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隠れていた主役BMW 2000ti lux

ヒストリックカーは家族的な4ドアよりパーソナルな2ドアに人気が集まる傾向があるが、そこにレースのイメージが加われば4ドアも復権する。シンプルオートの片隅に眠るBMW2000tiは知る人ぞ知る、マニアックな1台なのである。

TEXT / 吉田拓生 PHOTO / タナカヒデヒロ
SPECIAL THANKS / シンプルオート(http://www. simpleauto.jp/)

大阪のシンプルオートを訪ねるたびにいつも気になっている1台がある。ホコリを被ったシルバーで4ドア、表情は少し不愛想。でも全体の佇まいの良さは間違いなくノンレストアなんじゃあないだろうか?  BMW2000ti luxである。マルニと同じ2リッターの4気筒エンジンを搭載した4ドアモデルで、グレードは高性能版のti(ツーリングインターナショナル)。末尾のluxはラグジュアリー、ちょっとした豪華版であることを表している。

僕がこのクルマに目を付けたのはイギリスでのこと。かつて訪れたグッドウッドで BMWワークスが、普段はミュージアムに飾られているレースカーの2000tiを走らせていたのである。ホルバート・ハーネがドライブしETCを戦ったそのワークスカーはグレーのボディにスカイブルーのノーズバンドがとっても渋かったのを覚えている。そのレースカーはヘッドランプが丸型だったけれど、まあ同じ2000tiである。

このクルマがいつからシンプルオートにあるのか知らないけれど、まあひと言で言ってしまえば不人気ということ?

「うーん、でもいいの。売れなかったら自分で乗ればいいやっていうクルマしかウチは置いてないから」とシンプルオートの吉田社長。

でも本当のところは「ウチに来るお客さん、見る眼がないなー」とか思っている?

「いやいやそんなことないない(笑)。だって積極的に売ろうとしていないからね、あの2000tiは。いつも奥の方にしまってあって」

これ1台で一生行こう、というヒストリックカー選びにおいて、マルニはテッパンの1台だ。ヒストリックカーとして認められる年式のクルマとしては一番進んだ中身を持っていて、後付けクーラーとの相性もいい。ビートルやミニと同じように、毎日乗れるクルマなのである。そんな信頼性を犠牲にすることなく、しかし外見はマニアックな方がいい、という人がいれば、まさに2000tiがお薦めだ。

アルファロメオのジュリア・クーペとその4ドア版であるジュリア・セダンの関係に似ているのだろうが、アルファとBMWでは生存数がずいぶんと違う。ジュリアの4ドアは たまに見かけるが、ノイエクラッセの4ドアはまずお目にかかることがないのである。

「この2000tiは実は素性がけっこういい個体なんだよ。とあるコレクターが長い間ガレージに収めていたクルマで、バルコムが輸入した正規ディーラー車でもある。しかも世界的にもあまり乗っている人が多くないからか、外装のパーツなんかはマルニよりオリジナルのものが出てくることが多い。このクルマは現在の5シリーズの元祖みたいなクルマ だね。価格は、そうねぇ、350万円税抜、かな」

オォ、思ったより遥かにリーズナブルで驚かされてしまった。マルニの世界でも価格高騰は進んでおり、シンプルオートのストックヤードに並んでいた2002tiの価格は680万円もしていたからである。

今回の2000tiは何しろオリジナル度の高い個体なので、もし手に入れたらホイールキャップを外して、水色のノーズバンドを入れたい。あと2000tiのエンブレムを目立たせたいから、黄色いフォグランプは外してしまうかも。インテリアは……すごい。コンディションとしてはもうミュージアム級である。 ウッドパネルもきれいだし、細かい部分まで ちゃんとオリジナル。

「キャブはソレックスのツインからウェーバーに変わってしまっているけど、戻すのは簡単だよ。もちろんクーラーだって付くし、近頃は軽自動車用の電動パワステを付ける人もいる。見た目はとってもクラシカルだけど、ちょっとくらいの渋滞にはまっても問題ないし、ちゃんとアシとして使えるくらいには仕上げられるよ。何しろエンジンとかパワートレインとか、メカニカルの重要な部分はマルニとほとんど同じだから」

機構的には完璧に近く、レアな佇まいもいい。しかも歴史的にレーシーなイメージも持っているとなれば、少しだけモディファイ して遊ぶことだってできるだろう。

「マルニは2ドアだからといって躊躇していた人がいれば、2000tiは最適かもね。 BMWははずれが少ないから、安心して乗れる1台であることは間違いないと思うな」

燈台下暗しとは、2000ti のことでは?

BMW 2000 ti lux

¥3,500,000-(取材時)
2000tiは本社から少し離れたストックヤードに大切に保管されている。まさに掘り出し物だと思うのだが。

「遠方から訪ねてきて、1日中見て回る人もいますね」というシンプルオートはまさにクラシックBMWの巣窟。看板車であるマルニだけではなく多種多様なBMWが棲んでいる。