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ムルティプラを移動カフェ仕様に!FIAT 600 MULTIPLA

ヒストリックカーを愛するオーナーはここ数年増え続けている。だがこうしたクルマを日常的に使っている方となると、かなり少ないだろう。ここでは普段から旧いクルマとの生活を愉しんでいる、素敵なオーナーを紹介しよう。

TEXT / 竹内耕太 PHOTO / 奥村純一

各所のイベントに出没してSNSでも話題となっている、“インスタ映え”な移動カフェがある。

1967年式フィアット600ムルティプラ。わずか全長3530mm×全幅1440mm×全高1580mmの、コンパクトボディでカフェ! という驚きと、レトロでキュートなルックスは、注目せずにはいられない。

オーナーの谷内隆さん(2018年取材時:43歳)は会社員で、普段はこのムルティプラで通勤しているそうだ。ヒストリックカー歴は長く、1996年からフォルクスワーゲン・タイプ2を3台も乗り継いだ後に、2009年に静岡のスティルベーシックで売りに出ていたムルティプラを新たな相棒に選んだのだった。

通勤カーとしては、大柄なVWバスの頃と比べると車重740kgの600ムルティプラは圧倒的に軽快で、12~13km/リッターほどの燃費で走ってくれるという。また、小さな娘さんと一緒にキャンプに行くのにも十分に活躍している。

また一方、クルマ趣味と並行して、谷内さんはエスプレッソ歴20余年の本格的なコーヒー党でもあった。

「いつかは移動カフェをやりたいな、と以前から思っていたんですが、当時乗っていたVWバスはキャンパーで、そこから改造するのは現実的ではありませんでした。600に乗るようになってからしばらく経って、ふと、これならいける! と気づいたんです」。

思い立ってからは、移動カフェの研究をし、ホームセンターに通ってキッチンの造作をDIYで少しずつ進めていき、2年がかりで今の形が出来上がった。「希少な個体なので、ボディに穴は開けず、ドライバー1本で簡単に戻せるようにしています」

6人乗りの600ムルティプラは、後席の4つのシートを畳めばフラットな床が出現し、外観からは想像できないほど広い空間が生まれる。移動販売をするには、営業先の自治体ごとに保健所で営業許可を取る必要があり、喫茶店営業だと(多くの場合)40リッター以上の水を車内に用意する必要があるのだが、その条件もクリアしてしまった。

2016年秋からイベントに出店するようになった『ムルティカフェ』は、年に3~4回くらいのペースで営業している。通常は“素”のムルティプラの姿でデイリーカーとして使い、カフェモードにする時は、後部座席をフラットにしてキッチンを組み込み、普段は家の中で使っているエスプレッソマシンなどを運びこんで、移動カフェに変身するという手順である。

「先日は初めてアメ車イベントに出てみましたが、ジャンルを問わずみんな笑顔になってくれるのが嬉しいですね。これからはいろんなイベントに出てみようと思っています」と谷内さん。

通勤に、キャンプに、移動カフェにと、文字通りマルチに活躍している600ムルティプラの姿は、実用車としてのポテンシャルの高さを物語る。

そして、もしムルティカフェに遭遇したら、ぜひクルマの雰囲気とエスプレッソを味わってみることをお勧めする。また、イベントに来てほしいという方は、インスタグラムのID『cheetani650』までご相談を。

OWNER/谷内 隆さん

さいたま市に住む谷内 隆さんはヒストリックカー歴もエスプレッソ歴も20余年。フィアット600ムルティプラで通勤もキャンプもこなし、イベントでは移動カフェとして出店している。
イベント会場で見かけたら、こだわりのエスプレッソをぜひお試しあれ!
ムルティプラのリアスペースにDIYでキッチンを造作。谷内さんがオペレーション可能なスペースがきちんと確保される。
流し台や給排水用タンク、冷蔵庫など、移動販売に必要な設備が揃う。しかもすべての設備が取り外し可能だ。

1967 FIAT 600 MULTIPLA

フィアット初のRR車600を元に、ルーフとフロントシートをボディ前端まで前進させることでセダン比1.5倍の室内空間を実現したムルティプラ。
それゆえにリアまわりのスタイリングはセダンと共通となっている。
当時物と思われるルーフラックに着いているのは国産旧車のフォグランプ。アドベンチャーな雰囲気を狙ったダミーとのこと。
ピカピカのホイールとトリムリングは、ネットオークションで入手。
767cc/29psの直4 OHVエンジン。ダイナモから国産車のオルタネーターに交換し、冷却水のリザーバータンクも追加している。
日常的に綺麗に乗っていることが窺われるインテリア。ステアリングシャフトが「く」の字に折れているのも特徴だ。助手席の前にはスペアタイヤ。
バックフォグを室内灯としてアレンジしている工夫が面白い。
前輪の上に運転席が配されるキャブオーバーのレイアウト。フロントはベンチタイプ。
リアの4人分のシートはフロア下に収納できる。カフェ状態では1名分だけ残して、ここで作業するわけだ。