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ちょい古ルノーの乗用仕様商用車をチェック!RENAULT KANGOO(I)& TRAFIC(II)

カングーに代表されるルノーの多目的車は、元々道具としての完成度が高い。そこで初代カングーと、日本では珍しいトラフィックの中古車で、その魅力を再検証してみた。はたして使い込むほど、味わいは増しているのか?

TEXT / 中島秀之 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / サンク(https://themotorbrothers.com/special-shop/12518

ちょい古ルノーの乗用仕様商用車をチェック!

商用車をベースに、乗用車的な装備や性能を与えたモデルが、日本でも人気となって随分経つ。とりわけルノー・カングーは、お洒落なファミリーカーとして完全に定着した。

フランスには元々、大衆車の前席までを使って後部に箱型の荷台を設けたフルゴネットというタイプの商用車が各社にあった。ルノーの場合4フルゴネットが1962年から作られ、長く愛されたが、1985年にシュペール5ベースのエクスプレスに代替わりした。このエクスプレスの乗用車仕様が、ヴィトレの名で人気となり、これが1988年から日本でも販売された。日本では単にエクスプレスと呼ばれたこのクルマが、ルノーのこうしたモデルの先駆けと言えるだろう。今見ても非常に魅力的に思える。

更にこのエクスプレスの後継として登場したカングーIは、エクスプレスの特徴や良さを引き継ぎながら、より使い勝手や洗練度を高めたモデル。過去2世代と異なり、専用の背の高いボディを持つが、その分車両としての完成度は高く、このタイプになって初めて、欧州市場でも商用のエクスプレスより乗用仕様の方がセールス的に上回るようになったほどだ。

日本でもこのカングーIは2002年に正規輸入を開始。翌年マイナーチェンジされた頃から大人気となり、2009年にカングーIIが導入されてからも、車幅が狭いカングーIの人気は高いままだった。今も中古価格は、年式を考えれば、高値が続いている。

2005 RENAULT KANGOO GLASS ROOF GIRAFON

一箇所多く開閉できるだけで嬉しい!

カングーI後期型のサイズは、4305×1675×1810mm。今見ると車幅が狭いように思えるが、日本の道ではこの方が便利と言われていた。
この個体は2005年式の4A/Tディーラー車で走行7.5万km。車検ありで98万円だった(取材時)。
リアのドアは当初ダブルバックドアとハッチバックが選べたが、2006年の小変更以降は前者だけになった。現車はジラフォン仕様で、リアエンド上部が開閉可能。
これがグラスルーフ・ジラフォン。奥を支点に上に開閉でき、開けた状態でも固定できる。手前のバーは左側が外れる。実際に使うかどうかはともかく、あれば嬉しい装備と言えよう。
エンジンは95psの1.6リッター直4 DOHCで、4速A/Tが組み合わされる。
インパネは曲線主体のかわいいデザイン。ステアリングはサンクがお勧めするレザー巻き仕様で、現車はカラフルなトリコロールだが、もちろん黒一色でも対応可能。
サイズはそれほど大きくないものの、適度な沈み込みと的確な形状で、座り心地がとても良いフロントシート。
座面に3人掛けの仕切りがあるリアシート。これもサイズは小さ目だが、座り心地は良好。もちろん、折り畳むことも可能。頭上には広大な空間がある。
路面からの位置は髙いが、床がフラットで使いやすい荷室。
ダブルバックドアとジラフォンを全開にすれば、大きな物の積載に便利。
ウインカーがオレンジになる本国仕様のヘッドライトを装着。顔の印象が大きく違う。
タイヤは175/65R14、ホイールは純正スチールをベージュに塗装したもの。

前置きが長くなったが、今回カングーIに今乗るとどうか? を確かめたくて、中古車をお馴染みのサンクからお借りした。ただしこの個体は、2005年にルノー・ジャポンが88台のみ輸入したジラフォンと呼ばれる限定車だ。ジラフォンとはキリンの首を意味しており、リアゲート直前のルーフが、上に開閉できる仕組みで、長尺物が積めることからこの名前を持つ。

確かに4フルゴネットにもエクスプレスにもこの装備があったのに、カングーにはなかったのが不思議だったのだが、限定車としては存在していたわけだ。実際に使うかどうかはともかく、お洒落度が高いのは間違いない。もっとも、希少な限定車の上に、人気の高いマリンブルーの外装ということもあり、価格は通常より更に高め。ただその価値は十分にあると言える。

で、このカングーIを、本当はエクスプレスと比較してみたかったのだが、今や売り物が極めて少なく、あっても程度の良いものはかなり高価だったりする。このためエクスプレスは諦めて、サンクの在庫車の中から、カングーIと同世代に作られた、一まわり大きな商用車ベースの乗用仕様である、ルノー・トラフィックIIを比較車両として借り出してみることにした。

2004 RENAULT TRAFIC II 2.0 SWB

大きくても快適な乗り味は、まさにカングーの兄貴分!

