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COLUMN

クラシック・ミニをモディファイで愉しむMODIFED CLASSIC MINI

一般的なクルマの常識を越えたクラシック・ミニの世界観に照らし合わせれば、長い間所有して愉しむのは当然のことのように思える。定期的にメンテを施してやれば生涯の友として活躍してくれるはずだし、ちょっとした化粧直しを施すことで、新鮮な気持ちで接することができるようになるのも、このクルマの長所といえる。ミニの多くが20年選手となってきた今、モディファイの定番スタイル、"マーク1仕様"を考察してみたい。

TEXT / 吉田拓生 PHOTO / 前田恵介
SPECIAL THANKS / ミニ屋Aiフラジル(http://www3.wind.ne.jp/miniya/

クラシック・ミニをモディファイで愉しむ

原初のミニに近づけていくという楽しみ

気に入った愛車をずっと所有していたい、と考えるのはクラシック・ミニのオーナーならずとも、クルマ趣味人であれば当たり前の感情だろう。しかし一方で、ずっと同じクルマに乗っていると少しだけ飽きがくることがあるのも事実ではないだろうか。だからこそ、メンテナンスの際に少しずつ手を入れていって、極上のコンディションを保ちつつ、少しずつ外観を原初のミニに近づけていくという楽しみもある。ミニのモディファイ・スタイルの定番である”マーク1仕様”である。

ローバー・ミニが新車で販売されていた当時は、外観に問題がない個体でもマーク1仕様にしてオールペンしてしまうようなやり方もごく普通に行われていたが、あまり賢いやり方とは言えなかったように思える。しかし現代であれば、ローバー・ミニの多くが20年以上を経過した個体となっており”オリジナル塗装”であったとしても、しっかりと艶を湛えたボディにはあまりお目に掛かれなくなってきているのも実情。そこで、例えばオールペンを考えているような場合に少しずつモディファイを加えていって、懐かしくて質感の高いマーク1風の意匠に変えていくという楽しみを提案したい。この考え方はどんなクルマにでも応用できるものではない。やはり50年代の終わりから41年もの歴史があり、部品も豊富にそろうクラシック・ミニだからこその楽しみ方といえる。

ひとくちにマーク1仕様と言っても、マーク1ミニとローバー・ミニのボディ形状には数多くの違いがあり、それらをひとつひとつ修正していくと、簡単にホンモノのマーク1ミニが買えるほどの価格になってしまう。本稿はあくまでも、1台のミニをずっと乗り続けていきたい、というオーナーや、ベース車両を手に入れて少しずつモディファイをしていきたいというオーナー予備軍のためのものだ。

雰囲気と実用性を上手く両立

今回、群馬のミニ屋Aiフラジルで撮影させてもらった個体は、マーク1仕様のベース車両として最適な1992年式のキャブ・クーパーを用いており、同社がブラック1色のシックなマーク1仕様に仕上げた1台である。ツボを押さえたマーク1スペックの外装モディファイによって雰囲気と実用性を上手く両立させている。一方インテリアに関してもクーラーユニットを残して、上手くセンターメーターと馴染ませるなど、実用性を犠牲にすることなくクラシカルな見た目を作り出している。

興味深いのは、マーク1ミニのアイコンともいえるアウターヒンジと引き違い式のサイドウインドーといった、改造するには非常にハードルが高く、しかし少しだけ実用性が削がれる可能性のあるモディファイを行っていない点である。もうひとつ、この個体が端正に、そして60年代風に見える要因は、クーパー・チームのレースカーのような派手な見た目を避け、単色塗装+鉄ホイールとメッキ・ホイールキャップなど、敢えてスタンダード・ミニに近い控えめな意匠に留めていることも効いている。この個体はミニ屋Aiフラジルの売り物でもあるのだが、ある程度経験を積んだベテラン向けのマーク1仕様といえるだろう。

マーク1ミニを完成させる際に、最初に手を付けるべき箇所は、足まわりである。タイヤの小径化は、ホイールとタイヤのセットだけでなく、10インチ用のディスクブレーキ・ユニットをインストールする必要もある。同時に車高を調整するハイローキットの組み込みやラバーコーンとショックアブソーバーの交換も行うと少し大掛かりになるのだけれど、20年以上が経過し疲れてきた足まわりの総メンテをすると考えればやって損はないだろう。それにこの大仕事を終えてしまえば、その後のマーク1仕様の追及に拍車がかかるはずだ。

