OTHERS

<その他コンテンツ>
ニューカー、ヤングタイマー、クラシック、オーナー、ライフスタイル、
カタログ、100ドロ、ミニカーなどなど
COLUMN

りんごとみかんの違い!? チンクエの新たな選択肢FIAT 500 / FIAT 500 EV

フィアット・ヌォーバ500、いわゆるチンクエの保護、保存を行っている名古屋のチンクエチェント博物館が、1台でも多く残すために新たな選択肢を用意した。それがイタリアでフルレストアしたチンクエの販売だ。

TEXT / 平井大介 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / チンクエチェント博物館(https://museo500.com/),ガレーヂ伊太利屋(https://garage-italya.co.jp/

りんごとみかんの違い!? チンクエの新たな選択肢

世界的に加速が止まらない自動車の”電化”。スポーツカーであっても実用車であっても、新車で純粋なガソリンエンジンを楽しめるのはあとわずかなのかもしれない。その波はヒストリックカーの世界にも押し寄せてきていて、基本的な部分はそのままにEVへコンバートするという例も出てきている。今回ご紹介するフィアット・ヌォーバ500のEVもその一例なのだが、実際に聞いて見るとそんな単純な話でもなかった。

今回『フィアット500EV』を発売したのは、名古屋のチンクエチェント博物館。博物館については本誌でも何度かご紹介してきたとおり、チンクエを保護、保存するために様々な活動をしてきており、このEVもその一環となる。実はガソリンエンジンのチンクエのレストアも手掛けていて、既に発売を開始している。

イタリアで長年多くの人々に愛されてきたチンクエは、美しく保存される”頂点”から土に還りそうな”底辺”まで状態は様々だが、チンクエチェント博物館の伊藤精朗代表はその底辺をサルベージしたいと考えている。フルレストアしていい状態にすればそこから30年は乗れるわけで、1台でも多く個体を残すことは博物館としても大いに意義があるのだ。そんな「循環サイクルを作りたい」と伊藤さんは語る。

フルレストアはイタリアで行うため、手で叩ける鈑金職人もいれば、外板パーツや部品も潤沢にあり、色や仕様など、こんなチンクエが欲しいとオーダーすることも可能だ。文末にプライスリストを掲載したが、595㏄、695㏄のエンジンも選択でき、ここでEVも選択できるようになったというのが今回の話である。

今回は両方乗せて頂いたが、もちろんガソリン版のエバーグリーンな魅力は健在で、年に何回かやってくる”チンクエを買いたい病”が襲ってきたことは否定しない。しかし一方のEVも、自動車評論家みたいなことを言い始めればフロントフード内にバッテリーがあるから前が重いなど気になるところはあるが、見える景色はチンクエそのものだから、これはこれで底抜けに楽しいのだ。

日本人はこういう時、価格で松竹梅を決めがちで、今回で言えばEVが松となるが、伊藤さんは「りんごとみかんの違いですよ。それぞれの個性があるんです」と語る。なるほどと腑に落ちた。個人的には博物館お墨付きのフルレストア・チンクエが329万円で買えると聞いて以来、今もトキメキが止まらないのである。

今回取材した500EVはプロトタイプでディテールは市販版と異なるが、ダッシュボードのモニター、サイドブレーキの下にある前進、後進の切り替えボタン、専用のアクセルペダルといったあたりがEVであることを物語る。しかし逆に言えばそれくらいで、言われないとわからないレベルだ。

FIAT 500 EV

[フィアット500 EV(1バッテリー)]¥5,060,000-

こちらもチンクエチェント博物館が販売するフィアット・ヌォーバ500の電気自動車。システム自体はイタリアのニュートロン製で、組み込みはレストア作業同様、イタリアで行う。1バッテリーと2バッテリーの2タイプを用意。1バッテリーで充分に感じたが、使用環境で選ぶといいだろう。
こちらはEV……といっても前後フードを開けなければ見た目からはわからない。ギアは残されているのでシフトチェンジも可能。2バッテリーになるとパワーと航続距離がアップし、ふたつ目のバッテリーはモーターの上に載せる。ちなみにA/T限定免許でも乗れて、パワートレインのトラブルは圧倒的に少ないそうなので、チンクエの形が好きで乗りたい方におすすめだ。

FIAT 500

[フィアット500(フルレストア)]¥3,290,000-

チンクエチェント博物館がフルレストアしたフィアット・ヌォーバ500。下記にプライスリストを掲載したとおり、作業内容はベース、スタンダード、フルレストアの3パターンあり、エンジンは595cc、695ccも選べる。また色やカスタムも相談でき、まさに自分だけのチンクエを作ることが可能だ。
PRICE LIST
モデルベーススタンダードフルレストア
500(500cc)240 万円前後279 万円329 万円
500EV(1 バッテリー)506 万円
500EV(2 バッテリー)550 万円
mCrt595(595cc)349 万円399 万円
mCrt650(650cc)349 万円399 万円
*500F、500Lの相場価格を基準に設定。他のタイプは要相談 *別途予備検査費用(13万2000円)が必要
*チンクエチェント博物館(愛知県名古屋市)渡し価格 *価格は取材時のものです。詳しくはお問い合わせください
今回の試乗はEV→ガソリンの順番だったが、乗り換えるとやはりチンクエは偉大だ……と改めて感心する。ボディの大きさと軽さ、見える景色、背後から聞こえる音。全てが愛おしいのだ。こちらの車両はフルレストアの一例で、欲しい仕様を探して作ってくれるそう。仕上げたものを在庫することもあるので、まずはチンクエチェント博物館に相談するのがいいだろう。

500EVの試乗の様子はYouTubeで動画公開中!