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フレンチ・ラージ・ミニバン時代到来か!?CITROËN SPACETOURER & RENAULT TRAFIC

フランス車ならミニバンや商用車でも快適な移動ができる。昨今ではパワーもあり、まさに盤石を固めつつある。今回は「ミニバンはどうもなぁ」という読者に向けて、次のステップへと進んだ2台の最新フレンチ・ラージ・ミニバンを紹介しよう!

TEXT / 遠藤イヅル PHOTO / 宮越孝政
SPECIAL THANKS / カーボックス横浜(http://www.carbox.jp/), JAVEL(https://javel.co.jp/

フレンチ・ラージ・ミニバン時代到来か!?

輸入車やヤングタイマーを好む読者の中にも、ミニバンに乗っている人、興味がある人は多いに違いない。もしくは「乗ってみたいけれど、好きな国やメーカーからミニバンが出ていないので諦めている」などの意見もあるだろう。さらに、ミニバンに「興味がない」「購入を考えたこともない」という声もよく聞く。その理由に、ハンドリングが悪い、車重が重く走りが眠い、好まないデザインの車種がある、ドライバーが“運転手”のようだ……など、こちらも様々な意見があることと思う。

そこでそんな読者のために、商用バンベースのフレンチ・ミニバン「シトロエン・スペースツアラー」と「ルノー・トラフィック」を紹介したい。どちらも乗用・商用を用意しつつ、前者はとても豪華な乗用仕様を設定し、後者はメインを商用車としているため、それぞれ性格はまったく異なるものの、「ハンドリングがよい」「乗り心地が良い」「シートが良い」「加速が良い」「デザインが良い」ことが共通している。

CITROËN SPACETOURER 180

快適で高品質な新世代フレンチミニバン

シトロエン・スペースツアラーは、2016年に登場。グループPSAの新世代プラットフォーム「EMP2」を用いたFFのミニバンで、乗用仕様としてプジョー・トラベラー、オペル・ザフィーラライフ、トヨタ・プロエースヴァーソを擁する。同社の大型乗用ミニバンとしては、ユーロバン「エヴァシオン」「C8」に次ぐ3世代目にあたり、商用版は3代目「ジャンピー」を襲名する。一部の国産ミニバンのような派手なメッキグリルもなく、外観デザインはいたってシンプル。スペースツアラーには長短2種のホイールベースがあり、短い方の取材車でさえ全長約5m、全幅2m近い大きな車体を持つが、威圧感はまったくない。

そして注目は高級なインテリアである。英国仕様の取材車は「フィール」「フレア」などのトリムレベルに相当し、電動スライドドアをスイッチひとつで開閉することができるほか、天井にはパノラミックガラスルーフ、オプションの本革シートや前席シートヒーターやマッサージ機能まで備えている。ダッシュボードや内装全般の質感はとても高く、商用車をバリエーションに持っているとは思えないほどだ。車内に並ぶ3列・8人分のシートはいずれも遜色ない出来で、座り心地に優れる。2列目以降は国産ミニバンのようなシートアレンジはできず、背もたれも倒れないが、それは大きな問題にならないだろう。

180psを発生する2リッターディーゼルターボエンジンのキモは、わずか2000回転で発生する40.8kg-m以上の強大なトルク。車重は2tを超えるものの、動力性能にはまったく過不足がないどころか、いざというときに見せる抜群の加速力には驚愕さえしてしまう。アイシン製の8速A/Tはきめ細やかに変速を行い、最適にその強力なパワーを引き出してくれる。ハンドリングもよく、コーナーでも重心の高さをあまり感じることがない。

そしてやはりシトロエンといえば乗り心地が気になるが、中速以上では柔らかなライドを味わうことができる。車体サイズから気になる街乗りも、思いのほか小回りが効くこと、アイポイントが高いこと、サイドミラーに映る範囲が広いことから、狭い道でもあまり気にせず入っていくことができる。ゆとりたっぷりの動力性能と快適な乗り心地、矢のような直進性を持つスペースツアラーで走る高速道路での安楽さは、もはや説明の必要はあるまい。

リアオーバーハングが短い胴長フォルム。デザインは全体的にシンプルで◎。
ボンネットの奥底に置かれる2リッター直4ディーゼルターボは、180psの最大出力と40.8kg-mの最大トルクを発生する。
タイヤサイズは225/55R17。シトロエンらしい躍動感あふれるデザインのアロイホイール。
バックドアは跳ね上げ式でガラスハッチ付き。3列シートの後方にも、ラゲッジスペースを確保する。
高い質感と機能性に満ちたダッシュボードは、シンプルで飽きのこない造形。助手席前のナビは後付けだが、綺麗に収まっている。
作りの良いフロントシート。硬めだが形状に優れ、座り心地良好。
2列目シートは3座でそれぞれ独立。シートはがっちりとした出来で、座り心地が良い。背もたれはリクライニングしないが、苦にならない。
3列目のシートも抜かりなし。いずれも折りたたむことはできないが、取り外しが可能。
ダイヤル式のシフトを採用。ステアリング奥にシフトパドルも装備されている。
前席にはヒーターに加えマッサージ機能も併せ持つ。
2列目頭上には大きなガラスルーフと電動シェードを備える。
左リアにある給油口は、フェンダーに沿うデザインが施されている。
クルマ好きにはたまらない、心をくすぐるサイド出しマフラー。

