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愛らしいビートルの顔と大きなキャビンが不思議合体!VW Beetle “Super Bugger”

フォルクスワーゲンからのコンバートが百花繚乱だった70年代アメリカでも極めて珍しい、ビートルをベースにコンバートしたキャンピングカー。幻のクルマを拝むべく、ワーゲン馬鹿の筆者はさっそく現地へ飛んだのだった。

TEXT / 竹内耕太 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / ILL steelo customs(https://www.instagram.com/ill_steelo_customs/

愛らしいビートルの顔と大きなキャビンが不思議合体!

昔はよく、壁にビートルやミニの半身が埋まったようなディスプレイをした店があった。筆者が学生時代を過ごした仙台の街中にも、ピンクのビートルが壁に刺さったカラオケ喫茶があったものだ。

このたび日本に上陸したコレ、家というかキャンピングトレーラーに、ビートルの鼻先をくっつけただけに見えるけれど、これでもちゃんと走れる、れっきとした1台のクルマだ!

しかも一見すると超無理矢理なニコイチ風だが、実はビートルのシャシーはそのまま残っていて、後ろのモーターホーム部分をかぶせてフロアを拡張した構造。ホイールベースもそのままだし、空冷フラット4エンジンもしっかりリアに鎮座している。

キャンプ大好きなアメリカでは60年代から、VWタイプ2(バス)をキャンパーに仕立てるコーチビルダーが大量に出現。あるいはビートル(タイプ1)で牽引できるキャンピングトレーラーも、星の数ほど売れていた。

そんな中、70年代に南カリフォルニアの「スーパー・キャンパー」社なる小さなコーチビルダーが売り出したのが、ビートルをベースにしたキャンピングカー、その名も「スーパー・バガー」だ。当時のキャッチコピーは「ジョークではありません。驚くほどよくできたモーターホームです」。既存のVWからのコンバートとコンプリートカーでの提供に加えて、恐ろしいことにキット販売もしていて、「60時間で組み立て可能」とうたっていた。ビートルのボディをカットする手間は計算に入っていなさそうだ。

販売台数はもはや不明ながら、現存しているスーパー・バガーは極端に少ない。派生モデルの多い空冷VWの中でも、レアさという点では、ロメッチュやダネンハウアー・シュタウスといった50年代の伝説の高級コーチビルドモデルに匹敵するかもしれない。

この物件をたまたま知ったのが、静岡市清水区にてホットロッド系アメリカ車のショップ「イル・スティーロ・カスタムス」を営む立花さんだった。「この姿、ギャグじゃないですか! もうこのギャグを実現するには仕方ないなと、輸入することにしました」

太平洋を渡って本邦に上陸したスーパー・バガーは、今年4月に地元・清水で開催されたVWイベントでデビューし、5月のアメフェスではアワードを受賞。すでに問い合わせ殺到中とのことだが、しばらくはショップの顔として手元に置いておくそうだ。

気になるのは、ビートルのシャシーこそ残っているとはいえボディの大半をキャビンに置き換えてしまった状態で、マトモに走れるのか? 立花さんに聞いてみたところ、「清水から御殿場まで高速に乗ってみました。スピードこそ100kmくらいが精一杯でしたが、フラフラするようなこともなく意外とちゃんと走れましたよ」。

さて実車を目の前にすると、やはり違和感がものすごい。現車のサイズは車検証によれば全長4030mm×全幅2030mm×全高1940mm。全長はビートルとほぼ同じままだが、真後ろから見るとほぼ正方形の大きいハコだ。住宅用のような縦長のドアを開けて入るのも不思議な感じ。

キャビンに入ると、身長173cmの記者がそのまま立っていられる空間で、元がビートルとは思えないほどの広さだ。フロントシートの後ろは大人が余裕で歩ける通路になっていて、その後ろは小上がりになっていて対面式のシート。少数生産のキャンパーなので当然、個体によって細かい仕様は異なっているのだが、テーブルを折り畳んでリアのシートをアレンジし、ベッドを出現させることも可能だろうと思われる。その辺は、やがてこのスーパー・バガーを購入するオーナーの要望に応じて仕上げてくれるそうだ。

リアウインドウ(?)のスペースは出窓のようになっていて、ここにキッチンシンクやガスレンジを設置することもできる。ユーティリティと拡張性はバツグンと言っていいだろう。

運転席の頭上にも小さなベッドスペースが備わっていて、体重47kgのカメラマン・ケイゴ氏に試してもらったら、どうにか横たわれる様子。ということは、小柄な人ならここで寝て、リアのテーブルで仕事をこなし、スーパー・バガー1台で生活の全てを完結させることも可能というわけ! デブの記者には到底無理だけれど……。

ちょうど昨今、クルマ1台で車中泊の旅をしながらリモートで仕事もこなす「バンライフ」というライフスタイルが世界的に流行している。もしこのミニマリズムの極北のようなスーパー・バガーで日本全国を巡ったなら、バズりまくること間違いなしだ!

真後ろから見るとただの四角いハコ。前から見ても横から見ても斜めから見ても、ハコからビートルの鼻先だけ生えてるように見えてクセがスゴい。半魚人と同じカテゴリーかも。サイズは全長4030mm×全幅2030mm×全高1940mmと寸詰まり。車両重量は1080㎏で、通常のビートルより200kgちょっと重くなっている。
運転に際しては、フロントウインドウが垂直に切り立っているので見切りが悪く、車幅感覚も混乱しまくる。かなりの慣れが必要になりそうだ。
垂直に立ったフロントウインドウの両脇に斜めの窓がつながり、そこからサイドミラーが生えている。
巨大なコーナーポールは、見切り対策で「ILL steelo」が取り付けた物。
フロントシートを挟んで左右両側に縦長のドア。そのノブは国内で住宅用に交換している。
トレッドは純正のままで、リアのみ裏組み10JJホイールに265/50R15のタイヤを装着し、大きいキャビンを支えている。
リアに搭載されるのは標準的な1600ccの空冷水平対向4気筒エンジン。マフラーはEMPI製だった。
ビートルのシャシーを残しフロアを拡げて空間を確保
こちらは当時の図解イラスト。フロントウインドウ根元部分からバッサリとボディをカットし、ホイールベースはそのままにシャシーのフロア面積を拡大することで、本格的なモーターホームを実現している。
運転席&助手席の左右も頭上も背後も、恐ろしいほど広々としていて、元ビートル乗りの筆者は違和感に戸惑うばかり。
インパネ周りそのものは普通のビートルと同じ。
シートはアームレストに回転機構も備わる豪華な仕立て。長距離でも疲れにくそうだ。
運転席の頭上のベッドスペース。子ども用と思われるが、体重47kgの小柄なカメラマンならどうにか寝ることが可能そうだ。
リアの出窓スペースとテーブル。その下には用途によってシンクやガスレンジを置くこともできる設計となっている。

Super Buggerレビュー動画をYouTubeにて公開中!