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稀少3輪という奥深き森HEATHFIELD SLINGSHOT

2輪でも4輪でもない、3輪自動車ならではのディープな世界。ここでは、よりにもよって生産台数わずか2台の超マイナーモデルに出逢ってしまった1人のオーナーを紹介しよう。

TEXT / 竹内耕太 PHOTO / 竹内耕太
SPECIAL THANKS / 村井伸行さん

英国バックヤードビルダーの
エッセンスが凝縮

3輪スポーツといえば、モーガン3ホイーラー。1910年から52年にかけて生産され、2011年に復活を遂げている。だがその空白期間にも、モーガンと同様のスタイルの3輪が数多くのメーカーによって製作されていた。これは、当時イギリスが3輪に優遇税制をとっていたことと、2輪免許で運転できたことが大きな理由。若者がバイクからステップアップするのに格好のジャンルだったのだ。

香川県の村井伸行さんが所有するヒースフィールド・スリングショットは、1993年に「ハイフィールド・オートモーティブ」というバックヤードビルダーが発売したモデルだ。JZRやBRAといったライバルよりも高価だったせいか、わずか2台しか生産されなかった超レア車である。

プチ高級志向だっただけあって、スポーツカーとしての造りは本格派だ。チューブラーフレームの高剛性シャシーにFRP製ボディをまとい、ホンダ製バイクCX650(日本ではGL700として販売)のエンジン、ギアボックス、シャフトドライブ、およびリアドラムブレーキを搭載。フロントアップライトとディスクブレーキはロータス・コーティナ、ステアリングラックはフォード・エスコートMk.2、ショックはBMW K100用。フロントには真鍮製のカバー、インパネはウロコ柄のアルミ製と、トリムも豪華仕様である。

村井さんは、当初はまさか自分が3輪に乗ることになるとは思ってもいなかった。ユーノス・ロードスターにしばらく乗った後、次の趣味車として探していたのはアルファロメオの101系ジュリエッタ・スパイダーだったそうだ。ところが途中で個人売買サイトでこのヒースフィールドを発見し、いつしか「とりあえず見るだけ」と前オーナーの所へ……。あとはそのままの勢いで、2014年7月に晴れて納車の運びとなったのだった。

地元の工務店に建ててもらった広々としたガレージは作業デスクやロフトも完備。かなり羨ましい環境だ。

初めての3輪、しかも他にオーナーがいない稀少車とあって不安もあったそうだが、こつこつトラブルを潰しつつ、メーターパネルを新調したりLEDヘッドライトを導入したりとリファインを重ねてきた。今では新車さながらの美麗なスタイルでドライビングを楽しんでおられるようだ。

さぞスパルタンな乗り味かと思いきや、助手席に乗せてもらうと意外やマイルド。軽量ならではの加速感は4輪のセブンに近いのだが、フロントのトレッドが広い分だけ安定感がある。それでいてリア1輪が路面を蹴って曲がっていく独特のシャープな感覚は、3輪ならではの醍醐味だろう。

最近、永らく行方不明だったもう1台のヒースフィールドがイギリスで発見され、レストア中のオーナーと村井さんとの交流が始まっている。地球上で2人だけのオーナーズクラブというのも、なかなか楽しそうだ。

スペアタイヤを背負ったバレルバックのリアスタイル。ゆるやかに持ち上がっていく曲線が特徴的だ。

真鍮製のフロント飾りは手作りのワンオフ! グリルはフェイクだ。

本物のラジエターは、FRP製リアフードを外したシートバックに配されている。シャフトドライブで駆動する後輪はスイングアームでしなやかな足まわり。

マフラーは気筒ごとに独立して配管されており、それぞれボディの左右両側を走る。

エンジンはホンダの2輪CX650(日本ではGL700)用Vツイン。673cc/64psは充分以上。

フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンで、BMW K100用のショックと、ロータス・コーティナ用のアップライトが使われている。

MG A用の60本スポークにミシュランXZXを装着。フットブレーキはフロントのディスクのみ効き、リアはドラムでサイドブレーキ専用となる。

かなり貴重なブルックランズ製の角型レーシングスクリーンは前オーナーが取り付けた物らしい。

左右別々に開閉するフロントフードを開くと、配線周りやバッテリーが姿を見せる。

ウロコ模様のアルミ製パネルはオリジナルに忠実に再現、新調している。4本スポークのモトリタ製ウッドステアリングが良い雰囲気だ。

レザー製シートにさりげなくボディと同じグリーンのパイピングが施されているのがお洒落。

OWNER/村井伸行さん

アルファロメオ155、156、NAロードスターなどを乗り継ぎ、2014年から3輪乗りの仲間入り。岡山国際サーキットで開催されたイベント「ティーポ・オーバーヒート・ミーティング」にもコレで香川県から自走して参加した。

もう1台を訪ねてイギリスへ……

朽ちかけていたもう1台のヒースフィールドを発掘してレストア中のローランド氏。村井さんは2016年イギリスに渡り、2人でヒースフィールド・オーナーズクラブを結成!

こちらはフレームの状態まで分解して徹底的にレストア中の図。