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理想のアルファロメオ・ベルリーナとは?ALFA ROMEO GIULIA

新世代アルファロメオはジュリア、SUVのステルヴィオが登場したことで徐々にラインナップを拡充し始めている。そんな中で冷静な目線でジュリアというクルマを改めて見た時、その姿はどのように見えてくるのか?

TEXT / 森口将之 PHOTO / 山本佳吾
芳しくなかった第一印象

現行アルファロメオ・ジュリアに初めて出会ったのは、2015年のフランクフルト・ショーだった。この場で初めて一般公開された現車の第一印象は、芳しくはなかった。

20歳代の頃2000GTヴェローチェを所有していた身としては、ジュリアを名乗る車種への評価はどうしてもシビアになる。伝統の盾を据えた顔を隠してしまうと、アルファロメオらしさがあまり伝わってこないスタイリングに、この時は微妙な気持ちを抱いた。

2年後に日本上陸を果たす頃には、この形は”醜い”という褒め言葉をいただいたベルリーナより、クーペのフォルムに似ていることに気づいて納得したのだが、いざ走り始めてみると、今度は違う部分で違和感を抱くことになってしまった。

それについては後ほど触れるが、同じプラットフォームとパワートレインを用いているSUVのステルヴィオは、むしろ個性的というポジティブな気持ちとともに受け入れることができたから、やはり先代一族を所有していた経験が、少し過敏な反応に結び付いてしまったようだ。

日本仕様のジュリアは2リッター直列4気筒ターボエンジンを積むベースモデル、スーパー(ディーゼルもあり)、ヴェローチェという3グレードがあり、別枠として2.9リッターV型6気筒ツインターボのクアドリフォリオが君臨する。

すべて右ハンドル、8速AT、FRが基本だが、ヴェローチェだけは4WDのQ4が選べ、これのみ左ハンドルになる。取材車はQ4だったので、愛車だったヴェローチェと同じ左ハンドル。コックピットに収まると、ふたつのアナログメーターが目の前に並ぶ。これも昔と同じ眺め。ドライな液晶パネルを見ることが多くなったからこそ嬉しい光景だ。

フィアット・グループ独創のマルチエアシステムを採用した2リッターターボは、ベースモデルとスーパーが200psなのに対しヴェローチェは280psで、最大トルクは40.8kg-mに達する。だから1670kgのボディを軽快に加速させるけれど、多くのクルマ好きはまず音のほうに引き込まれるだろう。

最後のコラムでは新旧ジュリアとその間の系譜にあった4気筒エンジンを紹介している。ツインスパークあり、直噴ありと形式はさまざま。しかしどれも心地よいサウンドでドライバーを魅了してくれた。現行ジュリアのマルチエアも例外ではない。人がクルマを操るとき、どんな音が心地良いのか。ミラノの名門は熟知しているようだ。

スペックを競うことよりドライバーを喜ばせる

レッドゾーンが6000r.p.m.からという設定もアルファらしい。かつての2000GTヴェローチェも132psを5500r.p.m.で発生し、レッドゾーンは5700r.p.m.からだった。でもどちらのヴェローチェも踏む楽しさ、回す楽しさが満喫できる。スペックを競うことよりドライバーを喜ばせることが大切。そんなメッセージが伝わってきた。

高速道路での安定感もまたアルファらしい。Q4ということもあるが、ロックトゥロックが2回転ちょっとのクイックなステアリングを持っているとは思えない。しかもアダプティブクルーズコントロールの作動は正確で、ハイテク面はグローバルスタンダードのレベルにあることが確認できた。

しかしこのクイックなステアリングは、ワインディングロードでは主張が強すぎると思うようになる。前輪駆動の156や159がクイックだったのは、前の重さを薄めるための技でもあったはず。前後重量配分50:50にこだわった現行ジュリアでは、ここまでしなくてもいいのにという気持ちもある。

でもおとなしいタイヤを履くベースモデルではあまり気にならなかったから、グレード選択で解消できるかもしれない。それにノーズがインを向いてからの身のこなしは、逆に自然かつ素直なものだった。

真横から現行ジュリアを見ると、FRであることを勘定しても前輪とキャビンの間が長く、逆にキャビンとトランクは短めだ。よってドライバーはホイールベースのほぼ中間に座る。前後重量配分は約50:50だから、着座位置と車体重心が限りなく近い。これが想像以上の人車一体感を生み出している。

これにアルファらしい接地感あふれる足がコンビを組む。スロットルやブレーキ、ステアリングできっかけを作り、コーナーに合った姿勢を整え、気持ち良く曲がっていく。Q4はもちろん必要に応じて前輪も駆動するけれど、スポーツ4WDの経験も豊富なブランドだけあって、乗せられている感はない。あくまで主役はドライバーだ。

昔の名前を復活させただけではない。トランスアクスル世代が築いた50:50のノウハウや、前輪駆動でアルファロメオらしさを探求した155→156→159の経験が各所から感じ取れる。半世紀以上の系譜をもとに、理想のベルリーナを再定義した結果が現行ジュリアだということが分かった。

取材車は4気筒モデルではハイスペック版となるヴェローチェ。ヴェローチェは、右ハンドルがFRであるのに対し、この左ハンドルは4WDとなる。

唯一気になるのはやはりナビが装着されないことで、スマートフォンとの連携でそれをフォローするが、この価格帯のクルマとしては惜しい部分と言えよう。

クアドリフォリオも右ハンドルなので、実は正規モデル唯一の左ハンドルだ。

ボディカラーはミザーノブルーで内装色はブラック(ステッチはダークグレー)となるが、受注生産ながらシートカラーとステッチをタンにすることもできる。

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