この先10年以上はグッドコンディションを維持

足まわりの次はオールペンである。だがその前に、ボディ加工のメニューをひと通りこなす必要がある。オーバーフェンダーを留めていた穴やサイドウインカーの穴埋めやグリル周りの修正、そして大掛かりなのがリアライセンスランプ周りの形状変更とテールランプ穴を小さくする加工である。また日常のアシとして使用し、20年も経過していればドアのポケットやサイドシルなど、少々錆びてきている箇所もあるはずなので、それらも同時に修正してしまうことは言うまでもないだろう。こちらは鈑金塗装に加え、マーク1グリルやバンパー、テールライトユニット、モール類、全てのウェザーストリップ、といったパーツが必要になってくるので、ある程度まとまった予算が必要になる。だがパテを極力使わず、鉄板を加工して丁寧に穴埋めして仕上げられたボディはこの先10年以上は楽にグッドコンディションを維持できるので、欠かせない部分なのだ。

内装のシート関係はキャブ・クーパーに付いていたシートフレームをベースとして赤いビニールレザーを使用して手縫いでモーリス・マイナー風に仕上げてある。ドアの内張りも同じ素材で仕上げてあるが、インナーハンドルやドアオープナー、そしてシフトノブ等は敢えてオリジナルのキャブ・クーパーの物を残してある。このままでも実用上は全く問題ないが、新たなオーナーが自分の好みのパーツを選べるように敢えて部品を交換していない部分でもある。一方、マーク1ミニのアイコンともいえるセンターメーターの意匠と、移設されたクーラーユニットの吹き出し口を専用のウッドパネルで見事に調和させたダッシュ周りの改造は必見だ。

別のミニに買い替えることを考えればリーズナブル

ここまでが撮影個体の見た目部分の改造箇所となるのだが、それぞれの箇所の改造費を足していくと結構な額になるのだけれど、別のミニに買い替えるようなことを考えればリーズナブルだ。しかもこれまでずっと乗り続けてきた愛車が新車同様の趣味の良い見た目に生まれ変わるという楽しみも付いてくるのである。内外装のマーク1化に加え、水周りやエンジン、クラッチ、そしてギアボックスのフルオーバーホールまで行っていることを考えれば、クラシック・ミニのマーク1仕様に興味がある、というオーナー予備軍にとってはかなり魅力的な物件といえるはずである。

さらにマーク1仕様の純度を高めたいという場合には、透明ガラスへの交換やボディ修正を伴うリアガラスの小型化、左右ドアの徹底モディファイ、ルーフまわりのドリップレール等々、挙げだしたらきりがない。オールド・ミニのレプリカを作り上げるのではなく、あくまで趣味の良い見た目を追求する、という考え方に留めてまとめ上げるのが、賢いマーク1仕様の作り方、そしてミニと共に長く暮らしていくコツであろう。

助手席前方にインダッシュクーラーを纏め、運転席の前方はすっきりとさせた新旧折衷のダッシュパネル廻り。黒いボディカラーとエンジのインテリア・カラーが60年代風の品格を演出している。
ヒストリックカー然としたクオリティの高いクロームパーツが配されたフロントグリル周り。グリルはオースティンの波型グリルを敢えて採用せず、すっきりとした意匠でまとめている。
クーパーSタイプの鉄ホイールにホイールキャップを組み合わせ、しっとりとした雰囲気に仕上げられた足まわり。ヨコハマのGT350タイヤの見た目も車体によくマッチしている。車高を高めてある点も品がいい。
マーク1仕様のリアビューの要となる小さなオーバルのテールランプ・ユニット。このランプを装着するため、ボディに開けられていた大きな穴を縮小するための鉄板が溶接されている。
赤い内装でクラシカルを装いつつ、巻き上げ式のウインドーなどローバー・ミニの実用性の高さはそのまま活かされている。ドアインナーにメッキパーツを散りばめて雰囲気を高めることもミニなら簡単にできる。