SPECIFICATION
CITROËN SPACETOURER 180
全長×全幅×全高:4956×1920×1890mm
トレッド(F/R):1627/1600mm
ホイールベース:3275mm
車両重量:2020kg
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHCディーゼルツインターボ
総排気量:1997cc

ボア×ストローク:94.0×67.0mm
圧縮比:7.4:1
最高出力:180ps/3750r.p.m.
最大トルク:40.8kg-m/2000r.p.m.
トランスミッション:8速A/T
サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F&R):225/55R17

RENAULT TRAFIC 170 EDC

実用性のカタマリのような巨大商用貨客

もう一台のルノー・トラフィックは、先般マイナーチェンジを受けて各部をブラッシュアップしている。3代目となる現行型は2014年にデビュー。日産NV300、三菱エクスプレス、フィアット・タレントとしても販売されているほか、PSA傘下入りするまでのオペルでも売られていた。トラフィックには乗用版もあるが、客貨兼用の“コンビ”としての性格が与えられており、高級なMPVの役目は「エスパス」が担当する。四角くて大きな車体と、FFによる低い床が生み出す積載力の高さはトラフィックの大きな美点で、本国にはさらに長いホイールベースやハイルーフ版も設定している。

トラフィックは歴代いずれもデザイン性の高さが評価されており、現行型も無塗装の樹脂部を大胆に生かしたリアビューなどがデザイン処理の見どころだ。マイナーチェンジでヘッドライトが変更になって目ヂカラが増し、グリルにメッキを配したものの、「高い機能性を感じさせる外観」は不変である。快適装備を一通り備えるダッシュボードは質素で、使い勝手が良いのも変わらないうえ、改良によって質感が高くなったように思う。前席のもっちりとした座り心地もトラフィックの魅力のひとつ。2列目・3列目のシートは無愛想な見た目だが、こちらも想像以上に快適な着座感を持つ。

2リッターにアップして170psを得たディーゼルエンジンは、以前の145ps版よりも明らかに出足の加速を向上させている。商用バンにありがちな、空車だと無闇に跳ねるような乗り心地も抑えられており、長距離の移動もとてもラクだ。一度の移動距離が長い欧州生まれならではである。走りに手を抜かれがちな商用車なのに、乗って楽しくさらに疲れにくいというのは、にわかに信じられないかもしれないが、トラフィックをはじめとした欧州製商用車では、当たり前の性能なのだ。

快適な移動を約束し、ビジネスや送迎需要にも十分対応が可能なスペースツアラーは、見た目こそミニバンだが、むしろこれまでのベルリーヌ(セダン)やブレーク(ワゴン)の延長上にあるクルマなのかも、と思った。C4スペースツアラーも快適な「現代のファミリアール」だが、3列目の居住性は、今回取材したスペースツアラーが上をゆく。堂々とした体躯も、かつてのCXファミリアールのようではないか。

一方のトラフィックは、むしろ商用車出自の潔い質素さと、広大な室内空間を逆手にとって、アウトドアや趣味を彩るツールとして活用してはどうだろう。少なくともこれらの、次のステップに進んだ最新フレンチ・ラージミニバンなら、目的地までの移動が退屈なんてことは絶対にないのだから。

未塗装部もしっかりデザインしてあり、むしろアクセントとなってカッコいい。
2リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載。最大出力は170ps。エンジンの音はかなり静かだ。
タイヤはOPの215/60R17C。一見キャップのように見えるアルミホイールを装着する。
スクエアな車体が生み出す広大なラゲッジスペース。
左ハンドルだが見切りが良く、逆に日本の狭い道では乗りやすい。マイナーチェンジで内装の質感が向上した。ステアリングフィールは良好。
見た目を良い意味で裏切る、座り心地に優れるシート。長距離移動もラクラク。
簡易的に見える2列目もクッションが厚めで形状がよく、望外に快適。
3列目も同様で、長時間の移動に耐える。
取材車は6速EDCを搭載。車体が大きいだけに、シフト+クラッチ操作が減るだけでも運転の負荷はぐっと少なくなる。
バックドアは跳ね上げ式で、機能的な形状の大きなグリップを配する。
給油口はココ。開けた状態でドアを閉めることも可能。上手なデザイン処理だ。
マイナーチェンジでメッキが増え、ヘッドライトの目ヂカラが強くなった。

SPECIFICATION
RENAULT TRAFIC 170 EDC
全長×全幅×全高:4999×1956×1971mm
トレッド(F/R):1627/1600mm
ホイールベース:3098mm
車両重量:2218kg
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1997cc
最高出力:170ps/3500r.p.m.
最大トルク:38.7kg-m/1500r.p.m.
トランスミッション:6速A/T
サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F&R):215/65R16

PROFILE/遠藤イヅル

最近国産旧車乗りで押しているが、基本的にはイタフラ車を15台以上乗り継いできたイラストレーター&ライター。でも今欲しいのはメルセデスだったりするから厄介だ。