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シングルパーパスカーならではの機能美MITSUBISHI JEEP & JEEP WRANGLER

戦場で使われる、いわゆる軍用車には、シングルパーパスカーならではの機能美も感じられる。そんな軍用車にルーツを持つ、三菱製ジープと、最新型のジープの2台をじっくり乗り比べてみよう。

TEXT / 森口将之 PHOTO / 山田芳朗
SPECIAL THANKS / イワモトモータース(http://www.kurumayayuji.com/), FCAジャパン(https://www.jeep-japan.com/

シングルパーパスカーならではの機能美

オープンカー特集(ティーポ2019年2月号収録)でジープ? 一部の読者はこう思ったかもしれない。しかしオープンカーを語る際、クロスカントリー4WDは欠かせない存在でもある。特に僕がクルマに興味を持ち始めた1970年代は、オープンカーが安全性強化などの影響で次々に消えていって、日本で幌屋根と言えばクロスカントリー4WDという状況だった。当時はランドクルーザーやジムニーにもソフトトップはあった。そのルーツはやはりジープなのである。

ジープの歴史が第2次世界大戦中に生まれた軍用車、ウィリスMBから始まったことや、戦後民間向けのCJ(シビリアン・ジープ)が多くの国でライセンス生産され、その中に日本の三菱自動車が含まれたことは、読者の皆さんも知っているだろう。

三菱がジープを作りはじめたのは1953年。まず本国でCJ3Aと呼ばれる車種をノックダウン生産した後、CJ3Bベースの量産型を民間向けJ3、自衛隊や消防などの公的組織向けJ4として送り出した。

ここからは民間向けに絞って話を進めると、1961年には右ハンドルのJ3Rが登場。さらにロング版J10/11の発展型としてミドルホイールベース・メタルドアの20系、ロングホイールベースの4ドアバン30系、同じロングホイールベースの2ドアメタルドア40系が生まれ、1968年にはJ3Rも50系に切り替わった。

50系の中にも車種がいろいろあって、今回紹介するJ59は1981年デビューで、当時のギャランΣ/Λに積まれていた2リッターガソリンを積む。現車は他の車種にも設定された特別仕様のゴールデンブラック仕様だ。

この間本国のジープCJは、スタイリングを洗練させたCJ5、ホイールベースを伸ばしてメタルドアやA/Tを装備したCJ7を迎え入れたあと、1987年に角形ヘッドランプが特徴のラングラーYJにスイッチする。

ラングラーはその後、丸目を取り戻しサスペンションスプリングをリーフからコイルに一新したTJに切り替わると、4ドアのアンリミテッドを加えたJKを経て、現在の4代目JLに至る。

1986 MITSUBISHI JEEP J59

全身から溢れる究極の機能美

久しぶりに三菱ジープを間近に見てまず感じたのは小ささだ。全長は軽自動車のスズキ・ジムニーに近く、ホイールベースはクラシック・ミニとほぼ同じ2030mmしかないのだから。

床は高いけれど、ステップを使えば乗り降りは楽。メーターこそセンターに集まっているが、スイッチは各所に点在していて、あちこちに取説のステッカーが貼られる。まさに仕事場だ。

ドアさえない車体は1160kgしかないから、ダイレクトなタッチが心地よい4速M/Tのシフトレバーを操っての加速は、流れを楽にリードできるほど。基本が乗用車用だけあって静かで、なおかつオフロードカーならではの扱いやすさも併せ持っている。

黒地に金のラインを引いたボディカラーは「ゴールデンブラック」と呼ばれ、最終型でも採用された。

ただそのときの寒さは、並のオープンカーの比ではない。くるぶしから上がむき出しなのだから。ウインドスクリーンは顔から遠いので、直進時は大丈夫だけれどコーナーでは全身に風が当たる。信号待ちで停まって初めてヒーターの存在に気づく。

でも僕はモーターサイクル乗りでもあるので、相応の防寒対策をすれば問題ないし、シャシーに直接乗っているような開放感を知ったら、多少の寒さなど気にならなくなってしまう。

乗り心地は予想以上に快適。サスペンションやタイヤ、シートなどのモディファイが効果を発揮しているようだ。そしてオンロードでも走りが楽しめる。ステアリングの反応は穏やかだけれど、フロントミッドシップのショートホイールベース、しかもライトウェイトだから身のこなしは軽快だし、ドライバーの直後にある後輪が路面を蹴る様子が伝わってくる。

ハイマウントされた丸型のヘッドライト、縦長に通気口が開けられたグリルと迫力のあるフロントフェイスはジープらしさの象徴。
フロントウインドウを前方に折り畳める。この状態で公道を走るのは違反ではないが危険ではある。

ライトなオフロードにも踏み入れてみた。身を乗り出せば前後のタイヤさえ見える視認性、ショックを受け止める強靭なラダーフレーム、ストロークの長いリジッドアクスル、機動性にあふれるショートホイールベースなど、こういうシーンのために生まれたことがよく分かる。

でもオンロードでのライトウェイト・トラックと言いたくなる痛快な走りっぷりは、それとは別の面白さに溢れている。いまなお三菱ジープが根強い人気を得ている理由が理解できた。

