OTHERS

<その他コンテンツ>
ニューカー、ヤングタイマー、クラシック、オーナー、ライフスタイル、
カタログ、100ドロ、ミニカーなどなど
CLASSIC&YOUNGTIMER

イタリアン・ヒストリック実用車のススメFIAT HISTORIC COMMERCIAL CARS

趣味車オーナーでも、家族旅行やアウトドア遊び、はたまた仕事でモノを運んだり、レースに参加したりといったシーンでは、ぐっと堪えてイマドキの実用車に乗っている人は多いハズ。そこで、こんなクルマたちはいかがだろう?

TEXT / 森口将之 PHOTO / 宮越孝政
SPECIAL THANKS / SCC(http://www.scc-g.com/

イタリアン・ヒストリック実用車のススメ

インテグラーレやA112アバルトはたまに見るのに、普通のランチア・デルタやアウトビアンキはほとんど目にできない。日本のヒストリックカー・シーンはそんな偏ったところがあると感じている。スポーツモデルばかりが脚光を浴び、それ以外は日陰の存在というパターンを多く見てきた。スポーツモデルの魅力を否定するわけではないけれど、日々の生活を支える道具として生まれたクルマたちには、また違った良さがある。もう少し広い目でクルマ趣味を楽しんでほしいという気持ちを抱いている。

その方面に向けてさらに一歩踏み込めば商用車、はたらくクルマに行き着く。乗用車は個人の趣味嗜好で選ばれる乗り物だから、演出も多い。それが楽しいのも事実。しかし商用車が持つ機能美、頼れるキャラクターも、それとは違う感動を与えてくれる。

日本のクルマ好きはもっと、はたらくクルマにも目を向けるべきではないか。今回1970年代のフィアット3台と向き合って、あらためてそういう気持ちが湧き上がってきた。

この時代の欧州の商用車というと、まず思いつくのがフォルクスワーゲン・タイプ2とシトロエンH(アッシュ)だろうが、もちろんイタリアのフィアットにも同様の車種はいろいろあった。そのひとつが241だ。

当時のフィアットには縦置きエンジン後輪駆動のこの241のほか、似たような外観を持ちながら横置きエンジン前輪駆動の238もあった。床が低くなる238のほうが人気が高く、生産期間も長かった。逆に言えば241を探すのは苦労すると、今回の3台を輸入したSCCは教えてくれた。

ちなみに当時のイタリアは、アルファロメオやランチアも商用車を作っていて、フィアット同様、鉄道車両でも有名だったOMというメーカーもこの分野でおなじみだった。ただ生産台数から言ってもフィアットが多数派であることは間違いない。

取材車はパジーノというカロッツェリアが架装したパネルバンで、サイドのグラフィックで想像できるようにフォーミュラのトランスポーターとして使われていた。後ろの扉を開けるとタイヤハウスをクリアするレールが設置され、積み下ろし用のラダーや牽引用ウインチなどが積んであった。我が国ではこのクラス、ヒストリック・モーターサイクルのレースを楽しむ人が一部で使っているそうだ。

全長5m以上、全幅約2m、全高2.8m近くという外寸からすると、1438cc直列4気筒OHVエンジンは力不足に思えるかもしれないが、撮影のために動かした限りでは滑らかで力も出ていたので、問題なさそうだ。

1972 FIAT 241 TRUCK

500や850のレース車を運べる大きなフィアット

ここで紹介している3台は全てベース車。新オーナーの希望に合わせて仕上げた上で納車される。

フィアットの商用車として、いわば現在のデュカトのご先祖様にあたる241。パジーノというカロッツェリアにより、メーカー純正よりも大きな貨物室を与えられている。
レース車両の運搬に活躍していたそうで、荷室の上辺にはサイドタープ用のレールが後付けされている。
1965年にデビューしたモデルだけあり、灯火類もクラシカルな表情をみせる。
ウインカーは荷室より外側に出るように少しムリヤリ感のある加工がされていた。これも愛嬌だ。
商用車らしくシンプル極まるホイールは15インチ。
241トラックが背負うコンテナ状の大きな荷室。頑丈な扉は観音開き。
荷室にはタイヤハウスをまたぎレース車を収納するためのレールが。ヌオーヴァ500でもトレッドを拡大した車両がピッタリ乗りそうな幅。フロア中央には積み降ろし用のラダー。
この長いポールはおそらくサイドタープ用のものと思われる。
荷室奥にはウインチや棚が造作されていて、このまま活かしたくなる出来映え。
装備は必要最小限でシンプルの極み。その分、広々ゆったりしていて、商用車ならではの雰囲気に満ちている。
頭上にはエアベントがあるので、サイドの三角窓と合わせれば、走行している間は快適な風が保証される。
ステッキ式のサイドブレーキもコマーシャルカー気分を盛り上げてくれる。
キャビンのシートは意外と乗り心地が良い。かなりヤレているので張り替え予定とのことだ。
シートの間にあるカバー(かなり重い)を外すと1438ccのOHVエンジンが鎮座している。エンジンの調子はすこぶる好調だった。

SPECIFICATION
1972 FIAT 241 TRUCK
全長×全幅×全高:5420×1990×2770mm
車両重量:1880kg

エンジン型式:直列4気筒OHV
総排気量:1438cc
最高出力:51ps/4600r.p.m.
タイヤ(F&R):215/65R15

TOPICS/241とソックリの
兄弟モデル、238とは?

フィアット238は外観は241とほぼ同じだが、中身はアウトビアンキ・プリムラをベースにしたFF車。FRの241よりも大きなキャパシティを誇り、1967年から82年まで製造されていた。

1 2 3