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フランス車は使ってこそ愉しい!!PANHARD PL17b, RENAULT EXPRESS & RENAULT 4 SAVANE

昨今は、クラシックカーやちょっと懐かしいモデルを所有していても、年に数回イベントの時だけガレージからひっぱり出すという人が多いようだ。だがフランス車は、やはり使ってこそ愉しさがわかるのではないだろうか?

TEXT / 中島秀之 PHOTO / 奥村純一

昔からフランス車は実用性第一、使えば使うほど良さが発揮されると言われてきた。ただクラシックカーとなると、さすがに日常的に使うのは勿体ないという気になるし、ヤングタイマー世代のクルマも同様で、パーツの供給を考えると、気兼ねなく毎日使うのは難しくなってきた。

だがそれでも断固、今や貴重なクルマたちを、普通に使っている方たちもいる。パナールに愛犬を乗せて、買い物やドライブを楽しまれている方。エクスプレスにクラシックバイクを積んで、競技に参加している方。そして夫妻でキャトルに道具を満載して、アウトドアライフを満喫されている方。

そんな方たちの素敵なフランス車ライフをご紹介していこう。

【SCENE-01】1963 PANHARD PL17b

雨の埠頭に佇む、漆黒のパナールPL17b。まるでフランス映画のワンシーンのようで、今にもジャン・ギャバンやアラン・ドロンが現れそうだ。オーナーは愛犬を乗せて普通に使っている。

神奈川県相模原市にお住まいの金城智之さんの愛車は、1963 年式パナールPL17bだ。1890年に自動車の製造を開始したパナールは、フロントエンジン・リアドライブの始祖としても知られるが、戦後は空冷小排気量エンジンのFF車を生産していた。PL17bは、1953年に登場したアルミボディのディナZをスチールボディとしたモデルで、この個体は後期型の中間グレード、リルマックスとのこと。なおパナールは1967年に乗用車の生産を終了(以後は軍用車を生産)している。

ティーポ本誌では過去、ディナZや24BTをご紹介したことがあるが、その独創的なスタイルとメカニズムは、いずれも強烈なインパクトがあった。このため、取材前はマニア度の高いオーナーさんを勝手に想像していたのだが、金城さんはかなりイメージと違っていた。

というのも、漆黒のボディのPL17bから、金城さんは愛犬モンタ君と一緒に降りてきたからだ。後席にはマットが敷かれ、飲み水を入れるトレーも用意されるなど、普段から一緒に乗っているのは明らか。聞けば、もう1台初代ルノー・カングー前期型も所有されていて、長距離の時はそれを使われるそうだが、近所へのお出かけや、ご自宅から宮ケ瀬辺りへのドライブにはPL17bを使われるとのこと。ガレージに入れたままでイベントの時だけ乗る、といったクルマではないのだ。

金城さんは大学生時代にスクーターのベスパを入手して古い乗り物に目覚め、4輪も、シトロエン2CVのプラモデルなどで、リアタイヤがベスパと同様隠れているモデルがカワイイと思われたそうだ。またこの頃姉上がメガーヌに乗っていて、フレンチブルー・ミーティングにいきなり連れていかれたそうで、すっかりフランス車の世界観が好きになったとのこと。

そんなわけで最初に買った4輪車は2CVチャールストン。これに6年程乗った後、一気にDS23iを入手されている。ところがこのDSがよく壊れたそうで、結構な修理費用がかかった。更にミッションに大きな修理が必要になったところで、直すか手放すか深く悩まれたという。そんな時たまたまパナール・ディナZを見かけて気になり、色々調べていたら、愛知県のショップでPL17bの売り物があることを発見。見に行ってみると、かなり程度の良い個体だったため、DSを下取りにして2015年に購入された。

この2年の間に、ダイナモのレギュレーターが壊れたことと、マフラーに穴が開いて、それぞれ交換したことくらいしか、トラブルはなかったという。

今回助手席に少し乗せていただいたのだが、42psの空冷水平対向2気筒OHV851ccエンジンは、乾いた音をたてながら800kg程のボディを元気に加速させていた。金城さんによれば「130km/hくらいは出ます。街中で遅いと感じることはないですよ」とのことで、感心させられた。

そこにあるだけで、まるでフランス映画のワンシーンのように感じられるこのパナールに、金城さんは「長く大切に乗り続けたい」と言われていた。

ノーズ中央に付くパナールのエンブレム。
左のミラーが純正で、ボディ形状に合ったデザイン。
トランクリッド右側に付く17b のエンブレムはシャープな字体。
Relmaxはリラックスとマックスを合わせた造語のようだ。
左のリアランプ。内側がウインカーで中央がリフレクター、外側がスモール&ブレーキ。
イエローバルブのヘッドライトと大型のウインカーが、クラシカルな雰囲気。
ホイールは軽合金製で、ドラムブレーキの冷却用フィンを兼用したデザイン。
トランクスペースは全体が浅く、奥行があるタイプ。スペアタイヤは本来エンジンルーム内に収納する。
インパネ周りも曲線主体のデザイン。横長のメーターと大径のステアリングを装備。アクセルペダルはオルガン式、ブレーキとクラッチのペダルは大きめ。
コラムシフトで、前席は3 人掛けのベンチシート。
リアシートもフラットなベンチタイプとなっている。
エンジンは空冷水平対向2気筒OHV で、42ps/5300r.p.m.と7.0kg-m/2500r.p.m. を発揮するに過ぎない。
凝ったデザインのボディが魅力的。ボディサイズは4577 × 1670 ×1405mmと大きめだ。

戦後のパナールとは?

第二次大戦前は高級車を作っていたパナールだが、戦後は一貫して空冷小排気量エンジンを軽量ボディに載せたモデルを生産。だが経営不振に陥り、1955年にシトロエン傘下に入ると、1965年には完全に買収され、1967年に乗用車の生産を終了した。

1946年登場のディナX は、610~851㏄の2気筒エンジンをアルミボディに搭載。1954年までに47000台余を生産。
1954 年にディナZが登場。851㏄エンジンを700㎏台のアルミボディに搭載。1959年にスチールボディのPL17となる。
1964年に2ドアの24シリーズが登場。4座の24 B/BT と2 +2の24 C/CTがあった。エンジンは848cc。1967年に生産終了。

OWNER/金城智之さん

ベスパで古い乗り物に目覚めたという金城さん。他に160 GS、180 SS、そしてハインケル・ツーリストを所有されている。愛犬のモンタ君とパチリ。
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