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商店街の書店跡を
趣味の家にリノベーション!
CATERHAM SEVEN &
FRANCIS LOMBARDI COCCINELLA &
PORSCHE BOXSTER

クルマ3、4台を収容できるガレージと、家族で住むのに余裕たっぷりのスペースを備えた住宅。それを低コストで実現しながら都心まで1時間で通える立地の妙は、もはや裏技とすら言える。ぜひ参考にしてほしい!

TEXT / 竹内耕太 PHOTO / 近藤浩之

商店街の書店跡を趣味の家にリノベーション!

神奈川県南西部に二宮という町がある。湘南エリアの一番西、茅ヶ崎と小田原の中間くらいに位置しており、クルマ好きには、大磯ロングビーチの近くといえば分かりやすいだろう。東海道本線二宮駅の近くには昔ながらの商店街があり、往年の賑わいを偲ばせながらも、現在、店舗の約半分はシャッターが閉まった状態。

しかし二宮が全国の数多の先例のごとく衰退していくかといえば、さにあらず。品川まで電車で約1時間で通勤可能で、適度にのどか、不動産の相場が安めという、いわば「穴場」として、このエリアに移住してくる人がじわじわと増えてきているのだ。

江戸 理さんは都内にお勤めの会社員。学生時代のセルボターボを皮切りに、ランサーEXターボ、NAロードスター、クラシックミニ、ゴルフなど乗り継いだ後に、たまたまカタログ作りのお仕事で取材した今は無きショップ「セブンハウス」にてスーパーセブンに強く惹かれることとなり、1999年に新車でスーパーセブン40thアニバーサリーを購入されたそうだ。以来、セブンを軸にしたクルマ趣味生活を突き進むこととなる。

都内や横浜に住んでいたこともあるそうだが、やがてガレージライフを満喫すべく物件を探した末、二宮に移住してきた。当時はご結婚前で、この時のお住まいは、1階にクルマ2台を縦置きできるガレージのある賃貸テラスハウス。セブンと、ランチア・デルタHFインテグラーレEvo2をガレージに収め、さらに一時期はプジョー106 S16やルノー5 GTターボも所有していたそうだ。

やがて奥様の舞さんと一緒に住むようになり、江戸さんは家族で暮らせるサイズのガレージハウスを検討し始める。そこで目を付けたのが、店舗併用住宅/倉庫併用住宅をリノベーションする方法だ。ガレージハウスをゼロから建てる場合、1階に広い空間と開口部を確保しようとすると、木造在来工法では構造上制限が大きい。鉄骨造やRC造だとコストが非常にかさんでしまう。既存の店舗/倉庫跡であれば、元から広い空間が確保されているので、最小限のリノベーションで済んでしまうというわけだ。

この種の物件はインターネットなど全国区の不動産情報にはあまり出ていないため、各地域の不動産屋さんに聞いてみるしかない。そうして江戸さんが捜索した結果、出逢ったのが、同じ二宮の商店街の真ん中に位置する、この物件だった。

3階建ての鉄骨造で、元店舗の間口は幅5.7m、奥行き7.3mとガレージに十分なスペース。築年数は推定20年ぐらいとまだまだ新しい部類。どうやら元は書店兼文房具店だったようで、住居部の階段は壁に収納棚が設けられているのもポイントだった。さらにエレベーターまで設置されている申し分のなさだった。奇貨居くべし、とばかりに、賃貸物件だったのを交渉し、土地・建物込みで購入した。

リノベーションにあたり、ガレージの天井板を外してみると、鉄骨材の塗装は綺麗な状態で雰囲気も良好。間口のガラス戸を撤去し、壁にコンクリート打ち放し風の壁紙を貼って、床を張りなおしただけで、絶好のガレージ空間を実現できたのだった。家族の住まいとなる2階と3階は間仕切りを作り直したためそれなりにコストがかかったそうだが、結局、二宮エリアで一般的な建売住宅を買うのと同程度の総額で収まっている。こうして江戸さん一家は2014年のゴールデンウィークに、この家に入居したのだった。

それから5年余りが経過した江戸さんのガレージの主役は、長年の愛車であるセブン。思う存分にイジり倒して、グッドコンディションを保っている。その隣には一昨年購入したボクスター、そして奥には、5年ほど前に購入した1965年式フランシス・ロンバルディ・コッチネッラも鎮座している。フランシス・ロンバルディはイタリア北部ヴェルチェッリに存在したカロッツェリアで、コッチネッラはフィアット500をベースに空力ボディを架装した、世界的にも希少な個体だ。

