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長距離走行で分かった
C5エアクロスSUVの実力
CITROËN C5 AIRCROSS SUV

シトロエン初の本格SUV、C5エアクロスSUVが日本へ上陸した。ディーゼル&8速A/T、話題のハイドローリックサス、グリップコントロールに数々の先進安全技術と、驚くほどのテンコ盛り。さて、その実力は?

TEXT / 森口将之 PHOTO / 佐藤亮太
SPECIAL THANKS / グループPSAジャパン(https://www.citroen.jp/

シトロエンC5エアクロスSUV
900kmロングラン企画

シトロエン初のSUV。C5エアクロスが日本にも上陸した。気になるのはやはり、ハイドロの再来と言われるプログレッシブ・ハイドローリック・クッションがどのような乗り味をもたらしてくれるか。それを知るにはある程度の距離を走ったほうがいい。ということで飛騨地方まで1泊2日のドライブに出かけることにした。

C5エアクロスは、2015年に公開されたエアクロス・コンセプトの市販型と言える車種で、ボディサイズはプジョー3008やフォルクスワーゲン・ティグアンに近いが、ホイールベースはシトロエンらしく長めに取られている。注目のプログレッシブ・ハイドローリック・クッションは、ショックアブソーバー内にセカンダリーダンパーを組み込んだ、いわゆるダンパー・イン・ダンパーで、ルノースポールのHCCに似た成り立ちだ。

今回試乗したのはディーゼルターボを搭載したモデルで、2リッターから177psと40.8kg-mを発生。一方、ガソリンは1.6リッターターボで180psと25.5kg-mを発生する。トランスミッションは共に8速A/T。もちろん伝統の前輪駆動だが、プジョーのSUVでおなじみのダイヤルで切り替えるアドバンスト・グリップ・コントロールを用意している。

新世代ハイドロの威力は、東京をスタートした直後、首都高速道路までの一般道で早速、体感できた。

ひとことで言えば「ハイドロ感」がある。ただまろやかなだけでなく、ふわーんという独特の揺れを感じることができるのだ。60年以上もの経験が、ただ快適ではない、味のある乗り味の実現に成功したのだろう。シートは本革張りだったこともあり、ソフトというわけではないが、サイズが大きく、包み込むような着座感が心地いい。

首都高速から中央自動車道に乗り、岐阜県最初のインターチェンジである中津川を目指す。エンジンはアイドリングではディーゼルであることを意識するものの、こういうシーンでは静かで、トルクフルな性格がありがたい。8速のA/T、1640kgに抑えられた車両重量も貢献している。

感心したのは運転支援システムのレベルの高さ。後発ながら日本やドイツのライバルにひけを取らない。これにあの乗り心地が加わるのだから、快適性は世界最高レベルじゃないの? と思うほどだった。

中津川インターチェンジで降り、細い山道を登って、中山道の宿場町だった馬籠に向かう。ここで印象的だったのは取り回しのしやすさ。幅には注意する必要があるが、長さはほどほど、目線は高く、ノーズは見切りがしやすい形状で、大型シトロエンの伝統どおりハンドルは切れるので、狭い山道も難なくクリアできた。

馬籠宿の近くで蕎麦をいただき、再びインターチェンジに戻り、高速道路を使って関市に向かう。刃物作りで有名なこの街には違う目的があった。モネの池と呼ばれる場所があるのだ。

根道神社の境内にある、もともとは名もない池だったが、睡蓮の葉が浮かぶ水面の眺めは、印象派を代表するフランス人画家クロード・モネが描いた作品を彷彿とさせる。周囲の純日本的な風景、多くの日本人観光客との対比が「モネ感」を逆に強調しているようで、ここを最初にモネの池と名付けたセンスにも感心した。

初日は東京を出発して中央道経由で高山を目指す。まず中津川で降りて昼食及び散策。再び中央道に乗り関市へ。そこから一般道にて郡上八幡を経由して飛騨高山へ。二日目はルートを変えて飛騨高山から一般道で松本市内。そこから中央道経由で東京へと戻った。

ここからは運転を編集スタッフに委ね、後席を試す。リアドアが大きく開くので乗り降りは楽。シートはミニバンのような3分割で、ロングホイールベースのおかげで両端がホイールハウスに蹴られていないという伝統を受け継いでいるので、ドア寄りに座っている感じはない。これなら横3人掛けも苦にならないだろう。

試乗車はナッパレザーパッケージ装着車で、スタンダードではグレーのハーフレザーとなるシートはブラウンとブラックの2トーンになっていた。自分が所有するC4カクタスと同じ配色で、デザインも共通する部分が多いので違和感はなかった。

広さはこのクラスの標準だが、最近のSUVとしては天地に余裕があり、リアドアガラスは広く、ナッパレザーパッケージに標準装備となるガラスサンルーフが開放感を盛り上げる。

