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ボクらのヤングタイマー列伝

脈々と流れ続ける高級車を作ってきた英国の伝統ROVER 75

遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる"ヤングタイマー"なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は流転するブランドの谷間で生まれた名車、ローバー75をピックアップします。

TEXT / 遠藤イヅル(イラストも)

脈々と流れ続ける高級車を作ってきた伝統

英国車はまさに栄枯盛衰の歴史を経ています。全盛期とも呼べるのは1960年代。それは、英国内に数多くあった自国ブランドをどんどん吸収して大きくなったBMCと、ライバル会社ルーツ・グループ以外は一部のバックヤードビルダーか、超高級車メーカーしか残らなかった時代でもあります。ですが以降の英国車は、品質の低下、度重なるスト、日本車の台頭などの理由で衰退の道を歩んでいくのでした。

BMCは商用車メーカーレイランドと合併してブリティッシュ・レイランド(BL)となりますが、その頃からライレー、ウーズレーなどのブランド整理を始めます。1975年に国営化、1978年にはBLカーズに社名変更、1981年に乗用車部門としてオースチン・ローバーグループ(ARG)を発足、1979年には起死回生のプランとしてホンダと技術提携、1986年にBLカーズもローバー・グループに変更、1988年になってブリティッシュ・エアロスペースが買収してローバー・カーズとなり、1994年にBMWがそれを買収するも、2000年にはBMWから英国の投資会社が引き継いでMGローバーに再改組……と、BMC→ローバーという会社は波乱の2文字では足りないほどに流転しています。

1999年に登場したローバー75は、そのうちBMW時代に開発されたローバーの最上級車で、ローバー600と800の後継車にあたります。それまでのローバーはホンダの車種をベースにして大衆車から高級車までを展開していましたが、75からはホンダらしさは一切なくなりました。外観もレトロモダンともいうべきクラシックなもの。そして内装はウッドと革で作られた英国流の世界観を色濃く残しています。1901年創立の長い歴史を誇り、高級4輪駆動車ランドローバーを擁し、王室、閣僚や要人が好んで使用するほど品質と性能のよい高級車を作ってきたローバーの伝統は75にも脈々と流れ続けていました。エンジンは日本仕様ではKVシリーズと呼ばれる2.5リッターV6とジャトコの5速A/Tを組み合わせたモデルのセダンとエステートが輸入されましたが、本国では1.8リッター直4、BMW製直4ディーゼル、そしてフォード・マスタングのV8を押し込んだ(!)モデル、20cm伸ばされたリムジンなども存在しました。

2000年にBM Wが手を引いてからはMGローバーという社名のとおりMGブランドの強化も図られ、その一環として75にMG版の『MGZT』という車種も用意されました。エンジンはそのままですが、内外装はスポーティに装われ、スポーツカーメーカーだったMGらしさをアピール。正規輸入も2年ほどされていました。

なお現在ローバー・ブランドでのクルマは生産されていませんが、75の生産設備は中国の上海汽車が譲り受けたため、『栄威(ROEWE)750』として生産が続けられたほか、MGの名を冠した車種も中国ではまだまだ新車で買うことが可能です。

ああ! クルマよりもローバーの話が長くなってしまいました(涙)。でもこれもまた英国車を語る上で外せない大事なストーリーなのです。