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オープンミッドをマニュアルで操る快感PORSCHE BOXSTER & MGF

もしあなたがスポーツカーを手許に置くとしたら、さてどんなクルマを選ぶだろうか?デザイン、走り、価格などなど、品定めをする際にこだわるポイントはさまざまだけれど、"スポーツカーらしさ"を強烈に印象づけるモデルとしてはこの2台、なかなかキャラが濃い。それなのに日々の生活へ取り込みたくなるような、フレンドリーさにあふれていたのが意外だった。

TEXT / 清水雅志 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / フィオラーノ(http://www.fiorano.server-shared.com/WP/

オープンミッドをマニュアルで操る快感

手軽にミッドシップスポーツを楽しむにはこの2台、なかなか面白いチョイスかもしれない。オープンエアを楽しむという点においても、その爽快感はなんとも魅力的。しかし乗り味はまったく異なるのだ。

こんなチョイスで乗り比べをすると、やっぱりユーノス・ロードスターが残したものは大きかったんだなぁと、しみじみ思う。ライトウェイト・オープンスポーツの魅力を鮮やかに甦らせて大ヒット。多くのフォロワーを生むことになったが、ロードスターの成功がなければMGFはもちろん、ボクスターだって生まれなかったかもしれない。そういえば車両協力いただいたフィオラーノには、程度のいいフィアット・バルケッタもショールームに飾ってあった。

そんなわけで90年代以降のモデルには、お手頃なオープン2シータースポーツの選択肢が揃う。なかでも今回チョイスした2台には、2座&オープンのほかに、もうひとつ共通項がある。ミッドシップレイアウトだ。先日、911もミッドシップになったと聞いて耳を疑った。ちゃんと確認したらル・マン ウェポン911RSRのことだったが、大型リアディフューザーを取り付けるスペースが必要だったらしい。そんな理由なのかとまた驚いたが、リアアクスルの前にエンジンを搭載するのは、運動性能追求に向けた理想的重量配分の実現が、まあ本来の目的。つまり、スポーツカーの理想形なわけだ。だから、2シーター、フルオープン、マニュアルミッション、そしてミッドシップとカードが揃ったこの2台は、とことんクルマの走りを堪能したい人を惹きつけるはず。ぼくだって同様だが、しかしこの2台と接しているうち、頭に思い浮かんだのは”お気楽”という言葉だった。

異なるお気楽、どちらも捨てがたい

久しぶりに目にしたMGFは、なんともカッコカワイイ。イシゴニス式の横置きFFユニットをもとに構築されているから、上下に分厚いプロポーションを持つが、柔らかい面で包んですべてがギュッとコンパクトにまとめられている。気に入ったのはソフトトップを閉じた姿。スタイリッシュかつ、じつにバランスがいい。

今回試乗した1998年式MGFは、120psの1.8リッターK型エンジンを搭載する。チューンは異なるものの初期のエリーゼやケータハムなどにも搭載され、英国車ファンにはお馴染みだが、その魅力のひとつが”軽さ”。それもあって車両重量は1tと少しで、全長だって4mを切る。この点においてMGFは正しくライトウェイトスポーツだ。またK型エンジンは、可変バルブタイミング機構を採用したVVCユニットでなくても必要にして充分。レスポンスもいい。

だからタイトなコックピットに収まり、φ34というかなり小径なステアリングと対峙するとソリッドな走りを想像してしまうが、MGFはいい意味で期待を裏切ってくれる。ポイントは足まわりだ。ミニやADO16などに用いられていた前後関連懸架のハイドロラスティック・サスペンションにルーツを持つハイドラガス・サスペンションを採用。この手のスポーツカーとしてはあたりが柔らかく、独特な味わいがある。MGブランドがBMWの手から離れて、2002年に登場した進化版のMG TFは、コイルスプリングとリアマルチリンクを得て、ずっと硬派なスポーツカーに変身した。けれどMGFの個性は、キビキビでもスイスイでもない、このちょっと緩い感じのドライビングフィールにあると思う。目を三角にして攻め込まなくても、「これってスポーツカーだよな〜」と腑に落ちる。クルマとの一体感をきっちり押さえているからだろう。

