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日本で唯一!? 営業可能な英国製アイスクリーム・バン!MINI ICE CREAM VAN

日本も昔は国産車を使ったアイスクリーム・バンを見かけたものだが、最近はとんと姿を見なくなった。イベントなどでもアイスクリーム専門のバンというのは、とても珍しいのではないだろうか。ここではクラシック・ミニをベースにしたアイスクリーム・バンをじっくりご紹介していこう。

TEXT / 中島秀之 PHOTO / 奥村純一

日本で唯一!? 営業可能な英国製アイスクリーム・バン!

雑誌「ティーポ」では過去に何台か、ヒストリックカー・ベースのケータリングカーをご紹介してきた。シトロエンHやVWタイプ2などがベースで、そのお洒落でかわいい外観が集客に役立つと共に、オーナーさんのエンスー心も満たされるといった印象だった。

今回ご紹介するのは、クラシック・ミニをベースとしたアイスクリーム・バンである。イギリスではこの手のバンは昔から普及しており、様々な車種が使われてきた。今も多くが稼働しているようだが、ベースは現代のパネルバンがほとんど。因みに、ミニをベースにしたものは1970年代頃までは本国でかなり多かったようだが、さすがに今は数えるほどだそうだ。

日本では、20年程前に国産車を使ったアイスクリーム・バンを都内でも時折見かけたものだが、最近はとんと姿を見なくなった。イベントなどでもアイスクリーム専門のバンというのは、とても珍しいのではないだろうか。

ではこのミニ・アイスクリーム・バンは何者か? ということだが、実は完全な営利目的で用意されたクルマではない。大阪にあるミニのスペシャルショップ、スミス サービスの楠将浩社長が、「イベントなどで、イギリスのテイストを多くの人に味わってもらい、イギリスとミニを好きになってもらいたい」という思いから、イギリス製の本物を用意し、ナンバーを取って自走できるようにしたのだ。現在はミニのイベントで営業されているので、ご存知の方も多いだろう。ただ、営業するのには大変なご苦労があったそうで、それをご紹介していこう。

ベースとなったミニ・ピックアップは、ホイールベースを102mm伸ばしたバンがベースで、1961年に誕生。アウターヒンジドア、スライドガラスのまま、1980年代初頭まで作られた。

この個体は1970年代のミニ・ピックアップをベースに、イギリスの改造メーカーによって作られたクルマだそうだ。それを、ミニや英国車のパーツ業販で有名な三和トレーディングが1995年に輸入し、同社のコレクションとして保管されていたとのこと。楠社長はこのクルマの存在を以前から知っており、前述のような思いからお願いしていたところ、2014年にようやく譲り受けたそうである。一度大阪のスミス サービスに運んで整備し、それを東京の三和トレーディングに戻して登録を行ってもらっている。

ただこの時点では、外観がアイスクリーム屋仕様なだけで、中身は何もなかった。楠社長としては、イギリスのソフトクリームを販売したかったそうだが、日本ではソフトクリームを作る機械とコーンは、日世が事実上唯一のサプライヤーだそうで、これを使うことを決定。数ある味の中から一番クラシックなものを選び、これにイギリス製のフレークを添えることにした。

車内に機械を設置して材料を用意すれば営業はできそうだが、それは基本的にクローズドイベントだけのこと。せっかくやるのなら、きちんと営業許可を取得しようと、楠社長は次のステップに進んだ。最大の難関は保健所の認可を取得することで、車内に手洗い用と排水用のタンクが必要だったり、その他細かな規則を一つずつクリア。ようやく大阪市の移動販売免許を数ヶ月前に入手できたそうである。

カラーリングを含めて、全てがキュートな雰囲気。車内は男性でも普通に立ったまま作業ができる高さがある。

一方、実際にイベントで営業するのも一苦労だそうだ。機械を動かす200Vの発電機は毎回レンタルするのだが、重量が100kg以上あるため、別のクルマに積んで持って行くという。また現車は自走可能なのだが、車高が高く横風に弱いので、長距離の場合はトレーラーに積んでいくことが多いとのこと。夏は車内が高温になるため、外にスポットクーラーを設置する必要もあるのだそう。更に1回イベントが終わると、アイスクリーム製造機を洗浄する必要があるのだが、重いため、狭い車内で上から水をかけては下のバケツで受ける繰り返しだという。その上でアルコール消毒もしなくてはならず、大変な作業なのだそうだ。

それでも年3回、5月の岡山国際サーキットのミニジャック、9月の蒜山高原のブリティッシュ・ピクニック、11月の浜名湖のジャパンミニデイで、楠社長の娘さんとお客さんの娘さんの二人が笑顔で作ってくれるソフトクリームは、大人から子供まで大人気だそうだ。「子供たちが将来クラシックミニに乗ってくれるきっかけになれば」と、楠社長は目を細めていた。

5月のミニジャックでの一コマ。まだ看板とフロントのロゴは「Mr Lea’s」になっている。右側の椅子もかわいい。
女性が持っているのが特製ソフトクリーム。横に刺さっているのはイギリスから直輸入している「フレーク99」。
イギリスで見た、そのままの姿を大切にしたい!
元々屋号として「Mr Lea's ICE CREAM」と、フロントウインドウの上には書かれていたのだが、スミス サービスの楠社長とご家族で運営されているため、「SMITHS & SONS」に改められた。
それ以外のボディに残された文字は、全てイギリスで製作された当時のまま。
リアには「子供に注意」の文字。
フロントのソフトクリーム型の飾りにはライトが点く。
サイドウインドウに貼られたアイスクリームの紹介ステッカーは全てイギリスのもの。奥の製造機のカバーはお手製。
インパネは70年代のピックアップそのまま。左側に、別項で紹介しているオルゴールが備わる。
シートは営業時には一つにし、移動時には助手席を装着することが可能。左右3点ベルトも装備。
新品が入手可能なヨコハマの10インチ・バイアス・タイヤを純正ホイールに装着。
エンジンは90年頃のキャブ・クーパー用1.3リッターに換装されていた。バッテリーは前に移設。
日世のソフトクリーム製造機。営業中は熱で車内が暑くなるそうで、夏場は別途スポットクーラーが必要だそう。
前席の上には棚があり、営業に必要なものを入れた籐のバスケットとミニカーが置いてある。
ミニカーは全てミニのアイスクリーム・バンで、現車と全く同じボディのものもあった。
この写真集は、ソフトクリームに添えるチョコフレークのような「フレーク99(商品名)」を扱う、アイスクリーム・バンとそのアイスクリームを紹介したもの。
開閉式の天窓には、マグネットで取り外しできる排気用ファンを装着。
保健所の認可を得るために必要な、洗浄用水と排水用のタンク。

TOPICS

オルゴールがお約束

移動アイスクリーム屋さんにはなぜか音楽がつきもので、イギリスの場合、オルゴールの音がお約束だそうだ。

インパネ左側に、ねじを巻いて鳴らすオルゴールと電源(右)、音量調整スピーカー(左)を設置。
車体下にある細長いトランペットから音が出る。

SHOP GUIDE

大阪で間もなく30年

大阪府高石市にあるスミス サービス(TEL:072-262-9839)は、楠 将浩社長が20代で始められたミニ&英国車のスペシャルショップで、間もなく創業30年を迎える。楠社長が大変なイギリス通であることから、お店の雰囲気はほぼ英国! もちろん車両やパーツ、メンテナンスに関する知識と経験は豊富で、多くのファンが信頼を置いている。