OTHERS

<その他コンテンツ>
ニューカー、ヤングタイマー、クラシック、オーナー、ライフスタイル、
カタログ、100ドロ、ミニカーなどなど
NEW CAR

見た目とは裏腹な痛快な走りが魅力MORGAN PLUS SIX

日本へ導入されたばかりのモーガン・プラス・シックスは、同社にとって19年振りとなるブランニューモデルだ。僅か1100kgの車体に、340psもの強心臓を積んだフラッグシップモデルにイギリスで試乗した。

TEXT / 佐藤考洋 PHOTO / Morgan Motor Company

見た目とは裏腹な痛快な走りが魅力

見た目はクラシカルなのにもかかわらず、0-100km/h加速は4.2秒、最高速度は267km/hという最新スポーツカー並みの性能を持つ。

試乗会場のスタート地点は、イギリスでも風光明媚な場所として知られるコッツウォルズだった。ここからモーガンの本社工場のあるマルヴァーンまでが今回の試乗コースだ。一般道でおよそ100kmの行程となる。集合時間に指定された場所に到着すると、アイスブルーのモーガン・プラス・シックス ファースト・エディションが駐車場に一台だけポツンと置かれていた。

初めて見るプラス・シックスは、伝統的なモーガンのスタイルを纏い、全体の印象は正直それほど変わったようには見えなかった。しかし、よくよく細部を見てみると、ボンネットやフェンダーにエアアウトレットが設けられている他、モダンなデザインのホイールや大きなキャリパーなど、物静かにモーガン史上最強スペックであることを主張しているように見えた。

プラス・シックスは2019年3月のジュネーブ・ショーの会場でワールドプレミアされた。同社にとってはエアロ8以来19年振りとなるブランニューモデルだ。パワートレインやスキンチェンジだけの変更ではなく、シャシーそのものから新たに設計されている意欲作。その要となるCXジェネレーション接着アルミプラットフォームは、エアロ8より2倍の剛性を確保。また他モデルへの流用も視野に入れ設計されている。

試乗がスタートする前に、カメラマンが撮影に行こうと誘ってくれた。トラディショナルな雰囲気の室内に、一際異彩を放っているのが、モダンなデザインのBMWのシフトノブだ。シートに腰を下ろすと、いつもなら目の前に迫ってくるステアリングが幾分遠くに感じられた。それもそのはず、新しいシャシーはキャビンのスペースが200mmも延長されたのだ。見た目にはあまり分からないけれど、ドアの開口部も少し大きくして乗降性も向上させている。

メーターパネルの下にあるスタートボタンを押してエンジンを始動させる。やや乾いた音と共に振動が伝わってくるが、不快に思うレベルではない。ついついクラッチを踏もうとしてしまうが、このクルマは2ペダルなのだ。シフトをドライブに合わせて走り出す。イギリスのカントリーロードは狭く、路面の舗装もさして良くはない。こうした環境が、イギリスのスポーツカーにしなやかな足を与えている。少し深くスロットルを踏み込むと、ロープロファイルのタイヤが一瞬キュキュっと音を立てるのと同時に、フロントをリフトさせながら勢い良く加速した。その加速は、少しばかりかかなり暴力的ですらあった。路面が悪いこともあって、シフトアップをしてもまだムズムズとリアが落ち着かない印象だ。

BMW製3リッター・ターボエンジンは、スープラやZ4と同じだが、その印象は全く異なる。1100kg弱という車重の軽さ、さらに全体のパッケージングがこの痛快な走りを生み出している。今や500psオーバーのスポーツカーでも、その振る舞いは電子制御によってきちんと躾けられているけど、プラス・シックスには、そういった電子デバイスが無い。だからなんとも自由奔放なのだ。危うい匂いをどことなく漂わせていて、それがかえって魅力的だったりする。

何処から見てもモーガンと分かるクラシカルなスタイルだが、その中身は最新のシャシーとメカニズムを持つ。

その後ドイツ、イタリア、イギリスのジャーナリストと共に、4台のプラス・シックスがマルヴァーンにあるモーガン本社工場へと向かった。驚いたことにプラス・シックスにはエアコンが備わっていて、車内はとても快適だ。丘の多いコッツウォルズは、街を抜けると緩やかなワインディングロードが現れる。走り慣れたジャーナリスト達は「待ってました!」といわんばかりにハイペースで駆け抜けていく。スポーツモードへと切り替え、彼らに遅れを取らないよう付いていく。

