国産チューニング界の雄がフルレストア
毎年1月に開催されるカスタムの祭典『東京オートサロン』において、いつもクラシックカーのフルレストアをお披露目しているのが、長野県佐久市に本拠を置くアフターパーツメーカー『ENDLESS』だ。チューニングカー用ブレーキ製品の開発と製造を手掛けて30年を超え、スーパー耐久などのモータースポーツにも参戦している同社であるが、パフォーマンス競争の最先端で戦う一方で、近年、フィアットX1/9、プリンス・スカイライン、日野コンテッサ等々をフルレストアし、足元にはENDLESS製ブレーキを装着して可動状態へと復活させてきた。
そんなENDLESSが次なるプロジェクトカーとしてカルマンギアを選んだのは2018年2月のこと。花里 功社長いわく、「昔、黄色いビートルに乗っていた時期も少しだけありました。その頃、地元の車庫に置きっぱなしになっていたカルマンギアがあって、その後ろ姿がずっと目に焼き付いていたんです。そこでカルマンギアを探してみたところ、知人からベース車を紹介してもらえました」

長年のレース活動とこれまでの旧車レストアで鍛えられているENDLESSのメカニカルスタッフたちだが、空冷VWは初めての経験であり、右も左も分からない。そこで知り合いから紹介してもらったのが、ティーポ本誌でもおなじみの東京のVWショップ『One Low』田崎政司さんだった。田崎さんからVWのレストアのアドバイスを受けながら、必要なパーツは『FLAT4』から供給。完成後は花里社長がデイリードライブすることを前提に、エンジンは街乗りしやすい1775ccをチョイス。ボディやシャシーの修復作業が進む中で、どんなスタイルで仕上げるか? ENDLESSのスタッフ一同、頭を悩ませたそうだ。
「コンセプトを見失って迷走していた時期、『One Low』さんが“既成概念を気にせず、ENDLESSさんがカッコいいと思うことをすればいいですよ。それがVWの良いところですから”と言ってくれたのに救われました。こうしなきゃ、という決めつけはなくて、自由にやっていいんだと」と、ENDLESSスタッフの村田さんは回顧してくれた。

美しく輝くパールホワイトで全塗装されたカルマンギア。ショーカーらしく華やかに輝くエンジンルームの下には、FUJITSUBOがワンオフ製作したエキマニとマフラーがさりげなくインストールされている。
そして何といってもハイライトは、ENDLESSの本領というべき足まわりだ。前後とも特別色SBKのENKEI PF05ホイールをなんと7.0J+45で履き、その奥に光るブレーキはフロントがENDLESS MONO4 Rallyキャリパー&φ345mmディスク、リアには特別制作したアルフィンドラムを装着している。ショックもENDLESS製Functionサスキットだ。タイヤはストリートで安全に走れるサイズを突き詰めた末、ADVAN FLEVA 205/40R17を前後とも装着しての公道デビューとなった。
実際にドライブさせていただいたところ、1750ccの適度なトルク感と、スッとよく効くブレーキはもちろん、実にしっかり曲がる足周りに、レースのプロの実力を感じた次第。レース界と空冷VW界との間で技術交流が進んでいく未来を、つい夢みてしまうのだった。
足まわりには最新のチューニングテクノロジーを凝縮

ホイールはENKEI PF05の特別色SBK仕様。前後とも17インチ7.0J+45を装着している。タイヤサイズは東京オートサロン発表時は205/45R17だったが、フェンダーとの干渉を避けるため205/40R17に落ち着いた。

ディスクブレーキはENDLESSの最先端4ピストンモノブロックキャリパーキット、MONO4Rallyとφ345mmローターを装備。

フロントはナロードビームとロワードスピンドルを入れ、ENDLESS製サスペンションFunctionをカスタムオーダーメイドで取り付けている。

リアのホイールとタイヤはフロントと同サイズとなっている。

このカルマンギア用に特別制作されたアルフィンドラム。残念ながら市販化の予定は今のところ無いとのこと。

リアはアジャスタブルスプリングプレートで車高を落とし、やはりENDLESS製ショックのFunctionがインストールされている。ストリートの路面の継ぎ目や段差でも、極めてスムーズな乗り心地を実現している。
この姿、まさしくジャパニーズ・ハイパフォーマンス
OWNER/花里 功さん

ENDLESSは1986年に花里 功社長が創業し、自らのレース経験からブレーキパッドの開発と量産をスタート。今や国内外のレースシーンで必要不可欠なブランドだ。