エンジンは2.0リッターのガソリン仕様。低速トルクがあり運転しやすいが、ハイの設定でもローギアードで、高速移動は苦手だ。
やはりジープにはゴツいタイヤが似合う。銘柄はヨコハマのクロカン用、ジオランダーA/T-S。ホワイトレターの施工は定番モディファイ。
リアにはフルサイズのスペアタイヤと20リッターのジェリカンを搭載。このアイテムと武骨な搭載の仕方が男心をくすぐる。
リアの荷室。本来ここには取り外し可能で折り畳み式のリアシートが収まる。乗車定員は4名。
径の大きいステアリング。かなりダルな設定で慣れを要する。
ジープは最初からセンターメーターを採用。レイアウトは極シンプル。
一番長いのがシフト、次がトランスファー、短いのがロー/ハイ切替レバー。
シートはセミバケットシートに換装済み。

SPECIFICATION
1986 MITSUBISHI JEEP J59
全長×全幅×全高:3455×1665×1920mm
ホイールベース:2030mm
トレッド(F/R):1300/1300mm
車両重量:1160kg
エンジン:直列4気筒SOHC

総排気量:1995cc
最高出力:100ps/5000r.p.m.
最大トルク:16.5kg-m/3000r.p.m.
サスペンション(F&R):リーフ・リジッド
ブレーキ(F&R):ドラム
タイヤ(F&R):215R15-6PRLT

2018 JEEP WRANGLER UNLIMITED SAHARA

ジープらしさを残しつつ重ねた改良

そこから乗り換えた最新のラングラーは、アンリミテッドのサハラ・ローンチエディションという発売記念の最上級仕様。4ドアということもあって、ボディサイズは三菱ジープの倍ぐらいに感じるし、デザインは演出上手になったなあという印象を受ける。

一方でラダーフレームに前後リジッドアクスルというスペックはウィリスMBと共通。ボディは樹脂製ハードトップが取り外し可能だ。そのためキャビン内側にはロールケージが張り巡らされる。モノコックのクルマとは構造からして別物だ。

ずっと変わらないシルエット。4ドアのモデルは「アンリミテッド」という名が与えられる。

時間の関係で今回はオープンにはできなかったけれど、センターピラーより前はレバー操作で簡単に取り外せる。これだけでも開放感は格別だった。

新型ラングラーは2リッター4気筒ターボを投入。少し前の試乗会では扱いやすさに感心した。今回乗ったサハラは3.6リッターV6で、8速になったA/Tのおかげもあり、従来より身軽に感じる。乗り心地が良くなり、小回りが効くようになったことも朗報。試乗会で体験したオフロード性能は、ポテンシャルの高さを楽しみながら味わえることがジープの伝統どおりだった。

基本デザインは歴代と一緒だが、LEDヘッドライトの採用で、少しマイルドに見えるフェイスまわり。
フロントのルーフパネルは、左右分割式で取り外し可能。リアはルーフ全体と後席以降のウエストラインから上が外れる。

オンロードでも伝統を感じることはできた。強靭なラダーフレームと良く動く前後リジッドアクスルのコンビが生み出す、骨っぽさとまろやかさが同居した感触が三菱ジープそっくりだったのだ。ホイールベースが約3mに達するのに、後輪駆動車らしい手応えを伝えてくるところも嬉しい。

生まれ故郷から遠く離れた地で基本設計を半世紀以上守り抜いた三菱ジープと、基本設計を時代にアジャストしつつ思想は不変のラングラー。今回はオープンカーという枠で取り上げたけれど、この2台はやっぱり、もっとスケールの大きな取り上げ方をすべきであると感じたのだった。

高効率かつ軽量なアルミ製V6ペンタスターエンジンを搭載。これに新開発の8速A/Tが組み合わされる。
スクエアな形状のトランクルームだが、タイヤハウスが大きく張り出し、ロールケージも組まれているので容積はそれほど大きくない。
リアにはフルサイズのスペアタイヤを搭載。コンパスを模したカバーが掛けられ、中央部にはリアカメラが備わる。
アルミホイールはオーソドックスな5スポークデザイン。グレーとポリッシュの組み合わせがワイルド感を醸し出す。
インテリアのデザインはおおむね先代モデルと大差はないが、質感やスイッチ類は増加し、さらに使い勝手は大幅に向上している。
ジープといえども、最新モデルのステアリングにはクルーズコントロールやオーディオなどのスイッチ類が備わる。
力強さと滑らかさの両立を実現する8速A/T。
スポーティな形状の本革製フロントシート。快適な座り心地を提供してくれる。
座面が短く背面が立っているので長距離には向かないリアシート。

SPECIFICATION
2018 JEEP WRANGLER UNLIMITED SAHARA
全長×全幅×全高:4870×1895×1840mm
ホイールベース:3010mm
トレッド(F/R):1600/1600mm
車両重量:1980kg
エンジン:V型6気筒DOHC

総排気量:3604cc
最高出力:284ps/6400r.p.m.
最大トルク:35.4kg-m/4300r.p.m.
サスペンション(F&R):コイル・リジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):255/70R18

PROFILE/森口将之

エンスー大王と呼ばれる程マイナーな車種にも造詣が深い森口さん。なぜ今回はジープを? と思ったアナタ、氏は四駆専門誌に在籍していたこともあるのです。