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FORD is BACK!? フォーカスRSを試すFORD FOCUS RS

エフエルシー・フォードが輸入する魅力的なフォード車の中でも、フラッグシップと呼べる1台が3代目となるフォーカスRSである。 見るからに攻撃的なスタイリングと、350psもの最高出力を誇るこのホットハッチのポテンシャルは果たしてどれほどのものだろうか。 これまでほとんど触れられてこなかったフォーカスRSのドライブフィールに迫ってみる。

TEXT / 吉田拓生 PHOTO / 神村 聖

ついに『フォーカス RS』をドライブできた。90年代に登場したフォード・フォーカスは伝統的なハッチバックモデルだが、そのRS版は徹底的なチューニングが施されている。WRCのベース車両がひと回り小型のフィエスタに移ってしまったこととも関係があるのかもしれないが、3代目フォーカスをベースとしたRSは、フォードUKのみならず、北米フォードの影響も受けたスポーツ・ハッチバックとして開発されている。

フロントに横置きされるパワーユニットは350psを発揮する2.3リッターターボで、ギアボックスは6速M/Tを装備。駆動系は電子制御のセンターデフを備える4駆となり、リアにはクワイフ製の機械式LSDが仕込まれている。以上のスペックから追っていけば、このクルマのライバルとなるのはVWのゴルフRやメルセデスA 45 AMG 4マチックといったハイパーハッチ・モデルになるのだろう。

フォーカスRSの外観を際立たせているのは、ダイナミックすぎるほどのフロントマスクの表情とリアエンドに掲げたスポイラーである。車高ははっきりとした前下がりで、こちらも好戦的な匂いが漂う。ホイールは19インチで、ブルーに塗られたフロントのブレーキはブレンボの4ポッドである。

インテリアで目を引くのはRS専用のレカロシートだが、ダッシュボードの奥に配されたブースト計を含む追加メーターもハイパフォーマンスモデルであることを表している。また利口なA/Tが幅を利かせている現在で は、シンプルな3ペダルの6M/Tもクルマ好きを興奮させてくれる装備と言えるだろう。

ドライビングポジションはホットハッチの定石通りの起き上がり気味で、シートの座面は高め。ステアリングのテレスコピックの作動範囲も長いので、ラリーカーのようにステアリングを抱え込むようなポジショニングが取れる。2.3リッターエンジンはノーマル・モードではおとなしめだが、スポーツモードを選ぶと途端にマフラーの中でパンパンッと気性の荒い音が響きはじめる。

2.3リッターのエコブースト・エンジンは回転フィールが実に軽快で、排気量のおかげで 低速トルクも十分にある。だがそれでもターボ過給によるリッターあたり150psというハイパワーは強烈で、3000r.p.m.あたりから急激なパワーの高まりを感じ、6700r.p.m.付近のリミットまで回転が渋ることがない。

興味深いのは、直線的に加速している時や、高速コーナーを走らせている時は4駆らしからぬ挙動に思える点だった。FR的とまでは言わないが、終始リアの方がトラクションの存在感が大きい。この手のエンジン横置きの、いわゆる”FFベース”と言われる4駆モデルは、構造的にもフロント優先であることが多い。てっきりフォーカスRSも、フロントのトラクションが限界に達した時だけオンデマンド的にリアタイヤが掻くという性格なのかと思っていたのだが、フォードRSの開発チームはそれを良しとしなかったようだ。

ライバルであるゴルフRの場合、フロントのトラクションを目いっぱい使うことでスタビリティの確保を行っており、コーナリングの限界付近ではベクタリングによって積極的にハナ先を入れていく。一方フォーカスRSの場合も当然のように内輪側のブレーキをつまむベクタリング機能は付いているのだが、どちらかといえばダイレクト感の高いフロントのグリップを活かしてハナを入れるドライバーオリエンテッドな性格付けがされている。

じゃじゃ馬的なパワフルさを誇るターボユニットをマニュアルシフトで操るというシビアさを含め、走りのイニシアティブがドライバーの側にあるという点が、フォーカスRSの最大の魅力なのである。

そんな3代目フォーカスRSに付帯する極めつけの機能が、最後の(4番目の)ドライビングモードであるドリフトモードだろう。英語の説明書にはご丁寧にもカウンターステアの当て方まで詳しく解説されている。と言っても説明書では”アイス&スノーコンディションのみ”、メーターナセル内の表示では “トラックユースオンリー” という但し書きが付き、今回は当然試せなかったわけだが。

YouTubeの動画を見てみると、4駆によくあるゼロカウンターのドリフトではなく、 長い時間カウンターステアが当たっているドリフトなので、リアのLSDが強固なだけでなく、ちゃんとフロントの駆動も制限されているようだ。FFベースのホットハッチ4駆の限界を越えた世界観をフォーカスRSは持ち合わせているのである。

最新のハイテクを前面に押し出したモデルの魅力は、次なる新型が登場してしまうと薄れてしまう。だがフォーカスRSのような”手応えのあるマシン”は、ドライバーの習熟によってさらなる高みを目指せるという点がいい。ドイツやフランスのそれとも違うフォードの個性は、実に魅力的なのである。

前下がりのスタンスが鋭いハンドリングを想起させるフォーカスRS。大き目のリアディフューザーによって車体下面のダウンフォースもかなり効 きそうだ。ノーマル・モードでも乗り心地は硬めだが、リアのシートスペースは十分に確保されている。

メーター類は見やすい位置に構えているが、レブリミットを含め体で感じて操作できる類のクルマになっている。

センターがバックスキン調になっているレカロはホールド性が高く、ドライビングポジションが取りやすい。これは常時左足で踏ん張れない3ペダルカーのドライブでは特に重要だ。

2.3リッターターボの急激に高まるブーストをどうやって味方につけるか、フォーカスRSのドライブの肝がそこにある。

19インチのミシュラン・パイロット・スーパースポーツはかなりハイグリップだが、シャシーやアシも全く負けてはいない。

ドリフトモードの存在がこのクルマの性格を物語っている。ラリー用のベース車という枷が外れたことで、ロードモデルの魅力が増している感もある。

6速マニュアルは4速目でほぼ直結。エンジンのおいしい回転域を容易に使える。

リアスポイラーはフォーカスRSの象徴的な装備だ。

SPECIFICATION
FORD FOCUS RS
全長×全幅×全高:4390×1820×1470mm
ホイールベース:2647mm
車両重量:1560kg
エンジン形式:直列4気筒ターボ

総排気量:2261cc
最高出力:350ps/6000r.p.m.
最大トルク:44.5kg-m/2000-4500r.p.m.
タイヤ (F&R):235/35R19
価格:619万8000円