リアゲートは垂直に近いのでワゴン的な雰囲気。荷室容積は後席を立てた状態でも670リッターもあり、畳めば1630リッターに広がる。特に天地方向に余裕があって、3人分の一泊の荷物と撮影機材を楽々と飲み込んでしまった。

モネの池を後にして郡上市へと向かう。旧八幡町役場前で撮影後、高山市を抜け、飛騨市古川にある文化館前で夜景を収める。城下町の郡上八幡と高山、宿場町の古川、いずれも昔の雰囲気を残した町並みではあるが、すべて異なる面影で興味深い。撮影の合間にエクステリアを観察する。前が長く後ろが短い、シトロエン伝統のプロポーションを継承していることがわかる。サイドウインドウのグラフィックと同じ台形を、バンパー下やサイドシル、インテリアのドアグリップなどに反映したことにも気づく。造形へのこだわりを感じる。白いボディカラーの試乗車の場合、バンパー下やサイドシル、ルーフレールに赤のアクセントを入れて遊び心を添えている。逆にボディが赤や青などの場合はここがシルバーになるので、サイドウインドウのモールと色合いを揃えることができる。ボディカラーでも悩みそうだ。

外国人観光客の多さに驚いた高山で宿泊し、翌日は安房峠の長いトンネルで岐阜県を出て、中央道で帰京というルートを選んだ。安房峠へ向かう峠道ではハンドリングを試すことができた。シトロエンの最上級SUVということもあって身のこなしは穏やかだが、サスペンションはロールを適度に抑えながら、伝統の接地感はしっかり発揮して、安定した足取りで進んでいく。

ディーゼルのハイドロは正規輸入車ではCX以来。当時の試乗記は理想のロングツアラーと伝えていた。同じ言葉をC5エアクロスにも捧げたい。快感の乗り心地にディーゼルの経済性、最先端の運転支援システムが融合して424万円は安すぎると、900km近くを走破して思った。長年このブランドを愛してきた人たちへの、100年目を迎えたシトロエンからのプレゼントではないかという気がした。

丸みを帯びた柔らかなフォルムでドライバーをリラックスさせてくれるコクピット。アイポイントが高く視界は良好で疲労を感じにくい。
センターコンソールにはシャシー制御関連のスイッチが並ぶ。シフトノブ横はアドバンスト・グリップ・コントロールのスイッチ。
必要とする情報を美しく表示する12.3インチのデジタルメーターパネル。上部には懐かしのボビンメーターも。
最近のシトロエンらしい、平面でありながらも体を優しく包み込むシート。撮影車のインテリアはナッパレザーパッケージ。
後部座席は3つに分割されており、さらに各シートごとにリクライニングとスライド機構の両方を備える。そのため後部座席の座面の位置がやや高く感じられる。
トランク容量は通常のリアシートポジションで580リッター、スライドさせれば670リッターとなる。
3分割式のシートを全て倒せば、1630リッターという広大でスクエアなスペースが出現する。
ラゲッジルームのフロアボードは、僅かだが2段階での高さ調節が可能となっている。
エンジンは、2.0リッターのディーゼルターボ。177ps/40.8kg-mという高出力と16.3km/リッター(WLCTモード)という低燃費性も兼ね備える。
アグレッシブなデザインのホイールに、235/55R18というタイヤを組み合わせる。タイヤの銘柄はミシュランのラティチュード。
標準装備のルーフレール。下側が抉られたようなデザインで、抉られた部分にアクセントカラーの赤がペイントされる。
フロント周りはC4ピカソから始まったシトロエン・フェイスを踏襲。バンパー下側のエアインテークが赤く縁取られる。
今回の燃費

総走行距離:900.7km(高速70%、市街地10%、山間部20%)

使用軽油量:61.76リッター

平均燃費:14.58km/リッター

SPECIFICATION
CITROËN C5 AIRCROSS SUV
全長×全幅×全高:4500×1850×1710 mm
ホイールベース:2730mm
トレッド(F/R):1580/1410mm
車両重量:1640kg
エンジン型式:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1997cc

最高出力:177ps/3750r.p.m.
最大トルク:40.8kg-m/2000r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):235/55R18

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今回は話題の乗り物酔い防止メガネ、シートロエンもお借りした。4つの円の中の青い液体が水平を保つことで視覚と体感のズレを抑える仕組み。僕は乗り物酔いしやすい体質なので、こんなのが効くの? と疑っていたが、カーブが続く岐阜の山道でも気持ち悪くならない。編集スタッフとカメラマンも同意見で、カメラマンは帰りの道中でパソコンでの画像処理を完了できた。大胆なデザインと感動の機能の両立。まぎれもないシトロエンだ。