そんな趣味グルマたちを取り囲むのは、ガレージ一面を埋め尽くす趣味のグッズの数々。以前は屋根裏に収納していたものがガレージにディスプレイ可能となり、オートモビリアをはじめとしたグッズは増え続けている。クルマか何かのショップと勘違いしてしまいそうなほど魅力的なスペースとなっているガレージは、実際、シャッターを開けていると、お店と思って入ってくる人も多いという。

江戸さんのスタンスは、通行人や近隣の人々に対して非常にオープンでウェルカム。取材中も近隣の皆さんが声をかけてくれるし、クルマ仲間も近くに来たらガレージに顔を出してくれる。商店街の風景に彩りを加えていることは間違いないだろう。

「店舗型住宅をリノベーションしてガレージハウス化するのは、今後全国的に増えていくシャッター商店街を活性化するという意味もあると思います。どんどん広がってほしいですね」と語る江戸さん。ガレージをクルマ仲間たちとの交流の場とするだけでなく、「エドヤガレージ」の名でガレージセールを頻繁に開催している。そこでは江戸さんの集めたアイテムを放出販売すると共に、地元・二宮の雑貨屋さんなども参加して、ちょっとしたイベント会場となっている。さらに二宮の商店街で開催されるマルシェと連動することもあり、趣味の城であるガレージハウスが、地域の交流の場としても活用されているのが面白い。

オープンカーの良さの一つに、走っている土地の香りをダイレクトに味わえることが挙げられるが、その環境との距離感を、そのままガレージという場に応用したように感じられるのは、はたして牽強付会だろうか? そんなわけで、取材してご紹介するガレージ物件の中でも珍しいことに、江戸さんのガレージは一般の方でも訪問して見学することが可能だ。Facebookで「エドヤガレージ」のページをチェックして、ガレージセールの時に足を運んでみてはいかがだろうか。きっと理想のガレージライフへのヒントを得ることができるはずだ。

店舗跡の広々としたスペースは
そのままガレージへ応用可能

ガレージを奥から見る。リノベに際して天井板を外したところ、思ったより綺麗で構造材の色も良い雰囲気だったので活かしているそうだ。

クルマイジりのためのツールボックスも完備。元々200V電源が付いていたのも嬉しいポイント。

クルマ関係の他、シューズやブーツのメンテ道具もある。EDWINグッズは江戸さんの名前に引っ掛けた洒落。

ガレージの壁にディスプレイされていたのは、マキレーシングが当時プレスに配布した資料。きわめて貴重な逸品だ。

ガレージとつながった玄関ホールにもオートモビリア。ラ・フェスタ・ミッレミリアのマットは本物を切り取った物だとか。

玄関から2階、2階から3階へと上る階段の壁面には収納棚が造作されていた。書店&文房具店だった時は、バックヤードとして在庫品を入れていたようだ。

CATERHAM SEVEN 40th ANNIVERSARY

1999年に新車で購入したセブンが江戸さんのクルマ趣味の中心。ガレージのリノベーションはセブンの仲間が手伝ってくれた。
1999年に新車で購入して以来イジり倒してきたという40th Anniversary。アルミボディが美しく輝く。ホイールは昔のタイプに履き替えている。
エンジンは1700ccのままだが、ピストン、コンロッド、ヘッド等々、江戸さんの手が入っている。
マフラーもワンオフで製作したものを装着。
センタートンネルをフラット化。サイドブレーキはスバル360の物を移植している。

1965 FRANCIS LOMBARDI COCCINELLA

第一次大戦時でエース・パイロットだったカルロ・フランシス・ロンバルディが1947年にカロッツェリアを創業。コッチネッラはフィアット・ヌォーヴァ500にスポーティなボディを架装したモデルで、生産は一説には7台。
ノーズにはフランシス・ロンバルディのエンブレム。
コクピットは3連メーターを備えてスポーティ。
ルーフからテールにかけての空力を意識したラインが美しく、特にCピラー周りの造形は白眉。
エンジンはヌオーヴァ500と共通のものを搭載する。

1996 PORSCHE BOXTER

様々なクルマに乗ってきた中で、ポルシェへの憧れはあったという江戸さん。一昨年に購入したボクスターはまだ2万kmも走っていない低走行車。「ボクスターは食わず嫌いでしたが、乗ってみたらすぐにハマりましたね」

OWNER/江戸 理さん

江戸 理さんは舞さんとのご結婚を機にガレージハウスを検討。息子の一くんが1歳の時にこの物件を契約した。東海道本線で都心まで1時間、座って快適に通勤している。