スロットルのレスポンスが鋭くなり、コーナーを抜けてからアクセルを踏み込むのと同時にブーストが瞬時に立ち上がって勢い良く加速する。ステアフィールは切り始めのレスポンスこそ少し鈍い印象があるけれど、ある一定の部分を超えると、スッとクルマが向きを変えていく。この少し緩い感じは、以前乗った4/4にも通じるモーガンのテイストだ。ロータスやケータハムのような、感度の高いハンドリングマシンではないが、だからといって退屈な感じではない。

試乗後にチーフエンジニアの方にお話を聞くと、プラス・シックスの開発にはかなり苦労をしたという。社内にはこれまでの開発データがほぼ残されておらず、オーナーに協力を仰ぎながら、新旧様々なモーガンを試乗して研究したという。テストドライバーだけでなく、レーシングドライバーやオーナーにもプラス・シックスに試乗してもらい様々な意見を聞いていったそうだ。開発にはシミュレーターなど、最新のツールも駆使しながら、これまでのモーガンのテイストを残しつつも、新しいエッセンスを付け加えていったという。

「この車重にこれだけのパワーがありますから、プラス・シックスは誰でも簡単に乗りこなせるクルマではありません。私も初めて乗った時は、思わず笑ってしまいました。我々が開発している時もチャレンジの連続でしたが、完成したクルマもまたチャレンジし甲斐のあるクルマになっていました」と、チーフエンジニアは笑いながら喋っていた。

その痛快な走りは、これまでのモーガンとはちょっと違うパワフルなもので、そのエレガントな見た目からは想像も出来ない。そんなギャップがまた、このクルマの魅力なのだと思った。

新たに設計し直されたCXジェネレーション・アルミ・プラットフォーム。単体重量は98kg。従来のものより剛性は2倍向上させ、組み立ての効率も格段に向上したという。この後、キャビンに木製のフレームが組み合わされる。

BMW製の3リッター直6ターボエンジンを搭載。エンジンルームが狭く、熱対策に苦慮したという。

新たにデザインし直された19インチアルミを装着。タイヤは前後異サイズとなる。

サスペンションは前後共にダブルウィッシュボーンを採用。

シンプルなデザインのインストゥルメントパネル。多彩なオプションが設定されているのもモーガンの特徴だ。室内はエアロ8より前後に200mm拡大され、ドアの開口部も20mm大きくなり快適性と乗降性が向上した。

センターパネルに集約される各種メーターとスイッチ類。センターの小さなメーターは時計。

ドライバー正面にあるのは水温計と燃料計。センターには液晶のディスプレイをレイアウトする。

BMWのシフトレバーがそのまま流用されている。2ペダルのみの設定となる。

エアコンが標準装備。吹き出し口はセンターコンソールの奥側に位置する。

ステアリングもモダンなデザイン。パドルシフトも装備される。

モーガンにとっては初となる2ペダル。それほど狭さは感じない。

SPECIFICATION
MORGAN PLUS SIX
全長×全幅×全高:3890×1220×1756mm
車両重量:1075kg
エンジン:直列6気筒DOHCターボ
総排気量:2997cc

最高出力:340ps/6500r.p.m.
最大トルク:51.0kg-m
サスペンション(F&R):ダブルウィッシュボーン
タイヤ(F/R):225/35ZR19/245/35ZR19
ブレーキ(F/R):ソリッドディスク/ドラム
価格:1419万円〜

TOPICS

ジョン・ビーチさん

このプラス・シックスの開発にあたって、モーガンで社内では初となる開発専門の部署が設立されたという。開発部門をまとめるビーチさんは、ゼロベースから今回の車両を開発。モーガン愛好家やレーシングドライバーなど、多くの方々に協力を仰ぎ、優れた操安性能を持ちながら、モーガンらしさを融合させていったという。