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妖しくも魅力的なフラッグシップワールドMASERATI QUATTROPORTE V8 &
CITROËN XM-S

調子さえ良ければこれ以上のクルマは存在しないかも! と思わせてくれるくらい、独特の世界観を見せてくれるイタフラのフラッグシップモデル。でも怖くて手が出せない人は結構いると思うけど、ちょっと読んでみて!

TEXT / 嶋田智之 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / アウトレーヴ(http://autoreve.jp/

妖しくも魅力的なフラッグシップワールド

うわっ、こりゃたまらないな……と思った。イタリアとフランスを代表する2台のフラッグシップ・サルーン。しかも現役だった1990年代からとっくに魅力的だったにも関わらず、バッカスがいい仕事をして適度な時を経たワインの美味しさが膨らむのと同じように、時間がそれぞれのテイストに深みを持たせている。香りに触れただけで酔いがきそうなくらい濃厚になりつつある。今、ちょうどこのくらいの年代のイタフラ系フラッグシップが、輝きを増してるように感じられる。

それはいったいなぜなのか。

フラッグシップ・サルーンというのはいうまでもなくブランドの精神的なトップ・エンドであり、技術的なトップ・エンドでもある。そのモデルが生まれたタイミングにおけるそのブランドのベストがふんだんに盛り込まれている。フィロソフィとテクノロジーの総合カタログみたいなものだ。ブランド性やブランド力がーボトム・エンドのモデルに”ウチとしては最低でもこれだけは譲れない”が透けて見えるのと対極でー明確に表れていて面白いし、そこに心惹かれるものがある。

そして90年代辺りは自動車業界全体が大きな転換期の最中にあって、ざっくりいうなら“グローバル化” “高効率化”を押し進めなければ生き残っていけないという危機感と、クルマ作りに対する旧態依然とした考え方が奇妙に混在していた時代。いわば洗礼を受けて完全に改宗する前の“ナマ”の最後の最後の世代と見ることができる。そこが今、とても新鮮に思えるのだ。

MASERATI QUATTROPORTE V8

最後の純血マセラティサルーン

マセラティの4代目クアトロポルテも、その典型だ。ビトルボ系サルーンのトリを務めることになったこのモデルがデビューしたのは1994年。ビトルボ・シリーズのプラットフォームを流用した車体に、当時としては“マセラティといえば”のV6ツインターボを搭載して登場した。

つまりメカニズム的には旧世代に属するわけだが、“だからこそ”の楽しさがある。この4代目の生産が終了した4年後の2004年に復活した5代目はフェラーリ由来の自然吸気V8ユニットを搭載し、以来、また違った気持ちよさと段違いの速さを味わわせてくれる新世代クアトロポルテとして君臨しているが、4代目のテイストは今になっても強烈に印象的だ。途中から一気にパワーが爆ぜて加速に弾みがつくような過激なフィールは、タービンの存在をひた隠しにするかのような現代のターボ車にはない狂おしいほどの喜びを感じさせてくれる。

今回の取材車は97年に追加された3.2リッターV8ツインターボ搭載モデルだが、こちらも同じ。名車シャマル譲りのパワーユニットは、V6版の炸裂するかのような怒濤のターボ・パワーをワイドなレンジで延々と解き放ち続けるかのようで、気持ちのいい鳥肌感覚をたっぷり味わえる。

マルチェロ・ガンディーニの手によるシンプルに見えて実は極めて凝っているエクステリアもいい。マスプロ意識のまだ薄い、過剰な贅沢感漂う貴族的なインテリアもたまらない。イタリアのフラッグシップ・サルーンはこうあるべし、の一つの理想形なのである。

マルチェロ・ガンディーニによるアグレッシブなボディフォルムが3代目の特徴。
ターボが炸裂した瞬間から顔を見せ始める獰猛さ。336psのパワーは伊達じゃない。
V6モデルにも採用されたオーソドックスな8本スポークのデザインが用いられたアロイホイール。
見た目も美しいマセラティのV8ツインターボ。高回転域は車格に似合わず暴力的に速く、そのギャップにヤラれた人多数。
レザーが張り巡らされたインストゥルメントパネル、ウッドトリムなど、豪華なだけではない妖艶さがマセラティの魅力。
この時代のマセラティの象徴でもあるアーモンド型の金時計。フィアット時代に入り取り外される。
1台1本の木から削り出すという木目のトリムは、交換する時は全交換なので注意。
上品なベージュのカラーで落ち着いた雰囲気。フロントシートは電動調整式を採用している。
コンパクトなボディとはいえ、大人4人がゆったりと寛げるスペースはちゃんと確保してある。上質なレザーは柔らかくて肌触りもよく、身体を包み込んでくれるかのよう。
トランクルームにも毛足の長いカーペットが張り巡らされる。容量と形状はイタ車らしくミニマム。

SPECIFICATION
MASERATI QUATTROPORTE V8
全長×全幅×全高:4550×1810×1300mm
ホイールベース:2650mm
トレッド(F&R):1522/1502mm
車両重量:1560kg
エンジン型式:V型8気筒DOHC+ターボ

総排気量:3217cc
最高出力:336ps/6400r.p.m.
最大トルク:45.9kg-m/4400r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):205/55ZR15/225/50ZR16

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他に選ぶなら

5thクアトロポルテ:2004年から発売された5代目。ピニンファリーナによるデザインは流麗で人気を博した。エンジンはF1並みのレスポンスを誇り話題となった。
ランチア・テージス:日本で「世界一のインテリア」と謳われ一部に熱狂的なファンを持つランチアのビッグサルーン。極少数が並行で日本に入ってきている。
アルファロメオ166:アルファらしい独特のデザインと熱い走りが特徴。当初エンジンはV6 2.5リッターとV6 3.0リッターのラインナップだったが、後にV6 3.0リッター一本に統一された。
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