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イタリアの風を感じて走りたい!ALFA ROMEO SPIDER VELOCE &
MASERATI SPYDER ZAGATO

オープンカーほど趣味性が高く、なおかつ各モデルのキャラが濃いクルマも無いだろう。それゆえ旧モデルでも、いや、だからこそ得られる快楽もまた格別だ。ここではイタリアのヤングタイマーなオープンに着目してみよう。

TEXT / 橋本洋平 PHOTO / 山田真人
SPECIAL THANKS / コレツィオーネ(アルファ/http://www.collezione.co.jp), GAISYA-YA(マセラティ/https://gaishaya.jp

イタリアの風を感じて走りたい!

曲げもねじれも感じさせない高剛性ボディを身にまとい、正確無比な走りを展開する一方で、ウインドディフレクターやシートヒーター、さらにはネックヒーターまで装備し、不快な思いを一切させない現代のオープンカー達。加えて衝突安全から横転時の衝撃まで計算し尽しているなど、あらゆる領域において抜かりナシ。走りと快適性と安全性を併せ持つその姿は、完成の域に達していると言える。

ここで登場するイタリアン・オープンの中古車は、その世界観とはハッキリ言って真逆だ。走ればパーキングスピードからしてスカットルシェイクが現れ、狙った操作とクルマの動きとがリンクしていないことを感じさせる。側面衝突や歩行者保護などをあまり考慮していなかったせいか、身体はボディから飛び出るように座らされている。その対価として見晴らしが良く、肘をドアに引っ掛けて優雅に走れるし、風にさらされている感覚は高いが、快適性は皆無と言っていい。サイドウインドウを閉めたところで、どうせ心地よい風が得られるはずもなく、ならばウインドウは目一杯下げた状態で風を感じたほうがマシとなる。今の目線から見れば、20年以上も前のオープンカーは欠点だらけという現実がある。

けれども、デザインは美しい。今の基準では到底達成できないウエストラインの低さは、ずんぐりむっくりした現代のオープンカーとは違って、スッキリとしたディテールだ。バスタブに肩まで浸かって首だけひょっこりのぞかせるイマドキとは違い、人もまたクルマの一部としてデザインに溶け込めるとでも言えばいいだろうか? そんな世界観がこの時代のクルマ達には存在している。着ている服にも気を遣わなきゃ、そんな感覚になれるのだ。

ALFA ROMEO SPIDER VELOCE

ゆったり優雅に流すだけでも十二分に楽しい走り

アルファロメオ・スパイダー・ヴェローチェに乗り込むと、先述したものがすべて備わっている。ピニンファリーナがデザインしたフォトジェニックなスタイルは、わざわざ書き連ねなくても写真を見るだけで伝わってくるものがあるだろう。低く構えたボンネットと、その脇にある丸形ヘッドライトから流れるフェンダーの盛り上がりをドライバーズシートから眺めていると、非現実空間に突入した感覚になってくる。エクステリアを見ずして満足できるこのスタイルはなかなかだ。

走ればとにかく頼りなく、真っ直ぐ走らせるにも、止まるにも気を遣う。とてもこれですっ飛ばそうなんて考えは浮かばず、ゆっくりとただ流すだけで十分と思えてくる。ヨレを感じさせるボディ、そしてストッピングパワーとは程遠いブレーキ、けれども低速から力強く押し続けるトルクが危機感をあおるのだ。

けれども、そんな世界観があるために、街中を流すだけでも走っている感は高く、十分に満足できるし楽しい。繊細さを感じさせるナルディのウッドステアリングを丁寧に切り込み、グラグラするサスペンションをできるだけ揺らさずに走るのは、これはこれで面白い。3速A/Tでパワーも126psと大したことはないが、ゆっくり優雅に楽しむなら十分すぎるくらい。118万円(取材時)というフレンドリーな価格も魅力の一台だった。すっ飛ばさなければ心地良さを感じにくい現代のクルマとは真逆な仕上がりは、ちょっと手を出してみたくなる存在だった。

ジュリアのシャシーをベースにピニンファリーナがデザイン。1966年から93年まで製造された、戦後アルファを代表するロングセラーのスパイダー。

取材車は1990年にマイナーチェンジを受けた最終型のシリーズ4。外から見てもシートに座っても美しい秀逸なスタイルが特徴だ。
2リッターの直列4気筒DOHCエンジンは滑らかに気持ちよい伸び上がりで3速A/Tとの相性も良好だ。
タイヤサイズは195/60R15。シリーズ4からはパワステが標準装備されており、取り回しはこの時代のFRとしては軽いフィーリング。
華美という程ではないが品よくシックにまとまったコクピット。開閉可能な三角窓も風を積極的に感じられるアイテム。
ナルディのウッドステアリングの奥にメーターを見る。左の速度計は220km/hまで刻まれているが、半分も出さずとも十分以上に楽しめる。
ソフトなレザーシートはゆったりとした造り。風を感じながら気分よく流すにはちょうどいい。

SPECIFICATION
1993 ALFA ROMEO SPIDER VELOCE
全長×全幅×全高:4260×1630×1290mm
ホイールベース:2250mm
トレッド(F/R):1340/1290mm
車両重量:1180kg
エンジン型式:直列4気筒DOHC

総排気量:1962cc
最高出力:126ps/5400r.p.m.
最大トルク:18.1kg-m/4200r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/トレーリングアーム
ブレーキ(F&R):ディスク
タイヤ(F&R):195/60R15

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