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自動車型録美術館

プジョー402PEUGEOT 402

古今東西の自動車カタログをご紹介します。

TEXT / 板谷熊太郎

ファミリーカーのものとは思えない幻想的なカタログです

今回はわたしが美しいと感じているカタログのひとつです。特にスポーツでもラグジャリーでもない一介のファミリーカーにこのようなカタログを用意する。やはりフランスは偉大です。

ポルシェとプジョー

以前紹介したポルシェが質実剛健なカタログでしたので、少し華のあるものにしようと選んだのがこのプジョー402です。趣味のポルシェが理性に訴え、実用のプジョーが感性にはたらきかける、この対比が面白いと思いました。ドイツとフランスの国柄でしょうか。ポルシェ911は901として売り出そうとしたところ、数字+ゼロ+数字の組み合わせは全てプジョーに登録されていたため、やむなく911とした話は有名です。それだけでなく、どちらもPではじまり、しかも文字数も同じ。このことに気付いた時、意味もなくわくわくしました。

プジョー402

プジョー402は1935年から1942年まで生産されたファミリーカーです。前半は2リッターの直列4気筒、後半は2.2リッターになります。グリルのなかに埋め込まれたヘッドライトは、この頃のプジョーの特徴のひとつ。402に少し遅れて登場する202も同様のヘッドライトで、ブリヂストンの創業者である石橋家にもプジョー202があったそうです。故小林彰太郎さんによれば、石橋家の202のヘッドライトはフロントフェンダー上に移設されていて、残念に思ったとのこと。その202のエンジンを手本にして開発されたのが、プリンスの1.5リッター直4エンジンでした。

(初出カー・マガジン478号/連載第26回)

カタログは次の2種類に大別できると考えています。ひとつめは機能の説明を主にしているもの。これを仮に理性的カタログとします。それに対し美的な表現を重視しているもの。こちらは感性的カタログとしておきましょう。クルマも大きく2種に分かれます。まずは道具としての意味合いが大きなもの。そしてもう一方が趣味的な色彩の強いもの、です。ファミリーカーはどちらかといえば道具としての比重が高く、スポーツカーは道具というよりは趣味の範疇に軸足をおいたものでしょう。そしてカタログとの相性ですが、道具的なクルマには理性的カタログが、趣味性の強いクルマには感性的なカタログが似合うのではないかと思っています。

●サイズ(縦×横)134mm×202mm
●全16ページ (リング綴じ)

先のキャプションで書きたかったのは、道具的意味合いの強いクルマに感性的なカタログという組み合わせ、これがとても新鮮だということです。前回とりあげたポルシェ356Bのカタログは、スポーツカーでありながらカタログが理性的という好例です。そして今回のプジョー402はファミリーカーでありながら感性的カタログで、ポルシェ356Bとは対照的です。このドイツとフランスという対比と、ポルシェとプジョーの901を巡る因縁などから、今回はプジョーをとりあげた次第です。

プロフィール●板谷熊太郎
幼いころからのクルマ好き、実車よりもカタログや書籍などの紙モノに魅かれる変わり者。カー・マガジンの『自動車型録美術館』の他、姉妹誌モデル・カーズにも『自動車博物記』を連載中。