そんなMGFから乗り換えると、初代ボクスターはずっと大きい。ワンサイズ大きなスニーカーを履いたような違和感を覚えたが、それはほんのわずかな時間だった。走らせているうちに、どんどんボディが小さくなっていくように思える。やっぱりスポーツカーだ。最新のボクスターはダウンサイジングの4気筒ターボ。914を愛でた経験のあるぼくは”ポルシェ+4発”に偏見はないが、フラットシックスならではのエンジンフィールを堪能できる爽快なミッドシップスポーツとして、今後986ボクスターは貴重な存在になっていくのかもしれない。

それはともかく、2003年式のボクスター、それも後期型のなかではベーシックな2.7に乗って印象的だったのは、そのパリッとしたコンディションだった。世に出て10年を優に超えているとはとうてい思えないしっかり感があって、200万を切るプライスがお買い得に思えてくる。そこで思った。2シーターとはいえ室内空間には余裕があって、とっても快適。ロングドライブも苦にならないし、街中でも使い勝手がよさそう。加えて、前後のラゲッジスペースを活用すれば荷物も積める。そう、ボクスターのお気楽は、ミッドシップ2シーターとしては異例に高い実用性。なんでもこなせてしまえそうなフトコロの深さを、ボクスターは持っている。

2台の”お気楽”。じつは大きく異なるのだけれど、どちらもかなり身近なミッドシップ2シーターオープンスポーツなのは確かなようだ。

PORSCHE BOXSTER

996と部品共用化を図ることでコストを抑え、1996年に登場し2004年に第二世代987にチェンジ。初代986は前期型が2.5(→2.7)/3.2(S)リッター、後期型(MY2002〜)が2.7/3.2(S)リッター水冷水平対向6気筒を搭載。
前/後期型ともに2.5/2.7リッターのベースモデルには5速M/T、3.2リッターのSには6速M/Tが組み合わされる。ボクスターもティプトロ率が高く、M/T車は貴重な存在だ。
インテリアにも996との共通項が多い。2001年からステアリングデザインを変更し3本スポークを採用。後期型から中央エアベントの下に収納式カップホルダーが装備された。
比較的ゆとりがあり快適性も確保されたコックピット。シートはハイトアジャスターを備えステアリングもリーチを手動で調整できるから、好みのポジションを得ることができる。
取材車両は2003年式の後期型2.7。前期型とはバンパーデザインの変更や前後左右ウインカーレンズカバーがオレンジからクリアになったことで識別できる。電動ソフトトップの熱線入りガラスリアウインドーも後期型から採用。取材車はポルシェ承認タイヤのPOTENZA S-02Aを装着していた。きちんと整備されていたことがうかがえる。前後ラゲッジスペースは思いのほか実用的。

MGF

コンパクトFFハッチ、ローバー100シリーズのコンポーネンツを用いて“MG”の復権を目論んで1995年にデビュー。M/TのほかCVTが組み合わされたほか1.8VVCエンジン搭載車も販売。本国では1.6リッター車も設定。
5速M/Tはストロークはあるものの、曖昧さは感じられずシフトの操作性はいい。K型エンジンが気持ちのよいノートを奏でるので、回転を保つためついつい手が伸びてしまう。
コックピットはタイトで、好ましい包まれ感がある。240km/hまで刻まれた速度計を収めるホワイトメーター、そして小径ステアリングなどがスポーティテイストを印象づける。
ハイト調整機構を持たないシートはミッドシップスポーツとしては着座位置がやや高め。ウインドシールドが前に位置しているので、オープンモデルならではの開放感が味わえる。
こういったビニール製リアスクリーンは経年劣化で硬化やくすみが見られることが多いが、このMGFは新品に張り替えて納車するそうなので安心。ボクスターもそうだが、MGFは前後異サイズタイヤを採用。ラゲッジルームはリアのみで、フロントセクションはスペアタイヤが占める。独特のサスペンション機構はトラブルが発生すると厄介だが、社外品のコイルスプリングセットも販売されている。