの最近の悩みはヒストリックカーの価格高騰だという。世界に数台という貴重な個体も所有するフラットフォーでは歓迎できるところもあるのではと思ったが「高価になり過ぎると、気軽に乗れなくなるからね。やっぱり乗って楽しんでもらいたいじゃない」と言われ改めて気づいた。小森さんが提案する空冷VWの世界は全て乗って楽しむことが基準であり、その一言にビートルの魅力が集約されているのだと。

小森さんが半世紀にわたって、彩を加え続けた
空冷ワーゲンの世界は、”カルチャー”として根づくほど日本で浸透

小森 隆さん

東京都・目黒区鷹番や福岡に店舗を構える空冷VW & ポルシェの専門店『フラットフォー』の相談役ファウンダー。ビートル歴45年を超えた今でも毎日のように接している。そんな小森さんのスタイルに憧れ、空冷VWに乗り始めるオーナーも多く生み出している。

写真右は貴重なロメッシュ・ロウレンス・クーペ。アメリカでフルレストアされ、クラシシェスの場でお披露目された。

地名なしの”5″を掲げるフルレストアされたこちらの1958年式タイプ1もなんと販売車両(取材時)。工場出荷時の装備など記した出生証明書(Birth Certificate)を本国から取り寄せ細部まで仕上げられている。”古ナン”を継続可能(世田谷管轄)な方のみを対象に販売するなど、そのクルマの持つ歴史も大切にし、魅力として伝えるフラットフォーを象徴するような販売車だ。

ショールーム内の展示車両は定期的に入れ替えられており、取材当日はロメッシュ・ビースコー・カブリオレなど、世界に数台という希少車をみることができた。消耗品だけでなく、ステアリングやホイールなどは数十種類も展示されおり、実物を見て選ぶことができる。あまりの多さに悩んだ時は、空冷VWを知り尽くしたスタッフに尋ねるのもアリ。的確なアドバイスを受けることが出来るはずだ。

たまたまこの日は、小森さんにとって初めての空冷VWと同タイプの1302Sも販売車両として並んでいた。

今回の取材に同行したレッツプレイVWs編集部の竹内耕太も、少なからず小森さんに影響を受けて空冷VWの世界に足を踏み入れたひとり。そんな若者(?)からビートル歴50年以上という大ベテランまで、年季に関わらず楽しめることも魅力だ。