この個体は2004年式の6M/T、左ハンドル仕様で走行14万km。車検ありで229万円だった(取材時)。
横から見ると、ボンネットと寝かされたAピラーがほぼ一直線につながり、前席頭上で一度盛り上がってから下がるため、まるで新幹線のようだ。
ハイエースなどの日本車に比べホイールベースが長く、リアのオーバーハングが短い。また樹脂パーツが側面下部分からリアの左右に繋がっているのも面白い。
外観同様、商用車としては凝ったデザインのインパネ。ガソリン2リッターながら回転計の目盛は6000r.p.m.まで。
現車は9人乗り仕様。このためフロントシートは横3人掛け。運転席は独立しており、大きなサイズで座り心地も良好。
2列目は座面が一体で、背もたれは1対2の分割。右側は乗降用に簡単に倒せる。
3列目は座面と背もたれが、それぞれ一体のもの。2&3列目は座面が高く、頭上空間は大きくない。
リアゲートは観音開き。あまり長くない全長に3列シートを配したため、荷室はそれほど広くない。
左右のリアゲート・ウインドウ内側には、頑丈なスチール製のメッシュパネルがビス留めされていた。何のために装着されたものだろうか?
不思議な形状のサイドミラーも、デザイン上のアクセントになっている。
後席ドアは右側のみ。このドアと、反対側にも、スライド式の小窓が設置されている。
ヘッドライトとウインカーは、カングーIのものと似た、この時代のルノーらしいデザイン。
タイヤは215/65R16サイズのミシュランAGILISで、ホイールは純正の5本スポーク・アルミ。
テールランプは縦に長い透明なカバーの奥に楕円形のレンズを配置。
エンジンは直4 DOHC 16バルブ1998ccで120ps/4750r.p.m.を発揮。同時代の乗用車用より低回転型。
トラフィックIIには全長5182mmのロングホイールベース仕様もあった。

トラフィックは、欧州市場でLCV(ライト・コマーシャル・ビークル)と称されるカテゴリーのモデルで、日本で言えばトヨタ・ハイエースなどに相当する。初代は1980年に発売され、20年以上生産された。2001年にGMとの共同開発による第二世代が発売され、キャビン上部が盛り上がったユニークなデザインと高い総合性能で注目を集めた。生産はイギリスのルートン工場で行われ、オペル/ヴォクゾールの他、ニッサン・ブランドでもプリマスターの名称で販売された。

その後、2006年にマイナーチェンジされ、2014年に第三世代へとフルモデルチェンジが行われている。

今回お借りしたのは、2004年式のショートホイールベース仕様で、ボディサイズは全長×全幅×全高が4782×1904×2497mm、ホイールベースは3098mm。ロングホイールベース仕様もあり、こちらは全長5182mmでホイールベースは3498mmとなる。ちなみに現行トヨタ・ハイエース・ワゴンのサイズは、4840×1880×2105mmでホイールベースは2570mm、ロングボディだと全長&全高が5380&2285mmに、またホイールベースが3110mmに大きくなる。

この個体のエンジンは、ガソリン2リッター直4 DOHC 16バルブで、120psと19.3kg-mを発揮。ミッションは6速M/Tを装備していた。

さてまずカングーIの方からドライブを開始。エンジンは1.6リッター直4 DOHC 16バルブ・95psで、4速A/Tながら1200kg台の軽い車体を元気に加速させる。確かに、大きく重くなったカングーIIの発売当初より軽快に走る印象だ。もっとも、1.2リッターターボ・エンジンと6速A/Tを備える現行カングーと比べてしまうと、A/Tのシフトショックや騒音の面で、さすがに古さを強く感じてしまう。

ただ、歴代カングーの美点であるシートの座り心地や、ストローク感があってしなやかな乗り心地の足まわりは、走行7.5万kmを超えても健在で、街中を走る限りはこれで十分に快適。今も魅力的であることが確認できた。

一方初めて運転するトラフィックだが、まず運転席が高い位置にあり、乗り込むのにちょっと苦労した。ただシートに収まってしまえば意外に見切りが良く、それほど大きなクルマという感じはしない。最初は、ハイエース・ワゴンより全幅が24mm広く、ホイールベースは528mmも長いことから、内輪差が気になったのだが、走り出してしまえば、ステアリングの切れ角が大きく、全長がそれほど長くないことから、全く気にならなかった。

重いボディには非力なのではと思ったエンジンも、一人で運転している限りは全く問題なし。かなり低回転からトルクを出す設定で、信号から流れをリードしていくことも可能だった。

それよりも、ほぼ商用車そのままなのに、シートが良く、足まわりもしなやかで快適なのに驚いた。なんのことはない、これは大きなカングーなのだと、途中からずっと思っていたほど

だ。しかも走行14万kmでも、味わいが十分以上に濃いことにも驚かされた。

カングーIはフレンドリーで、フランス車初心者にもお勧めできる名作だ。一方トラフィックは、カングーでフランス車の良さに目覚め、もっとマニアックなクルマが欲しいという方に、挑戦してもらいたい1台に思えた。

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カングーI前期型は鼻が短い

日本では2002年から僅か1年半程しか販売されなかったカングーIの前期型。エンジンは1.4リッター直4 OHC/75ps。後期型は安全対策で40mm程フロント部分が長くなるため、印象が異なる。

トラフィック3代目は2014年に登場

ルノー・トラフィックは初代が1980年、2代目が2001年、そして3代目が2014年に発売された。3代目もルノーの他、オペル/ヴォクゾール、ニッサン、更にフィアット版も用意される。ヴォクゾール版のみイギリス製だが、それ以外はフランス製となった。バリエーションは先代同様豊富だが、エンジンは1.6リッターターボ・ディーゼルの仕様違いに統一された。

初代トラフィック後期型の9人乗り仕様。取材した第2世代に比べると、さすがに商用車然としており、質実剛健な印象。
3代目トラフィックのロングホイールベース仕様。デザインはキープコンセプトだが、ルーフの膨らみは小さくなった。
リアまわりは、ウインドウやテールランプの形状などが、先代とよく似ている。ただし中身はなかり進化しているようだ。