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ドイツ・クオリティを体現した逸品MERCEDES-BENZ E500

1990年の発表時から注目を浴び、その後も確固たる評価が定着しているこのスーパーセダンは、そのサイズ感といい、けれん味のない端正なスタイルといい、いま手もとに置いたとしても自然体で楽しむことができそうだ。その志の高さを思いつつ、濃密な乗り味を味わい尽くしたい。

TEXT / 清水雅史 PHOTO / 前田恵介
SPECIAL THANKS / ジェイオート(http://www.jauto.co.jp/

今回取材したメルセデス・ベンツE500は、オドメーターが17万5000kmを指し示していたが、”専門店”として知られるジェイオートが長くメンテナンスを担ってきただけあって、その数字を感じさせないほどコンディションは抜群でった。これまでのオーナーがあふれる愛情を注いできたことも想像に難くない、なんというか曇りのない1台だ。だから正直なところ、ドイツメイド好きの筆者としてはグラッときたわけだが、 E500の中身について説明を受け、その凄さを再認識させられたことも、そんな気持ちに拍車をかけた。

おそらく92年のことだと思うが、カー・マガジン新米編集部員だった僕は新車の500Eに取材で乗っている。W124だけどぜんぜん別モノ、という真っ当な印象は受けたが、ポルシェとのコラボのくだりや、R129 SLの足まわりの移植、そしてM119 5リッターV8ユニットの魅力など、後々語り継がれるさまざまな500Eにまつわる”普通じゃない部分”についてより深く知るなかで、第一印象は徐々に補強されていったように思う。だから偶像に踊らされているんじゃないかという疑念もあったのだが、自身何台もの500Eを乗り継いできたジェイオートの松本代表の話は、そんなモヤモヤを一掃してくれた。やはりV8を詰め込むための手当は多岐にわたっていると松本代表。バルクヘッドはもちろん、トランスミッションも異なるためセンタートンネルもつくり直している。補強は各部におよび、足まわりやリアメンバーなどを含め念入りだそう。フェンダーが少し膨らんでいるだけという奥ゆかしい見た目とは裏腹に、中身はあ〜してこ〜してと、恐ろしく手間がかかっているのだ。

そんな500Eの魅力はと聞けば、快適で実用性も優れているのに”楽しくてしかたがないところ”だと松本代表は言う。だから飽きることがない。圧倒的なパワーとトルクにものを言わせてゾクゾクするような走りを堪能できる一方で、クルマとして素晴らしくバランスがとれている。こだわり抜いた徹底的なモディファイと絶妙の味付けで、奇跡のようなクルマに仕上がったのだ。そしてここがとても大事なのだが、オーバークオリティとも言える品質を与えられたクルマだから、整備の行き届いた個体ならば誕生から四半世紀を経たいまでも、その魅力を存分に味わえるという。昔はよかったなんてうそぶかずに、いまのあり様を楽しみ尽くせる希代の名車、それがメルセデス・ベンツ500Eなのである。

MY92までの500Eのみ生産にポルシェが携わっていたとして、以降のE500(W124のマイナーチェンジに伴い呼称が変わった)と一線を引く、つまりMY92を特別な存在とする見方があるがこれは否。E500を含めすべてがメルセデス・ベンツのジンデルフィンゲン工場とポルシェのツッフェンハウゼン工場を往き来して製造された。ただし、90年代はクルマに乗りやすさや快適性が年を追うごとに強く求められた時代だから、500E/E500も初期のほうが質実剛健で、しだいに洗練度を増していくという。どちらをよしとするかは、好みの問題か。取材車は1994年のE500de、撮影時点で348万円で販売さえていたが、現在、500E/E500で状態のいい車両を手に入れるなら、500万円スタートとなる。

エンジンルームにびっちりと収まるM119 V8は耐久性が素晴らしいという。初期型は最高出力330ps、最大トルク50kg-m。スロットルペダルを思いきり踏み込まなければ常に2速発進だが、それで十分。V8の発散する熱量は大きいが、夏場の渋滞も苦にしないしエアコンも利くそうだ。

撮影を担当した前田カメラマンは以前W124のTモデルを所有していたが、「運転席に座ってみたけれど眺めも雰囲気も変わらないね」と懐かしそう。ステアリングがW124に比べ小径になっていることを除けば、内装は基本的に他のW124のそれを踏襲している。

500Eは超高性能を手にするために実用性を何ら犠牲にしていないところがいい。定期的な点検や経年変化によるパーツ交換は適宜必要なものの、維持費は他のW124と大きく変わらないそうだ。

リアシートは2名乗車となっている。

バンパーレベルから開く大きな開口部を持つトランクルームはとても使いやすい。